【長期優良住宅とは?】申請出すべきかをわかりやすく解説!

海外の古い家




家を建てる為の勉強をしていると、必ず目に入ってくる「長期優良住宅」とは何か、をわかりやすく解説していきます。
また、長期優良住宅の申請は出した方が良いのか、メリットやデメリットも含めてお伝えします。

本記事の内容はこちらです。

本記事の内容
  • 長期優良住宅とは何か、が簡単に分かる
  • 長期優良住宅の申請を出してもそんなにメリットが大きくないこと分かる
  • 2018年現在、長期優良住宅に適合するのは当たり前になっていることが分かる

1.そもそも長期優良住宅とは?

長期優良住宅は日本で定められた認定基準です。

その長期優良住宅の認定基準をクリアしている住宅は【100年長持ちする家】と言われています。

家が長持ちするための9つの審査基準があって、その基準をクリアするために住宅の性能をアップさせる必要があります。
また、その住宅は長持ちするだけでなく、長期間良好な状態が続かなくてはいけません。

国としては、どんどん長期優良住宅を建てて欲しいので、認定を取得した場合は税金が安くなるなどのメリットもあります。
ただし、手続き費用が発生したり、申請に時間が掛かったりなどデメリットもあります。

 

長期優良住宅をしっかり理解するためには、何故長期優良住宅が生まれたのかを把握するのが手っ取り早いです。

 1-1.長期優良住宅が生まれた理由

日本でこの長期優良住宅の認定基準が作られた、ということは、当然日本の住宅に何かしらの問題点があったと言えます。

まずは最初に、何故この長期優良住宅の認定基準が生まれたのかを解説していきます。

 

10年以上前、日本の家は「30年」で建替の時期と言われていました。
世界の住宅と比較すると、実は先進国の間でここまで寿命が短い家は日本だけなんです。

アメリカでは50年、ヨーロッパでは80年、長持ちする家、と言われています。

では何故日本の家はそんなに寿命が短くなってしまったのでしょう・・・。

その理由は2つあると言われています。

日本住宅の寿命が短くなった原因
  • 風通しを悪くした家にしてしまった
  • 住宅の大量生産

■風通しを悪くした家にしてしまった
大昔の日本の家は、夏向けに作られていました。
冬は火を焚いたり、重ね着をすればやり過ごせましたが、夏は湿度も高く湿気が重なり、どうにもやり過ごせなかった。

だからこそ夏の暑さと湿気をやる過ごすことに重きを置いた家作りになりました。
結果、風通しを良くしたんです。昔の日本住宅家屋

ですが、近年、家電製品の性能が上がったため、風通しを気にせず家作りが出来るようになりました。
そこで断熱材を使うようになったのです。

しかし、それが逆効果となりました。

換気性能が低い状態でグラスウールという断熱材を大量に使ってしまったので、壁の中に湿気が溜まりやすくなり、壁の中がカビて腐ってしまう現象が起きました。
結果、木材や断熱材など寿命を短くしてしまったわけです。

⇒ 断熱材に関しては下記ページが解説していますのでご参照ください。

■住宅の大量生産
高度経済成長時代に、日本でマイホームブームがありました。
戸建を建てることが多くの人の憧れになったんですね。

当時は飛ぶように家が売れたそうです。
ですが、逆にそれが仇となってしまいました。

住宅の大量生産が求められ、質の悪い家がたくさん作られてしまったと言われています。

 

上記2つが主な原因となり、国が「快適な環境が長持ちする家づくり」をしていこうと考えたのが「長期優良住宅の普及」だったわけです。

2.長期優良住宅の審査基準

審査基準

長期優良住宅に適合するには9項目の審査基準をクリアしなくてはいけません。

下記一つずつ解説していきますが、細かく基準を覚える必要はありません。

大事なのは、長期優良住宅に認定されている住宅であれば、
「メンテナンスをしていけば、良い状態で100年以上長持ちする家」
「長期的に快適で健康的で経済的な家」
であるということをしっかり把握しておけば問題ないと思います。

長期優良住宅9つの認定項目
  • 耐震性
  • 劣化対策
  • 維持管理
  • 可変性
  • バリアフリー
  • 省エネルギー
  • 居住環境
  • 住戸面積

