「注文住宅で予算を組むのに、外構はどれくらいの費用を見込んでおけばいいの? 大体の相場が知りたい!」
「外構業者さんから出してもらった見積りの金額が適正か分からない! どうすればいいの?」
そんな疑問にお答えします。
住宅営業の現役時代に、何社かの外構業者様と関わり、また何十件と実際に外構をしたお客様を見てきた私が、「外構工事費用の相場」と、「見積りの適正価格」を確認する方法を解説していきます。
本記事の内容はこちらです。
- 新築計画のとき、外構工事費用をどれぐらいの金額で見込んでおくべきかが分かる
- 外構工事で失敗しないための「費用」について基礎知識が分かる
- 外構業者からもらった見積りが適正か判断する方法が分かる
- 外構費用を抑える方法が分かる
では早速解説していきます。
目次
1.外構費用は予めどれくらいの金額を想定しておけばいいのか
1章では、注文住宅の計画を立てる上で、外構工事の費用をどれくらいの金額で想定しておけばいいのかを解説していきます。
1-1.建築会社が作る外構費用の概算見積りは全く当てにならない
注文住宅の計画を進めていくときに、最初から外構計画を加味して考えたり、金額を想定している方はいないと少ないと思います。
通常の流れとして、最初は建築会社を探しながら、諸経費の相場や建物価格を確認していく場合が多いでしょう。
そして、気に入ったハウスメーカーや工務店2~4社から全体の資金計画・見積書を作ってもらう形になると思います。
fa-arrow-circle-right注文住宅の全体の流れは下記ページにまとめています。
その資金計画や見積りを見て、初めて外構費用がどれくらいかを知った方が多いのではないでしょうか。
しかし、普通に考えてみて下さい、まだ外構計画の要望も確認していない段階で外構費用がイメージできるはずはありません。
それに、2章で解説しますが、土地の大きさ・高低差、それに対してどんな工事をするのか、によって外構費用は大きく上下します。
ですので、建築会社が作る「概算見積り」の金額を当てにしてはいけません。
現実問題なかなか難しいですが、建築会社を探すタイミングで外構業者も並行して探すのが理想的です。
fa-arrow-circle-right外構計画の段取りについては下記ページにまとめています。
1-2.外構費用の相場150万円は妥当ではない?
住宅業界の不思議の1つですが、
建築会社が作る概算見積りの外構費用は、おおよそ「100~150万円」が多いと思います。
また、いろいろな住宅営業マンに聞いても、そう答える方が多いはず。
ですので、多くの施主がそれを信じて予算を組んで計画を進めていくことになってしまいます。
しかし、外構計画の金額が確定するのは新築計画の最後の最後。
その時には手遅れなのですが、「もう少し予算を多く取っておけば良かった」と後悔する人が多いのが実態です。
結果「外構費用の平均は150万円前後に落ち着いてしまう」、というか、逆に言えば、「外構工事が150万円以内に収まるように何とか調整する」という表現の方が正しいかもしれません。
どちらかというと、100~150万円は最低限の外構工事をした場合の費用と捉えておくのが良いと思います。
以下、最低限の外構工事の一覧です。
- 駐車場(カーポート無し)
- ポスト+インターホン
- 2~3方向のブロック+フェンス
- アプローチ
- 一部分植栽
- 砂利+防草シート(建物周り)
- 一部芝生
土地が35坪を超えていれば、上記内容でおおよそどこの外構業者も100万円は超えてきます。
例えば、カーポート、物置、目隠しフェンス、照明、高低差の擁壁・土留め工事、植栽などを加えていけば、150万円を簡単に超えてくるのは想像できるのではないでしょうか?
