【長期優良住宅とは?】申請費用や方法、申請すべきかなどを解説

「長期優良住宅って、具体的にどんな住宅なの? 申請にかかる費用や申請方法についても知りたい」

「あるハウスメーカーで長期優良住宅の申請費用が20万円ほどかかるって言われたけど、申請すべき?」

家疑問くんそんな疑問にお答えします。

 

「長期優良住宅」とは何か、メリット・デメリットも含めて、なるべく分かりやすく解説していきます。

本記事の内容はこちらです。

本記事の内容
  • 長期優良住宅とは何か、申請した方が良いのかが分かる
  • 長期優良住宅の申請費用や申請の流れ・注意点が分かる
  • 現在の新築では、長期優良住宅に適合するのは当たり前になっている

では早速解説していきます。

1.そもそも長期優良住宅とは?

長期優良住宅は日本で定められた認定基準です。

その長期優良住宅の認定基準をクリアしている住宅は【100年長持ちする家】と言われています。

家が長持ちするための審査基準が9つあり、その基準をクリアするための住宅性能が求められます。

国としては、なるべく長期優良住宅の基準をクリアしている家を建てて欲しいので、認定取得すると税金が安くなるなどのメリットを設けています(5章で詳しく解説)。

ただし、6章で解説しますが、手続き費用が発生したり、申請に時間がかかるというデメリットもあります。

 

長期優良住宅を理解するには、なぜ「長期優良住宅」という制度が生まれたのか、を把握するのが早いと思いますので、ご興味ある方は1-1章をご覧ください。

1-1.長期優良住宅が生まれた理由

2010年ごろまで、日本の家は「30年」で建替の時期、つまり「寿命」と言われていました。

先進国の住宅と比較すると、実はここまで寿命が短いのは日本だけだったんです。

アメリカでは50年、ヨーロッパでは80年、長持ちする家、と言われています。

なぜ日本の家はそんなに寿命が短くなってしまったのでしょう。その理由は2つあると言われています。

日本住宅の寿命が短くなった原因
  • 風通しを悪くした家にしてしまった
  • 住宅の大量生産

1つずつ解説します。

 

■風通しを悪くした家にしてしまった

大昔の日本の家は、「夏をしのぐ」ことに重点が置かれた設計になっていました。

冬は家の中で火を焚けばやり過ごせましたが、夏は暑い上に湿度が高いので、どうにもやり過ごせなかった。

だから、風通しを優先した、構造・間取りになっているわけです。昔の日本住宅家屋

ですが、戦後、家電製品の性能が一気に上がり、冷房が登場したため、風通しを気にせず家作りができるようになった。

今度は家の保温に注目され、「断熱材」が使われるようになったのです。

しかし、それが逆効果となりました。

まだまだ換気性能が低いのに、グラスウールという断熱材を大量に使ってしまったので、壁の中に湿気が溜まりやすくなり、壁の中がカビて腐ってしまう現象が起きてしまう結果となった。

そうなれば当然、住宅そのものの寿命を短くしてしまうわけです。

断熱材に関しては下記ページが解説していますのでご参照ください。

■住宅の大量生産

高度経済成長時代に、日本で「マイホームブーム」がありました。

戸建を建てることが多くの人の憧れになったんですね。

当時は飛ぶように家が売れたそうです。ですが、逆にそれも仇となってしまったそう。

住宅の大量生産が求められ、どんどんと質の悪い家が作られてしまったと言われています。

 

上記2つが主な原因となり、国が「快適な環境が長持ちする家づくり」をしていこうと考えたのが「長期優良住宅の普及」だったわけです。

2.長期優良住宅の審査基準

審査基準

長期優良住宅に適合するには9項目の審査基準をクリアしなくてはいけません。

1つずつ解説していきますが、細かく基準を覚える必要はありません。

大事なのは、長期優良住宅に認定されている住宅であれば、

  • メンテナンスをすれば、100年長持ちする家
  • 長期的に快適で健康的で経済的な家

ということをしっかり把握しておけば問題ないと思います。

長期優良住宅9つの認定項目
  • 耐震性
  • 劣化対策
  • 維持管理
  • 可変性
  • バリアフリー
  • 省エネルギー
  • 居住環境
  • 住戸面積

