メンテナンスイメージ

「家を建てた後のメンテナンス費用ってどれくらいなの? 木造と鉄骨とかの構造によっても違うの?」

「【メンテナンスフリー】をウリにしている建築会社は、やっぱりメンテナンス費用があまり掛からないの?」

家疑問くんそんな疑問にお答えします。

 

なるべくなら、メンテナンス費用がかからない建築会社を選びたいところ。

ただ、中には「うちのメーカーはメンテナンス費用がほとんどかかりません」と間違った情報を伝えてくる営業マンもいる始末。

本記事では、住宅業界にいた私の経験を活かして、なるべく真実にそくした情報をお伝えしていきます。

本記事の内容はこちら。

本記事の内容
  • メンテナンス費用を基準に建築会社を選ぶことができないのが分かる
  • 木造や鉄骨、RCなどの構造によるメンテナンス費用の違いが分かる
  • 主要な設備や建材のメンテナンス費用の目安
  • 30年間のメンテナンス費用全体の目安や、毎月どれくらい貯蓄していけばいいのかが分かる

では早速解説していきます。

住宅メンテナンスの時期(スケジュール)を知りたい方は下記ページをご参照下さい。

1.適切にメンテナンスすることで、長期的に見れば得をする

実際に戸建てを建てた人の中で「メンテナンス費用のための貯蓄をしていない」という方がとても多いのが現状ではないでしょうか。

そして新築から10年後、建築会社から突然メンテナンスの見積りが送られてきて、その金額にびっくりすることになる・・・。

その金額は150万円前後。

建築会社から「メンテナンスすれば【保証】が10年間延長されますが、どうしますか?」と聞かれることになります。

しかし、貯蓄準備していなかったため「メンテナンスは断り、そのまま放置する」方も多いと思います。

保証についてまとめたページもありますので合わせてご参照ください。

上記記事にも記載していますが、もちろんメンテナンスは建てた建築会社でやってもらう必要はありません。

ただ、どんな住宅であれ20~30年もメンテナンスをしないと劣化してきて破損したり故障につながります。

破損や故障の場合、費用が大きくなってしまうことは誰でも想像できるはず。

「定期的なメンテナンスをすることが各建材や設備を長持ちさせ、破損や故障リスクの減少につながる」ということは肝に銘じておきましょう。

その方が30年という長い目で見れば費用は小さくなるはずです。

また、これはどんな建築会社の、どんな構造でも同様です。

本記事で、メンテナンス費用の目安や、月々の貯蓄額を参考にして、メンテナンスの準備をして頂ければと思います(詳しくは5章に記載しています)。

2.メンテナンス費用を基準にハウスメーカーや工務店を選んではいけない

メンテナンス調査のイメージ

とあるハウスメーカーの住宅営業マンはこんなことを言うことがあります。

  • 「ウチの強みはこの特殊な外壁です。この外壁材は火災や地震にも強く、何十年とメンテナンスの必要がありません」
  • 「わが社の屋根は特殊な鋼板を使っています。強度も強く、紫外線に当たると汚れが消える光触媒となっていますので、何十年とメンテナンスが必要ありません