なお、外構業者の世界では
「建物価格+土地価格」の10%くらいの金額があれば、かなり納得のいく立派な外構プランになると言われています。
ですが、注文住宅の場合で計算すると、地域によってかなり高くなってしまうので、私の感覚を加えると、「建物価格+工事費+諸経費」の10%が、外構費用の最大値になると思います。
つまり、外構費用の適正な相場をまとめると、次の通りです。
しかし、この結論では金額の範囲が広すぎるので、もう少し費用がイメージしやすいようにタイプ別に相場をまとめてみます。
1-3.タイプ別の外構費用の相場
タイプ別に外構費用の相場を分ける上での前提として、残土処分費や土留め工事費用など、土地によって大きくかかる費用は除きます。
また、地域や外構業者によっても異なるので、参考程度にして下さい。
シンプルに最低限な外構(1-2章で記載した最低限の外構工事)
塀や門などを設置しないオープンタイプ
駐車場1~2台
開放的な外構になるが、防犯上のリスクはやや上がります。
外構工事費用:約120~150万円
シンプル+駐車場だけはこだわりたい
最低限の工事ですが、駐車場はコンクリート+カーポート
外構工事費用:約170~250万円
シンプル+植栽など庭にこだわりたい+ウッドデッキ
シンプル工事に加え、植栽を豊富にして、照明なども設置。
ウッドデッキはテーブルや椅子が数脚置けるくらいの大きさを想定。
外構工事費用:約200~250万円
DIYなども含め、自身で少しずつできることも多いので、費用は抑えやすい。
クローズドタイプの外構+カーポート駐車場
門や塀などで建物を完全に囲むタイプに、カーポート駐車場。
費用が大きく掛かりますが、安全性は最も上がります。
外構工事費用:約250~350万円
2.外構費用について失敗しないためにしっておくべき基礎知識
続いて、外構で失敗しない為の「外構費用」の3つの基礎知識について解説していきます。
fa-arrow-circle-right外構計画自体で失敗しないための方法については下記ページにまとめています。
- 外構費用は住宅ローンで支払えるのか?
- 外構工事は1度に全てやる必要は全くない
- それぞれの土地によって外構費用が大きく増減する原因
1つずつ解説していきます。
2-1.外構費用を住宅ローンで支払えるのか?
外構工事費用は住宅ローンで支払えるのでしょうか?
結論から言えば「外構費用は住宅ローンで支払えます」。
新築工事の費用の中で、外構費用は「諸費用」に分類されます。
最近の多くの民間銀行では「諸費用」も住宅ローン融資に含まれます。
外構費用に限らず、例えば登記費用・カーテン・照明・引っ越し費用などの諸費用も住宅ローンでの支払いが可能です。
fa-arrow-circle-right新築においての諸費用については下記ページにまとめています。
ただし、以下の注意点があります。
- フラット35や一部の銀行では諸費用は住宅ローン融資に含まれません。事前に銀行に確認しましょう。
- 諸費用分も融資してもらえる銀行であっても、諸費用分だけ金利が高くなる場合があります。
- 新築ではなく、外構工事のみのローンも銀行によってはありますが、住宅ローンより金利は高めです。
2-2.外構工事は1度に全てやる必要は全くない
新築直後に外構工事をした場合、多くの方が予算を削らなくてはいけなくなります。
予定以上に建物にお金を掛けてしまったり、他の諸費用にお金が掛かってしまう場合があるからです。
結果、外構費用を削ると、でき上がった時に後悔するケースが注文住宅業界ではどうしても多発してしまう。
しそこで覚えておいてもらいたいのが、「外構は1度に全てやる必要がない」ということです。
工事を2~3期に分ける方法だってあります。
「逆にめんどう」と思うかもしれませんが、外構業者との最初の打ち合わせで工事を2~3期に分けたい旨を伝えておけば、そのように提案してくれます。
そうすれば、1期目で最低限の外構を行い、数年後にお金を貯めてから、2期の工事依頼をするだけで済みます。
予算を削って後悔するよりは、遥かに良い方法、ということを覚えておきましょう。
2-3.それぞれの土地によって外構費用が大きく増減する原因
外構費用は、土地の形状によって大きく変わる項目があります。
それは以下の3点です。
- 土地の高低差による増減
- 残土による増減
- 土地の広さによる増減
それぞれの形状によって、時には数百万円の工事費用が増加するケースもありますので、しっかりと把握しておきましょう。
また、本章の内容は土地選びにも重要なポイントになってきます。
fa-arrow-circle-right失敗しない土地選びの方法は下記にまとめています。
では、土地の形状によって変わる項目を1つずつ解説していきます。
土地の高低差による増減
土地の高低差によって、外構費用は大きく変わります。
「高低差」というのは、道路や周辺の土地との高さと建物を建てるポイントとの高さの差を指します。
高低差が大きければ大きいほど、擁壁(ようへき)の高さが必要になります。
また、土砂が流れて建物が傾かないように、擁壁も頑丈にしなくてはいけなくなる。特に2mを超える場合は、数百万円もするような高額な擁壁費用が発生しますので注意しましょう。
道路からの高低差がある場合、擁壁に限らず、
- アプローチに階段を作らないといけない
- 建物の基礎を深く作らないといけない