1つずつ解説していきますが、細かいことは割愛します。

■耐震性

地震に強い家にしなさい、ということです。

  • 耐震等級を2級以上にする
  • 免振装置をつける

どちらかをクリアすればOKです。

それぞれ、詳しくは下記ページをご確認下さい。

■劣化対策

柱などの骨組みが、「75年~90年ほど長持ちするようにしなさい」という基準です。

劣化対策等級3、という等級が取れるレベルです。

また、床下や屋根裏などにしっかり点検口を設け、床下を330mm以上空間を空けることで、いつでも点検や補修ができるようにすることも基準になります。

■維持管理

内装・設備に関して、「清掃・点検・補修・更新が簡単にできるようにしなさい」という基準です。

配管の点検や補修がいつでもできるようにしたり、設備の入替が簡単にできる工夫をしておきなさい、という内容になります

■可変性

ライフスタイルが変わった時に、「間取りを簡単に変更(リフォーム)できるようにしなさい」ということです。
※戸建てはもともとリフォーム可能な設計という認識されるので、この基準は無関係(もともとクリアしている)です。

■バリアフリー

「リフォームによってバリアフリー対応にできるようなスペースを確保しておきなさい」という基準です。

新築時にバリアフリーになっている必要はありません。
※戸建てはもともとバリアフリーにリフォームできるスペースがあると認識されるので、この基準は無関係(もともとクリアしている)です。

■省エネルギー

「一定の基準以上の省エネ性能にしておきなさい」という基準です。

省エネルギー対策等級4、という等級が取れるレベルにする必要があります。特に断熱・気密性能が重要です。

■居住環境

「建物の景観を周りの環境と馴染ませなさい」という基準です。

周りの住環境を壊すような見た目になっていなければ大丈夫です。これは検査員が目視で確認します。

■住戸面積

「最低限の住宅の広さを確保しなさい」という基準です。

75㎡以上(22.6坪以上)にする必要があります。
※地域によっては55㎡以上に緩和されます。

 

3.長期優良住宅は申請しないといけないの?

長期優良住宅のメリット・デメリットは後述しますが、そもそも「長期優良住宅」は取得した方が良いのか、また取得している人の割合なども含めて解説していきます。

 

3-1.長期優良住宅に「適合」という表現に注意しよう

ハウスメーカーや工務店などの建築会社を調べたり、営業マンに話を聞くと、
「うちは長期優良住宅に適合しているから安心ですよ」
という言葉を耳にすることがあります。

しかし、この表現には注意が必要です。

この適合している、という言葉の意味は、
「長期優良住宅に適合する、つまり基準をクリアする性能の住宅ですよ」
という意味です。

つまり、

「うちの住宅は基準をクリアすることができるけど、実際に申請を出して長期優良住宅を取得するかどうか、はあなた次第」

という意味でもあります。

基準をクリアできる性能があることと、実際に申請することは別になりますので注意して下さい。

 

3-2. 今や長期優良住宅に適合するのは当たり前?

2019現在、ほとんどの建築会社で建てる住宅は、長期優良住宅に適合する性能になっていることは当たり前になっています。

今はどちらかと言うと、長期優良住宅よりも断熱・気密などの省エネ性能がさらに高い【ZEH(ゼッチ)】という基準に適合させていく方向で、国や各建築会社は動いています。

ですので、長期優良住宅に適用できない、という建築会社はまず存在しません。

ZEHに関しては下記ページをご参照下さい。

以前は長期優良住宅に適合させるために住宅性能を上げることで、初期投資が大きくなることが一般的でした。

今は本体価格に含まれる標準装備で長期優良住宅に適合することが当たり前になっています。

 

3-3.長期優良住宅の申請をしている人の割合はどれくらい?