それぞれ、メーカーによって強みが異なるわけです。

そして、この営業マン達は決まってこう言います。

「弊社はたしかに高額ですが、メンテナンス費用を抑えることができるため、トータルでは得になります」、と。

しかし、残念ながら、この情報は真っ赤なウソです(営業マン達も悪気はありません)。

これがウソな理由は2つ。

  • メンテナンスフリーな外壁や屋根材は、メンテナンス費用全体のほんの一部でしかない
  • 坪単価が高い建築会社は、メンテナンス費用も高くなる

1つずつ解説していきます。

2-1.メンテナンスフリーな外壁や屋根材は、メンテナンス費用全体のほんの一部でしかない

「外壁材が優れている」建築会社なら、確かに外壁のメンテナンス費用は半分以下に抑えることができると思います。

しかし、それはメンテナンス費用全体のほんの一部でしか過ぎません。

メンテナンスは多岐に渡り「外壁・屋根・水回り設備・換気設備・バルコニー(屋上)・クロス・床材・シロアリ」などいろいろあります。

さらに付け加えるなら、外構にもメンテナンス費用がかかります。

確かに外壁や屋根材などの主要な建材が「メンテナンスフリー」と言われれば、すごくお得なイメージになりますが、それは一部でしかないことを念頭においておきましょう。

2-2.坪単価が高い建築会社は、メンテナンス費用も高くなる

坪単価が高い建築会社では、使用されている建材や設備のグレードが上がるため、確かに「長持ち」するでしょう。

しかし、建材や設備のグレードが上がれば、当然「点検・修理・部品交換」などの費用が上がることはイメージできると思います。

実際に、10年毎にある建築会社のメンテナンスは、新築時の坪単価が高ければ高いほど、見積りの金額が高くなる傾向があります。

 

上記2つの理由から、こんな結論が出ますよね。

「メンテナンス費用という曖昧な基準で建築会社を選んではいけない」

少しでもメンテナンス費用を下げたい、というのは誰もが思うところではありますが、「この建築会社はメンテナンス費用が安そう・高そう」というイメージは間違っているケースの方が多い。

どの建築会社も変わらない、または坪単価に比例すると思う方が適切だと思います。

それよりも【自分の理想の家を建ててくれそう】という総合的な基準で選ぶことが大事です。

建築会社の選び方で失敗する原因をまとめたページもあります。

 

3.木造・鉄筋・RCなど、構造によるメンテナンス費用の違い

住宅にはいろいろな構造・工法がありますが、大きく分けると「木造」「鉄骨」「RC(鉄筋コンクリート)」の3種類があります。

新築の価格帯は、平均すれば「木造<鉄骨<RC」という順序で、RCがもっとも高いです。

構造や工法の違いについて解説しているページもあります。

では、メンテナンス費用に差はあるのでしょうか?

結論を言えば次のようになります。

木造・鉄骨・RCなどの構造によってメンテナンス費用の差はほとんどない

構造部分というのは、木造でも鉄骨でもRCでも、ほとんどメンテナンスをすることはないからです。

RCの場合のみ、屋根部分や外壁部分がコンクリートむき出しの「打ちっ放し」にすれば、屋根・外壁のメンテナンスが不要になるように感じるかもしれませんが、コンクリートであろうとクラック(ひび割れ)などの補修費用が発生するわけですから、結局一緒になる、ってことです。

木造・鉄骨・RC、とそれぞれの建材・設備でメンテナンスが必要になるわけですから、構造・骨組みによって差は生まれません。

ただし、2-2章で解説したとおり、メンテナンス費用は建物の坪単価に比例しますので、比較的「鉄骨・RC」の方がメンテナンス費用は高くなる傾向にあります。

 

4.各設備や建材のメンテナンス費用の目安

外壁のメンテナンス続いて、各設備や建材別にメンテナンス費用の目安や平均を解説していきます。

どんな設備・建材を選ぶかで金額も変わりますので、タイプ別に説明していきます。

4-1.外壁材

メンテナンスでもっとも大きい費用になるのがやはり「外壁」です。

外壁材は多種多様ですが、大きく分けて次の3種類。

  • タイル
  • サイディング材
  • 吹き付け

タイル

基本的にメンテナンスフリーと言われるタイル。

タイルそのものは、ほぼ劣化しませんが、目地のメンテナンスや、剥がれなどの補修費用が発生する場合があります。

点検や発生した場合や補修費用を考えると、10年の費用平均は【30~40万円】と言われています。

※タイルのメンテナンス費用は必ず発生するわけではありません。

サイディング材

昔のサイディング材は劣化も早く、10年経たないうちに色褪せましたが、最近では塗膜コーティング技術が進み、15~20年はほぼ色褪せや劣化しないものが増えてきています。