などいろんなポイントで費用が発生してしまいます。
高低差が大きい土地は、フラットな土地と比較して、安いことが多いです。ただ、工事費を含めるとトータルでは同じくらいの費用になる場合がほとんどです。
残土処分による増減
2つの外構費用のポイントは、「残土処分」に関して。
これは上記の土地の高低差と大きく関わります。
特に高低差が大きい土地だと、敷地内をフラットにするために土を除去する必要があります。
また、住宅の基礎を作る上でも土を掘る関係で土が余ることがあります。
この土にも処分費が発生します。
土の処分費用は安いイメージがありますが、実は数十万の費用が発生するなど、意外に高いので注意しましょう。
残土処分費の相場: 1㎥(りゅうべい)当たり5,000円~10,000円
(地域によって大きく異なります)
私が勤務していたのは神奈川県でしたが、8,000円前後でした。
■例えば、5㎡(平方メートル)で高さ50㎝の場合
5m×5m×0.5m×8,000円=84,000円
また、土は掘り返すと膨らむので、上記の計算よりも金額が大きくなり、おおよそ10万円の費用になります。
建築会社も外構業者も、残土処分費は土を掘り返してみないとどれくらいの量になるのか分からないので、概算見積りで工事を進めなくてはいけない場合があります。
その場合は、後から高額の残土処分費を請求されることがあるので、ゆとりを持った予算組みにしておきましょう
土地の広さによる増減
都市部から離れた地域だと広い土地が多いですよね。
また、家族で遊べるような広い庭が欲しいという方もいらっしゃると思います。
しかし、外構費用の考え方からは、土地が広ければ広いほど、外構費用が一気に上がってしまいます。
ですので、土地選びの段階で、必要な建物・駐車場・庭・物置などの広さを把握しておきましょう。
なるべく無駄な空間が発生しないような広さの土地を購入すべきだと思います。
土地が広いと、固定資産税も高くなる傾向にありますので注意しましょう。
fa-arrow-circle-right新築の固定資産税に関しては下記ページにまとめています。
3.外構業者の見積りが適正か確認する方法は2つしかない
本章と次章は、すでに外構業者から見積りを提示してもらった方や、これから外構依頼をする方向けの内容となります。
外構業者から出してもらった見積りが適正な価格なのか、比較材料がないので判断がとても難しいと思います。
ですので、本章では見積りが適正価格かどうかの判断方法を2つお伝えします。
3-1.前提:地域によって異なる
まず前提として、外構費用の「相場」はあまり当てになりません。
地域によって相場が大きく変わるからです。
2章で残土処分が地域によって異なることを解説していますが、その他にも地域によって異なる部分があります。
- 地域の職人の量や相場によって賃金が異なるため
- 地域によって建築基準法が異なるため、擁壁やブロック塀などの作り方(費用)が変わる
- 地域によって材料費が異なる
概ね上記理由で、地域によって外構工事の相場が異なります。
ですので、外構業者から出た見積りが適正かどうか、いろいろなサイトに記載してある相場と比較しても意味がないので注意しましょう。
3-2.地道に見積り金額の根拠を確認するしかない
見積り金額が適正か、簡単に分かる方法があればお伝えしたいのですが、残念ながら地道な方法しかありません。
外構業者とは複数回に渡り打ち合わせをしますが、その際、見積りの項目と金額を1つずつ確認していくのが、実は最善の方法です。
見積りの各項目と金額に「なぜ」を繰り返すことで、外構業者がスムーズに納得できる説明をしてくれれば問題ないでしょう。
しかし、言葉に大きく詰まったり、納得のいく説明が聞けない場合は、その金額を疑うべきだと思います。
適正な利益にはなっていないかもしれません。
これは外構業者選びにも重要なポイントにもなります。
こちらから突っ込まなくても外構業者から納得できる細かい説明があったり、代替案をどんどん出してくれる場合は信頼できる外構業者かもしれません。
3-3.相見積りしないと分からない
外構見積りが適正か判断するためのもう1つの方法は、どのサイトにも記載されていますが、複数の外構業者からの「相見積り」です。
やはり最低でも3社以上の見積りを比較材料として、適正かを判断すべきです。
最近では外構も下記のような一括見積りサービスがありますので利用するといいと思います。
特に一括見積サービス経由で依頼した場合は、外構業者側も「比較される」と分かっていて見積りを作ることになりますので、より良い提案になる可能性が高いですし値引き交渉もしやすくなります。
中でも【タウンライフ外構・お庭プラン一括見積サービス】という無料のサービスがオススメです。
一度要望を入力すれば、各地域のいろいろな外構業者からアイデアやアドバイスがもらえます。
それにタウンライフ外構・お庭プラン一括見積サービスは他にも多数のメリットがあります。
- 全て無料
- ネットで5~10分ほど入力するだけで手間と時間がかからない
- 登録されている外構業者は厳選な審査をクリアしているから安心(優良企業300社以上が登録)
- 外構業者ごとに料金の比較ができるので適正価格が分かる
- アフターフォローや保証内容が比較できる
情報収集は早いに越したことはありませんので、ぜひ利用してみて下さい。
4.外構費用を抑えるコツとは?
