「シロアリ対策が不要っていうハウスメーカーがあるけど、やっぱりそういう建築会社を選んだ方が安心?」
「シロアリの被害を受けないようにするには、実際どうすれば良いの?」
そんな疑問にお答えします。
新築後、定期的なシロアリ対策が必要ないと思ってしまう方が結構いらっしゃいます。
でもそれは大きな誤りですし、その間違った認識が住宅という大切な資産にダメージを与えるきっかけとなってしまいます。
この記事でシロアリの正しい知識を身につけ、大切な資産を守っていきましょう。
本記事の内容はこちらです。
- シロアリへの誤認識と住宅営業マンのウソ
- シロアリ正しい情報
- シロアリの被害確率の目安は?
- 具体的なシロアリ対策
- 新築前後の予防方法
では早速解説していきます。
目次
1.シロアリへの誤認識と住宅営業マンのウソ
実際のシロアリ被害や予防・対策は何十年前から存在しているのに、どういうわけか正しい認識が広がりません。
その要因は2つ考えられます。
- 営業マンがシロアリに関して、自分たちのメーカーの都合が良い部分のみを情報操作してお客様に伝えてしまっている(完全にウソではないから厄介)。
- シロアリ被害は新築後10~20年以降と期間的な範囲が広く、かつ被害は確率の問題の為、必然と曖昧な情報が多くなってしまう。
特に、次のような2つの住宅営業マンのセリフには注意しましょう。
■「弊社は木造メーカーとは違い鉄骨メーカーなので、シロアリ被害はありません。ですので、将来のメンテナンス費は不要です!」
これはウソです。シロアリはガラスと陶器以外は何でも食べます。
ただ、木の方がやわらかいので食べ易いというだけです。
それに、鉄骨メーカーでも木材や断熱材、石膏ボードなどは使っていますので被害に会うのは必然です。被害遭遇の確率としてはやや木材の方が上というだけです。
■「弊社の木材には加圧式で薬剤を注入して中まで浸透させていますので、まず大丈夫です!」
これもウソです。
加圧注入式であれば住宅の骨組みの木材は、シロアリに食べられない期間が5年から10年と長くなりますが、10年くらいしか持たない上に他の建築材が被害に遭います。
2.シロアリ正しい情報
続いて、シロアリに関しての「基本」を覚えましょう。
2-1.シロアリの生態
シロアリはイメージが先行して実際の生態を誤解している場合が多いので注意しましょう。
シロアリの特徴を一覧にします。
- シロアリは環境さえ整えば、爆発的に増殖して、ガラスと陶器以外は何でも食べてしまう。
- やわらかいものを好むので、同じ場所にあるやわらかい素材(例:木材や断熱材)から食べるが、最終的には固いものも食べる(つまりヒノキも食べます)。
- 木造だろうが鉄骨だろうがコンクリートだろうが、何でも食べる上に小さく僅かな隙間から侵入するので、ベタ基礎だろうが隙間を無くして侵入を防ぐことはできない。
- 30~35度前後の温度帯を好み、かつ湿気が高い場所を好む。
ただし、土から水を運び入れて自ら湿度を高くすることもできるので、乾燥していれば必ず防げるというわけでは無い。 - 木材が腐った時に発生する木材腐朽菌の臭いには敏感に反応するので古い木造住宅は被害確率が非常に高い。
2-2.シロアリの予防や保証などの基本的な情報
その他のシロアリ情報をリスト化します。
- シロアリの直接的な予防は、木材に薬を染み込ませる(または塗る)方法と、土壌に薬を散布して侵入されない方法があるが、どちらも併用しているハウスメーカー・工務店が多い。
(換気、調湿などのシロアリが増殖しにくい環境を作る間接予防は別にある) - シロアリ予防の薬剤は5年を境に効果が急速に衰えていく。
- シロアリ予防の保証は5年がほとんど。
- 被害は確率の問題なので、どんな状況下においても「大丈夫」ということは言い切れないし、メンテナンスフリーにできるということは有り得ない。
建築会社の施工方法によってはシロアリの被害確率を若干下げることはできますが、被害を「0」にすることはできないことを覚えておきましょう。
fa-arrow-circle-rightシロアリ以外の住宅の保証に関して知りたい方は下記ページをご参照下さい。
3.シロアリの被害確率の目安は?