ただ、目地(継ぎ目)のシーリング材は劣化が早く、7~10年ほどが交換目安となります。

シーリングの交換費用は【25~35万円】(35坪前後の住宅)が平均相場

※15~20年以上長持ちする高強度シーリング材も登場してきています。

また、15~20年ほどを目安に、表面の塗装メンテナンスが推奨されていて、費用は【60~140万円】が平均相場です。

サイディング材自体の交換は30~40年が目安となり、サイディング材の交換費用は【180~230万円前後】と非常に大きいものになります。

これらのメンテナンスをしっかりやったとして、10年間で費用を平均すると

サイディングメンテナンスの費用を10年間で平均すると(40年間の費用合計÷4)=【70~110万円】

となり、かなり高額になります。

グレードの高いサイディングやシーリング材を選ぶことでメンテナンス費用をぐっと抑えられますのでオススメです。

吹き付け

吹き付けは初期投資が低く、デザインの自由度が高いのが特徴ですが、タイルやサイディングと比較すると劣化が早く、メンテナンス費用が大きくなる可能性が高くなります。

近年では選択されることは少なくなりましたが、長持ちする塗料も開発されてきていますので、根強く人気が残るかもしれません。

長持ちする年月は塗料の種類によって大きく異なりますが、おおよそ8年~20年ほどで吹き付けし直すことになります。

1回の吹き付け費用は【50~100万円】とこれも塗料によって異なります。

4-2.屋根材

屋根材は大きく分けると3種類。

  • スレート屋根
  • 日本瓦
  • 金属屋根

1つずつ解説していきます。

    スレート屋根

    近年もっともポピュラーになった屋根材で、軽くてリーズナブルがウリです。

    交換目安は30~35年ですが、10年前後でメンテナンスが必要となります。

    10年前後のメンテナンス費用(点検、補修、塗装)は【25万円~40万円】です。

    30~40年後、スレート屋根を交換する場合は【100~140万円】(35坪前後の住宅)の費用となります。

    日本瓦

    現在は、その重量で耐震性の不利になってしまうことや、デザイン的な理由で選択されることはほとんど無くなりました。

    しかし、補修・修理以外はまずもってメンテナンス費用が発生しないのが最大のメリットと言えます。

    金属屋根

    ガルバリウム鋼板などの金属の屋根です。

    特に最近のものは性能が高く、基本的に50年以上長持ちすると言われています。

    しかし、スレート屋根同様に、定期的なメンテナンス費用は必要になります。

    10年前ごとのメンテナンス費用(点検、補修、塗装)は【25万円~40万円】です。

    4-3.クロス張替え

    クロスの張替えは、もちろん、場所によって劣化速度が大きく異なります。

    子供部屋やリビング、水回りなどは劣化が早いと思います。

    全体的にはやはり10年で汚れも目立ってきますので、10年前後が張り替えタイミングになるでしょう。

    汚れが激しいところから優先して、順々に交換していけばいいと思います。

    クロス張替えの費用は1㎡5,000円前後。

    35坪の家の約3分の1のクロスを交換すると、おおよそ20万円前後になります。

    4-4.水回り

    水回りのメンテナンスイメージ
    水回りの費用は大きく分けると以下の3種類。

    • 給湯器(エコキュート修理・交換)
    • キッチン周り
    • 洗面、浴室、トイレ回り

    水回りのメンテナンスや修理費用は、それこそ選んだ設備や環境、使い方にもよっても大きく異なります。

    また、給湯器のように大型の機械もあれば、シャワーヘッドや水道のパッキン交換などの小さく費用もあり、それこそ千差万別となります。

      エコキュート(給湯配管含む)やエコジョーズなどの給湯器の交換は、おおよそ15年前後が目安となり、その費用は【60万~80万円】

      その他の費用を全てまとめると、約30年間の間に水まわり設備の交換費用はおおよそ【150万~250万円】と言われています。

      ※内、100~150万円はキッチン交換費用です。

      4-5.床材(フローリング)

      床材は大きく分けて、無垢材とそれ以外の複合材の2種類に分かれます。

      基本的に部分補修ができますので、全面交換すると言うより、都度傷んでいるところを補修するのが良いでしょう。

      金額は一度の補修で数万円から可能です(8帖で10万円前後)