1つずつ解説していきますが、細かいことは割愛しますね。

■耐震性
地震に強い家にしなさい、ということです。

・耐震等級を2級以上にする
・免振装置をつける

どちらかをクリアすればOKです。
耐震等級について詳しくは【熊本地震で分かる】どのハウスメーカーも耐震への不安は必要ない?を参考にして下さい。

■劣化対策
構造の柱などの躯体が、75年~90年ほど長持ちするようにしなさい、という基準です。

劣化対策等級3、という等級が取れるレベルです。
また、床下や屋根裏などにしっかり点検口を設け、床下を330mm以上空間を空けることで、いつでも点検や補修ができるようにすることも基準になります。

■維持管理
内装・設備に監視して、清掃・点検・補修・更新が簡単にできるようにしなさい、という基準です。

配管の点検や補修がいつでもできるようにしたり、設備の入替が簡単にできる工夫をしておきなさい、という基準です。

■可変性
ライフスタイルが変わった時に、間取りを簡単に変更(リフォーム)できるようにしなさい、ということです。
※一戸建てはもともとリフォーム可能ですので、この基準は無関係(もともとクリアしている)です。

■バリアフリー
リフォームによってバリアフリー対応にできるようなスペースを確保しておきなさい、という基準です。
新築時にバリアフリーになっている必要はありません。
※一戸建てはもともとバリアフリーにリフォームできるスペースがあるので、この基準は無関係(もともとクリアしている)です。

■省エネルギー
一定の基準以上の省エネ性能にしておきなさい、という基準です。
省エネルギー対策等級4、という等級が取れるレベルにする必要があります。

特に断熱・気密性能が重要です。

■居住環境
建物の景観を周りの環境と馴染ませなさい、という基準です。
周りの住環境を壊すような見た目になっていなければ大丈夫です。

これは検査員が目視で確認します。

■住戸面積
最低限、住宅の広さを確保しなさい、という基準です。
75㎡以上(22.6坪以上)にする必要があります。
※地域によっては55㎡以上に緩和されます。

3.長期優良住宅は申請しないといけないの?

長期優良住宅のメリット・デメリットは後述しますが、そもそも長期優良住宅の資格は取得した方が良いのか、また取得している人の割合なども含めて解説していきます。

 3-1.長期優良住宅に「適合」という表現に注意しよう

ハウスメーカーや工務店などの建築会社を調べたり、営業マンに話を聞くと、
「うちは長期優良住宅に適合しているから安心ですよ」
という言葉を耳にすることがあります。

しかし、この表現には注意が必要です。

この適合している、という言葉の意味は、
長期優良住宅に適合する、つまり基準をクリアする性能の住宅ですよ、
という意味です。

つまり「うちの住宅は基準をクリアすることができるけど、実際に申請を出して長期優良住宅を取得するかどうか、はあなた次第です」という意味でもあります。

基準をクリアできる性能があることと、実際に申請することは別になりますので注意して下さい。

 3-2. 2018年現在、今や長期優良住宅に適合するのは当たり前?

2018年8月現在は、ほとんどの住宅メーカーや工務店で長期優良住宅に適合する性能にすることは当たり前になりつつあります。

現在はさらに性能が高い【ZEH(ゼッチ)】ネットゼロエネルギーハウスに適合させていく方向で国や各建築会社は動いています。
ですので、長期優良住宅にできない建築会社はまず存在しません。

ZEHに関しては下記ページをご参照下さい。

以前は長期優良住宅に適合させるために住宅性能を上げることで、初期投資が大きくなることが一般的でした。
ただ、現在はそのデメリットは無くなりつつあります。

ようは本体価格に含まれる標準装備で長期優良住宅に適合することが一般的だからです。

 3-3.長期優良住宅の申請をしている人の割合はどれくらい?

では、長期優良住宅に適合するのは当たり前になっているとして、
実際に申請を出す方はどれくらいの割合なのでしょうか?

大きなアンケート情報は無いので、私の経験上から見た割合になります。
とはいえ、私個人だけでなく、関わった監督や大工、他の営業マンからの情報もありますので、精度は高いと思います。

2016~2017年ごろを基準として、申請を出している人の割合は、おそらく2割以下です。
ひょっとしたら1割を切るかもしれません。
(私が現役時代に契約して頂いた方は、1組も申請を出していません)

実は、それくらいメリットは小さいということになります。

補足
申請費用を本体価格に含めることで、施主に申請費用の負担が無いようにする親切な建築会社もあります。
その会社の場合はほぼ9割以上の方が申請するはずです

4.長期優良住宅の微妙なメリットとは?

長期優良住宅のメリット

では、長期優良住宅に申請を出して、認定が下りた場合のメリットを解説していきます。

ただし、上述した通りメリットは小さいので、それも合わせて解説します。

 4-1.住宅ローン減税の控除額アップ?