では実際にシロアリの被害確率はどれくらいなのでしょう。
実は国土交通省がシロアリに関して非常に詳しく調査しています。
※とても良い調査資料がインターネットで公開されていたのですが、2020年5月現在、残念ながら調査書はリンクが切れてしまっています。
資料によると、シロアリの被害確率は以下の形になります。
- 新築年数10年未満の被害発生率は、ほぼ0%
- 新築年数は10年以上になると被害発生率は4~6%に上昇
- 20~30年以上になると被害発生率は10~30%以上に急激に上昇
つまり、5~9年に1回、業者様に依頼してシロアリ予防のメンテナンスを入れることが、確率から考えると安心なラインではないでしょうか。
もちろん、建築会社や施工方法によって被害確率は上下することは確かですが、絶対に「0%」になることは無く、年月が経てればどんどん被害確率が上がっていくことは間違いありません。
営業マンの「大丈夫」という言葉に安心せずに、資金計画の段階で将来のシロアリ予防の費用も考えていくのが良いでしょう。
4.具体的なシロアリ対策
シロアリ対策の正しい考え方を元に、では実際にどんなシロアリ対策を施していけば良いか説明していきます。
まず、対策は2つに分類する必要があります。
- 新築時の予防
- 新築後の予防
家を建てる時と、建てた後、それぞれで考えていく必要があるんですね。
では、一つずつ考えていきましょう。
4-1.新築時の予防
新築時の予防は基本、ハウスメーカーや各種業者さんにお任せするしかありませんが、しっかりと把握しておくべきポイントを確認しましょう。
ハウスメーカーに、どのような防蟻処理をしているか、細かく確認しておきく。
保証期間はもちろんですが、どの部分にどのような処理をしているのかを確認しましょう。
理由は2つです。
1つの理由が、大手のハウスメーカーなら防蟻処理をしていないことは無いでしょうが、念のための確認です。
万が一実施していない場合は、自身で業者さんに依頼することになります。
もう1つが、5~9年後シロアリのメンテナンスをする時に、業者さんに説明した方が正確でスムーズだからです。
メモをしておき、しっかりと保管しておきましょう。
床下点検口が複数個所設置されているか確認しましょう
床下の点検口は、今後の床下メンテナンス時に必要な穴です。特にシロアリの発見や今後の防蟻処理に必要になってきます。
点検口を作らないメーカーは無いと思いますが、事前に点検口の数や、家具の下敷きになってしまわないようにハウスメーカーと場所の確認をしっかりと行っておきましょう。
fa-arrow-circle-right新築時にシロアリ対策を行うべきかどうかは下記ページにまとめています。
4-2.新築後の予防
新築後の予防がとても重要です。
予防のためにはどうしてもお金がかかりますので、新築後には少しずつ貯蓄をしていきましょう。
メーカーのシロアリ保証期間は何もしなくても良いと思います。
メーカーは防蟻処理の薬剤の効果が持続できる期間を保証しているからです。
ただ、本記事3章に記載したとおり、10年以上何もしないと、被害を受ける確率がどんどん上がっていきます。
最低でも7~8年に1回ペースでメンテナンス業者に依頼をしてください。
繰り返しますが、木造だろうが鉄骨メーカーだろうが、実施すべきだと思います。
fa-arrow-circle-rightシロアリ以外の住宅メンテナンスに関しては下記ページをご参照下さい。
5.その他のシロアリ注意点
その他のシロアリに関する注意点を3つ紹介します。
5-1.アメリカからの輸入家具に注意
近年、アメリカカンザイシロアリという、アメリカのシロアリ被害が増えてきています。
特にアメリカからの輸入家具に紛れ込んでいて、日本で繁殖する事例が増えてきているようです。
通常、シロアリは床下で繁殖しますが、このアメリカカンザイシロアリは空を飛ぶシロアリですので、通常の防蟻処理では防げません。
輸入家具を購入の時は十分に注意してください。
5-2.雨漏りは早急に修理をする
最近の家作りでは雨漏り対策も十分ではありますので、自然に雨漏りをすることは考えにくいですが、何かしらの事故で雨漏りする可能性はあります。
その際は、早急に修理をして下さい。
特に湿気を好むのがシロアリです。
5-3.床下はいつも清潔にしておく
点検口があれば、誰でも床下を除くことができると思います。
たまには覗いて、いつも清潔にしておきましょう。
特に木片や紙などはシロアリの好物ですので、床下に放置することは絶対にやめて下さいね。
6.まとめ
シロアリは正しい知識を持って接すれば、怖くはありません。
それに、過度に敏感になってしまい、余計な投資をする必要もなくなるでしょう。
営業マンや業者さんの「大丈夫ですよ」には決して騙されないように、しっかりと予防を行いましょう。
シロアリ対策も含め、住宅を建てた建築会社にメンテナンスを任せるのも良いと思いますが、金額が高くなるケースがほとんどですので、リーズナブルなメンテナンス会社を探して計画的に行うのが良いでしょう。
なお、建築会社選びで失敗しないためには、失敗の原因をしっかりと把握しておく必要があります。
ぜひこちらの記事もご参照下さい。
最後までご愛読いただき有難うございました。