      全面フローリング交換の場合は【100万円前後】(35坪前後の住宅)は必要となります。

      ただ、なるべく事前にフロアコーティングしておけば痛みや劣化がかなり軽減されるので、事前にやっておくことをオススメします。

      新築後のフロアコーティングをやっておくべき理由をまとめています。

      4-6.換気設備

      換気設備のメンテナンスは、「第一種換気」のみ、費用が発生します。

      ※第一種換気は、「機械」で吸気・排気を行うので計画的な換気が可能。

      第一種換気は、吸気部にフィルターを付けて空気をろ過したり、空気の熱交換器を設置して暖房効率を高めたりなど、住宅性能を高めるのに一役買います。

      反面、ダクト洗浄や設備のメンテナンス費用が発生するのが欠点と言えます。

      ■ダクト洗浄
      10年に一度は行いましょう。
      ダクト洗浄の費用は3~5万円で可能。

      ■熱交換器などの設備
      熱交換器も種類や性能が異なりますので、費用は上限します。
      熱交換器などの設備メンテナンス費用は、10年でおおよそ【10~30万円】となります。

      換気に関しての詳細は下記ページにまとめています。

      4-7.シロアリ対策

      シロアリ対策に関しては、木造でも鉄骨・RCの構造でも、7~8年に一度、防蟻処理を行うことを推奨しています。

      防蟻処理の費用は一度に【15万円前後】です。

      シロアリに関しての詳しい情報は下記ページをぜひご参照下さい。

      4-8.バルコニーや屋上

      メンテナンス費用で忘れがちになるのが、バルコニーや屋上のメンテナンス費用。

      特にシート防水やFRP防水の加工処理の場合は、定期的なメンテナンスが必要です。

      シート防水もFRP防水も、耐用年数は10~15年前後になります。

      8帖のテラス・バルコニーの防水加工のメンテナンス費用はおおよそ【10~15万円前後】となります。

       

      5.30年間のメンテナンス費用全体の目安・平均

      メンテナンス費用の平均を示す情報があります。

      戸建て修繕費の平均は556万円、修繕費を積み立てた経験がある人は1割弱
      「新築一戸建て購入後30年以上住んでいる人に聞く『一戸建て修繕の実態』調査」の結果を発表。
      全国の、木造の新築一戸建てを購入して30年以上住んでいる50~70代の男女495人(50代59人、60代265人、70代171人)を対象として、平成28年7月8~10日にインターネット調査を実施したもの

      出典:アットホーム(株)「新築一戸建て購入後30年以上住んでいる人に聞く『一戸建て修繕の実態』調査」

      早い段階で転居・解体することが分かっていればメンテナンスする必要はないかもしれませんが、今は人生100年時代、長生きが「リスク」という考え方が広まりつつあります。

      30~40歳で家を購入しても、80~100歳、つまり50~60年間住み続ける可能性だって十分にある。

      また、最近の住宅はちゃんとメンテナンスすれば60~80年以上は長持ちしますから、60歳過ぎて建て直すくらいなら、メンテナンス費用をしっかりかけた方がメリットが大きいかもしれません。

      メンテナンスのために毎月積み立てると良い金額とは?

      上記の情報を、最近の新築住宅に当てはめて考えると、

      新築から30年間でかかるメンテナンス費用の平均は【400~500万円】

      になると思います。

      これは「月々11,000~14,000円」を積み立てればよい計算になります。

      最低でも「毎月1万ずつ」メンテナンスのための貯蓄をしていくことが理想的ではないでしょうか。

      また、新築の予算を検討する上でも加味していくことが必要だと思います。

      6.まとめ

      住宅のメンテナンス費用の目安をお分かりになりましたか?

      また、同時にメンテナンスのためにコツコツ貯蓄していくことが、トータルでは大きなプラスになることが伝われば幸いです。

       

      最後までご愛読頂きまして有難うございます。