では実際に、長期優良住宅に申請を出す人はどれくらいの割合なのでしょうか?

アンケート情報は公表されていないので、私の経験上からの割合になります。

とはいえ、私個人だけでなく、関わった監督や職人、営業マンからの情報もありますので、精度は高いと思います。

2016~2017年ごろを基準として、申請を出している人の割合は、おそらく「2割以下」です。

ひょっとしたら1割を切るかもしれません。
(私が現役時代に契約して頂いた方は、1組も申請を出していません)

それくらい長期優良住宅のメリットは大きくない、ということになります。

 

4.長期優良住宅の申請費用や申請方法

本章では、長期優良住宅の申請について、費用や流れについて解説します。

 

4-1.申請費用の目安

まず、家を建てる県や市町村によって料金が異なりますが、長期優良住宅の許可申請には申請料(手数料)が必要です(行政に支払う料金)。

戸建の場合は、おおよそ3~5万円。

ただ、申請は建築会社に依頼することになるので、「構造計算・書類作成・審査立ち合い」などの手間賃が上乗せされます。

建築会社によって多少ばらつきがありますが、「申請手数料+建築会社の手間賃」はおおよそ次の金額になります。

「申請手数料+建築会社の手間賃」の目安: 20~30万円前後

 

 

4-2.申請は自分でできる?

上記の申請費用が勿体ないからと、「自分で申請したいな」と思う方もいるかもしれません。

ただ、結論から言えば、「自分での申請は不可能」と考えてもらった方が良いと思います。

構造計算や、長期優良住宅の9つの基準について完全に理解している、という設計士なみの知識があれば別ですが、一般の方ではまず無理でしょう。

仮に理解していても、結局、建築会社からいろいろな資料をもらったり、質問しなくてはいけなくなりますので、建築会社の人もかなり嫌がるはずです。

申請の代行業者もあるようですが、探したり依頼する手間暇を考えると、建築会社に依頼した方が無難だと思います。

 

4-3.申請の流れや注意点

どの県市町村でも、申請のタイミングは以下のように定まっています。

長期優良住宅の申請・審査は「着工前(工事が始まる前)」

逆に言えば、「長期優良住宅の審査が通るまで、工事を始めてはいけませんよ」ということです。

 

建築会社側でも、もちろん申請の準備期間が必要となるわけですが、ではいつまでに申請する旨を伝えれば良いのでしょうか。

それは「追加変更請負契約」を交わす前です。

新築全体の流れは下記ページにまとめていますので、タイミングが分からない方はご確認下さい。

つまり、間取りやコーディネートなどの打ち合わせが完了するまでに申請したいという希望を建築会社に伝えないといけません。

工事が始まってから「申請したい!」と言い出しても、絶対にできませんので注意しましょう。

 

5.長期優良住宅のメリットは小さい?

長期優良住宅のメリット

長期優良住宅を申請するメリットを解説していきます。

 

5-1.住宅ローン減税の控除額アップ?

家を建てた場合にもらえる補助金の中で最大の金額になる住宅ローン減税。住宅ローンの約1%弱、毎年税金が安くなる制度です(10年間)。

期間:2021年12月31日までに住宅へ入居(居住を開始)

この住宅ローン減税の最大控除額(税金が減る額)が、400万円から500万円にアップします(10年間で)。

一見、100万円もお得になるように感じますが、そもそも住宅ローン控除額が400万円を超える人は少なく、年収や住宅ローンを組む金額が大きい方に限ります。

すまい給付金かんたんシミュレーションで住宅ローン減税の控除額も試算できますので試してみて下さい。

住宅ローン減税(控除)についてまとめたページがあります。

 

5-2.色んな税金が安くなる?