続いて、外構費用を抑えるコツについて解説していきます。
本記事で解説する「コツ」は、あくまでも外構の質はそのままで、単純に外構業者の利益を減らす方法です。
例えば、ウッドデッキの素材を〇〇にすると良い、とか、オープンタイプにすると良い、という「コツ」ではありません。
fa-caret-square-o-right外構を安くする方法をまとめたページもあります。
4-1.ハウスメーカーや工務店で頼まない
多くのハウスメーカーや工務店では、地元の外構業者と繋がっていることがほとんどです。
社内に外構部門を持つ建築会社もあります。
ただ、外構費用の観点からは、ハウスメーカーや工務店には頼まない方が良い、というのが私の経験からの考えです。
ハウスメーカーや工務店が外構業者を紹介した場合、必ず外構業者は紹介料を建築会社に支払っています。
例えば、私が知っている、ある外構業者は、お客様から直接依頼を受けた場合は10%割引が基本です。
しかし、ハウスメーカーから紹介を受けた場合は、5%の紹介料を支払うため、お客様への割引は5%になってしまいます。
ハウスメーカーや工務店からの紹介の場合、建築会社と外構業者間でのコミュニケーションがしっかり取れていて、連携が取りやすいイメージを持つかもしれません。
ただ、直接外構業者に依頼したところで、その外構業者と建築会社の現場監督や住宅営業マンとコンタクトを取ってもらうようにすれば、同じことです。
なるべく自分で探して依頼する方が安く済みますし、デメリットも全くありません。
4-2.相見積りによる値下げ交渉
住宅業界は、他のどの業種よりも相見積りによる値下げ交渉が有効です。
3-3章でご紹介したタウンライフ外構・お庭プラン一括見積サービスなどを利用し、しっかりと相見積りをしましょう。
特に気に入った外構業者よりも低価格帯の業者を見つけておくのが理想的です。
技術や金額にかなり自信がある外構業者は、値下げ交渉には応じてくれない傾向にあります。逆にそういう業者を選ぶのも有効だと思います。
4-3.安ければ良いってものでない
外構費用を抑えるコツを2点ご紹介しましたが、最後に、外構費用は「安ければ良い」というわけではありません。
建築会社選びと全く同じで、ある程度長持ちする素材を選んでおかないと、将来の外構のメンテナンス費用が増える結果になってしまいます。
また、工事費が安い業者を選ぶと、工事の質が悪いこともあります。
過度な値下げ交渉をしたり、安さを重視し過ぎるのも止めておきましょう。
fa-caret-square-o-right外構をおしゃれにするポイントをまとめたページもあります。
4-4.自分でできるところはDIYで対応する
外構工事を安く仕上げるための大技・小技15選にも記載していますが、外構は自分でできるポイントもあります。
難易度が高いところは耐久性やデザイン性が下がってきてしまうのでオススメはできませんが、特に「植栽」関係、「砂利+防草シート」関係は難易度も低めですので、DIYでやれば安くできるはずです。
植栽や砂利、防草シートはガーデニング用品・人工芝・砂利・防草シートをネットやホームセンターで購入すれば安くなるでしょう。
fa-caret-square-o-right人工芝についてまとめたページもあります。
5.まとめ
外構工事費用の相場や、適正価格の確認方法はお分かり頂けましたか?
まとめのポイントは以下の通りです。
- 外構費用の相場目安は「150万円」 ~「建物価格+工事費+諸費用の10%」
- 外構費用は土地の高低差や広さによって金額が大きく変わる
- 外構見積りが適正かは地道な根拠確認と相見積りしかない
最後までご愛読頂きまして誠に有難うございます。