現在家を建てた場合にもらえる補助金の中で最大の金額になる住宅ローン減税。
住宅ローンの約1%弱、毎年税金が安くなる制度です(10年間)。

期間:2021年12月31日までに住宅へ入居(居住を開始)

この住宅ローン減税の最大控除額(税金が減る額)が、400万円から500万円にアップします。

一見、100万円も得になると考えると、メリットは大きいように思えますが、そもそも住宅ローン控除額が400万円を超える人は少ないです。
年収や住宅ローンを組む金額が大きい方に限ります。

すまい給付金かんたんシミュレーションで住宅ローン減税の控除額も試算できますので試してみて下さい。

 4-2.色んな税金が安くなる?

長期優良住宅の認定を受けた場合のメリットに、色んな税金が安くなることも挙げられます。

長期優良住宅の認定による税金緩和
  • 固定資産税(建物が3年間半額措置⇒5年間になる)
  • 不動産取得税免除額(土地の価格のうち、1200万円分の税金が免除される⇒1300万円に変更)
  • 登録免許税(所有権保存登記の税金が0.15%⇒0.1%、所有権移転登記の税金が0.3%⇒0.2%に変更)

上記3点が税金が安くなるメリットです。

これも一見お得に見えますが、正確に計算しますと、一般的な建物や土地の金額であれば20万円もお得になりません。

後述しますが、申請料の負担よりもお得になる額が低い可能性があります。

⇒ 新築後の固定資産税については下記ページで解説していますので、ぜひご参照下さい。

 4-3.資産価値が残せる?

以前は長期優良住宅に価値があり、資産価値が残りやすいと言われていました。

ですが、現在は当たり前の時代になり、資産価値が残りやすいとは考えにくいです。
特に建物の価値は20年で「0円」になるほど早く下がっていきますので、ますます残せるとは言い難いです。

建物の資産価値については下記ページにも記載していますので、良かったら参考にして下さい。

5.長期優良住宅のデメリットとは?

税金免除のイメージ

長期優良住宅はメリットだけではありません。
いくつかのデメリットがあります。

 5-1.多めに申請料が掛かる

行政に申請する為の申請料が必要となってきます。

ハウスメーカーによって多少ばらつきがありますが、申請を出すうえで手間が掛かりますので、手間賃を上乗せすることがほとんどです。
場合によっては15~25万円前後掛かることもあります。

つまり、住宅ローン減税の控除の増額や税金免除額よりも申請費用が高い場合があります。

 5-2.申請に時間が掛かる

申請することで、数週間から長くて1か月ほど余計に時間が掛かることがあります。
賃貸マンション・アパートから戸建新築を考えている方であれば、その時間分家賃が掛かります。

 5-3.将来のランニングコスト増加

長期優良住宅に適合されると、将来的に例えば10年に1度ほどのペースで点検を受ける必要が出てきます。
家の性能維持をするためにメンテナンス費用がかさむ可能性があります。

6.長期優良住宅で得する人、損する人

前章のメリットやデメリットを踏まえると、長期優良住宅に認定されることで得になるとは限りません。

例えば、住宅ローン減税もローンの金額や年収によって金額が異なるので、長期優良住宅の恩恵が受けられるわけではありません。
つまり、人によって長期優良住宅を適合した方が得をする人と損をする人と分かれる、ということです。

長期優良住宅に申請を出した方が良いかどうかは家を建てる予定のハウスメーカーの住宅営業マンなりに必ず相談してみましょう。

注意
長期優良住宅申請は営業マンにとって手間がかかったり工期が延びてしまうことがあるので、めんどくさがる営業マンも中にはいるはずです。信用できなさそうな営業マンなら、概算でも良いのでメリットとデメリットの金額を出してもらうのも良いでしょう。

7.まとめ

長期優良住宅は金銭的なメリットというよりも、家の性能を客観的に判断できるという安心感があります。

特にローコストメーカーや工務店などで実際の家の性能に不安感がある場合は、お金が掛かったとしても長期優良住宅に申請を出すのも良いかもしれません。

ある程度大手のメーカーで、長期優良住宅に適合する性能とうたっているメーカーであれば、性能に関してはそんなに心配しなくても良いと思います。

申請を出すべきは、皆様の状況で情報を集めてメリット・デメリットを踏まえて検討しましょう。

最後までご愛読頂きまして有難うございました。



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