長期優良住宅の認定を受けた場合のメリットに、いろいろな税金が安くなることも挙げられます。

長期優良住宅の認定による税金緩和
  • 固定資産税(建物が3年間半額措置⇒5年間になる)
  • 不動産取得税免除額(土地の価格のうち、1200万円分の税金が免除される⇒1300万円に変更)
  • 登録免許税(所有権保存登記の税金が0.15%⇒0.1%、所有権移転登記の税金が0.3%⇒0.2%に変更)

上記3点が税金が安くなるメリットです。

これもお得に見えますが、正確に計算しますと、一般的な建物や土地の金額であれば20万円もお得になりません。

後述しますが、申請料の負担額よりも低い可能性があります。

新築後の固定資産税や不動産取得税については下記ページで解説しています。

 

5-3.資産価値が残せる?

少し前までは「長期優良住宅」に価値があり、認可が下りれば資産価値が残りやすいと言われていました。

ですが、現在は長期優良住宅の基準に「適合する」住宅が当たり前の時代になっています。

申請を出したからといって、出していない住宅と比較して、資産価値が残りやすいとは考えにくいので、残念ながらこれはメリットには含まれません。

 

6.長期優良住宅のデメリットとは?

税金免除のイメージ

長期優良住宅はメリットだけではありません。

デメリットが2つありますので解説します。

 

6-1.申請、許可が出るまで時間が掛かる

4-3章で解説しましたが、長期優良住宅は、着工前までに申請・申請が必要になり、許可が出るまで工事ができません。

許可ができるまでの期間は市町村によってバラバラですし、建築会社によっても申請のタイミングが異なりますが、申請を出せば「工事開始が、数週間~1か月ほど遅くなる」ことを覚えておきましょう。

大した負担ではないかもしれませんが、賃貸マンション・アパートに住んでいる方なら、家賃の負担が少し大きくなることになります。

 

6-2.将来のランニングコスト増加

長期優良住宅として認可されて、はい終了、ということにはならないのが厄介なところ。

将来的に、ちゃんと長期優良住宅として基準をクリアしている状態で維持されているか、のチェックが発生します。

※長期優良住宅は登場してからまだ約10年しか経っていないため、実際にしっかりとしたチェック機関が動いているかどうかの事例はありません。

例えば10年に1度ほどのペースで再チェックを受ける必要が出てきます。

つまり、家の性能を維持をするためのメンテナンス費用が大きくなる可能性があるということです。

 

7.長期優良住宅で得する人、損する人

長期優良住宅の申請費用や、メリットやデメリットを踏まえると、申請を出すことで必ず得になるとは限りません。

人によって長期優良住宅を適合した方が得をする人と損をする人と分かれる、ということです。

例えば、次のような内容によって、得か損かが分かれてきます。

  • 住宅ローンの借入額や年収(住宅ローン減税の控除額アップ)
  • 建築会社の申請費用の金額
  • 土地を購入するかどうか
  • 支払う税金(固定資産税や不動産取得税)の金額

長期優良住宅に申請を出した方が得になるかどうか、は建築会社の住宅営業マンなりに相談してみましょう。

ただ、私個人としては、現段階で長期優良住宅の申請するメリットはかなり低いように感じています。

 補足
2019年6月の段階で、国土交通省が長期優良住宅制度が始まってから10周年ということで、制度の在り方の見直しを行っています。
今後さらに制度の普及を図るため、「認定の枠組み」「申請によるインセンティブ」「事務手続きの簡略化」の3つの見直しをしています。
場合によってはとても魅力的な制度になる場合もありますので、内容が分かり次第、記事に反映させていきます。

 

8.まとめ

長期優良住宅は金銭的なメリットというよりも、家の性能を客観的に判断できるという安心感があります。

例えばローコストメーカーや工務店などで実際の家の性能に不安感がある場合は、お金が掛かったとしても長期優良住宅に申請を出すのも良いかもしれません。

長期優良住宅に適合する性能です!と、うたっているハウスメーカー・工務店であれば(信用できる場合)、申請する心配はないのかもしれません。

申請を出すべきかは、あなたの状況で次第ですので、メリット・デメリットを踏まえて検討しましょう。

 

最後までご愛読頂きまして有難うございました。