「新築で【ZEH(ゼッチ)】が話題になってるけど、メリットやデメリットを教えて欲しい!」
「新築をZEH仕様にすべきか悩んでいるんだけど、実際にはどうすればいいの?」
そんな疑問にお答えします。
ここ最近、いろんな住宅展示場や、ハウスメーカー・工務店のホームページを見ると、必ず登場する「ZEH(ネットゼロエネルギーハウス)」。
これだけ建築会社が宣伝しているのだから、たくさんのメリットがありそう。
営業マンに話を聞けば「元が取れますよ!」と言われるけど、実際にはどうなのでしょうか?
ZEH仕様の住宅は多数のメリットもありますが、実はデメリットもあります。
これから新築を検討する方は、ZEHにすべきかどうか慎重に検討しなくてはいけません。
本記事では、ZEHを検討する上で参考になるように、メリットとデメリットに加え、ZEHで失敗しない方法も含めてお伝えしていきます。
fa-arrow-circle-rightZEHが何かを知らない方や、正確に分からないかもという方は、先にこちらをご覧ください。
目次
1.ZEH(ゼッチ)の基本的な4つのメリット
最初に、新築やリフォームでZEH仕様にした時のメリットから解説していきます。
基本的な4つのメリットで、このメリットがZEHにする「目的」と言えるでしょう。
1-1. 高い省エネ能力で光熱費を抑える
ZEHの中でもっとも重要なメリットが、「省エネ能力によって光熱費をおさえられる」という部分でしょう。
住宅をZEH仕様にするために断熱・気密性能を大幅にアップしたり、給湯器の効率をアップする必要があるので、光熱費が下がるわけです。
【ZEHとは?】わかりやすく意味や全体像、ZEHの条件を解説!でも解説していますが、一次消費エネルギー(照明、換気、給湯、エアコンなどの使用電力)を、太陽光発電で全て補うのがZEHです。
つまり、電気代の負担のほとんどが無くなるわけです。
とはいえ、具体的な数字のイメージも湧かないと思いますので、簡単な例を挙げましょう。
賃貸マンション(70㎡)で暮らしていた家族が、ZEH仕様の住宅(120㎡)を購入した場合、どれくらい光熱費がお得になるのか。
■賃貸マンション(70㎡) ⇒ 月々電気代平均【12,000円】
■ZEH仕様の住宅(120㎡) ⇒ 月々電気代平均【 9,000円】
(空間が広くなっているのに月々【3000円以上】の省エネ効果)
■太陽光発電「6.18㎾」搭載 ⇒ 月々の発電金額【16,000円】
■省エネ効果と太陽光発電のお得になった金額を合計すると毎月【19,000円】 ⇒ 年間【228,000円】のお得
ZEHの初期投資を「300万円」とすると、【約13年】で回収できます。
(太陽光パネルメンテナンス費用などは含まれていません)
※上記は参考になるようにわかりやすくした数字です。実際には様々な要因で異なってきますのでご了承ください。
メンテナンス費用などを含んでいませんが、ZEHの省エネ能力や太陽光パネル搭載の費用対効果イメージができたのではないでしょうか。
また、ZEHの省エネというのは「節約」とは異なり、例えばエアコンを我慢したり、給湯器の温度を無理に調整しなくても良い、というのは大きなメリットになりますよね。
1-2. 健康で快適な生活
続いてのZEHのメリットは「健康」と「快適」です。
住宅業界において現在問題とされている「ヒートショック」をご存知の方も多いと思います。
ヒートショックは、冬の寒い時期など、浴槽に入るまでに脱衣所や浴室で大きな温度差があることで、血圧が大きく上昇してしまう症状を言います。
特に65歳以上の方でヒートショックにより死亡するケースが多く、実はヒートショックによる死亡者数の世界一は日本なんです。
(世界から見たら日本の住宅が遅れていると言われる理由です)
また、ヒートショックだけが問題ということではなく、大きな温度差が体に負担を掛けてしまうこと自体が問題です。
小さなお子さんでも体に負担を掛けてしまうでしょうし、大人でも温度差によって「慢性的な疲れ」だって発生してしまいます。
ZEHは、断熱性や気密性がとても高いので、住宅内部の温度差が少なく「健康」や「快適」に繋がると言えます。
(ZEHに限らず、断熱・気密が高いと健康に繋がります)
もう一つ、ZEHは気密性が高いことが健康や快適さに繋がることがあります。
それは住宅の気密性が高いことで、「換気効率」も自然に高くなることです。
図の通り、実は住宅の隙間が無くなる(少なくなる)と、空気・風の通り道が限定されることで、換気効率が上がります。
例えば、パワーの弱い換気扇をつけても、気密性が高ければしっかり空気を流すことが可能になるわけです。
つまり、住宅の換気効率が高いので、いつも新鮮な空気になっているわけです。
もちろん、悪臭も効率よく排出してくれます。
ZEHを含め、気密性が高いとメリットは大きいですね。
1-3. 資産価値が残りやすい
土地は資産価値が残りますが、建物は数年で資産価値が大幅に下がってしまう傾向にあります。
とはいえ、長期優良住宅の普及などもあり、近年では少しずつ資産価値が残りやすい環境が作られてきています。
住宅の中古販売市場も上昇してきているのが証拠ですね。
ZEHという認定基準が登場してからまだ日も浅く、中古市場にZEH住宅はほとんど出回っていないので、「絶対に資産価値が残る!」ということは断言できません。
ですが、ZEHは高い水準の性能を国が保証していることになるわけですから、資産価値が高く、残りやすい可能性は高いと考えるべきでしょう。
ちなみに、2016年に【BELS(ベルス)※】という建築物の省エネ性能表示のガイドラインが作られました。
※「Building-Housing Energy-efficiency Labeling System」の略称
簡単に言えば、建物の「燃費」性能に5段階の評価を付けて、誰もがすぐに評価を確認できる仕組みです。
ZEH基準をクリアしている住宅であれば、BELSの評価も高くなるはずですので、「資産価値が残りやすい」という裏付けになるでしょう。
ZEHにより気密性が高くなれば、換気性能が上がり、断熱材へのダメージが少なくなります。それは住宅自体が長持ちすることにつながるため、メリットの1つと言えると思います。
1-4. ZEH補助金が出る
ZEH基準をクリアした住宅にすれば、国から補助金が出ます。
2019年は「一律70万円」の支給となっていました。
※蓄電システム(定置型)を設置する場合は2万円/kWh(上限:20万円又は補助対象経費の1/3のいずれか低い額)、支給額がアップします。
補助金を狙うなら、2020年に向けて準備を進めていきましょう。
2020年に向けて、国は「ZEH復旧率を新築の50%」という目標をかかげていますし、2019年に国はZEHの予算枠を増やしていることから(2018年と比べて)、2020年度もZEH補助金は出ると思って問題ないでしょう。
これは大きなZEHのメリットですね。
参考までに、2019年のZEH補助金の公募期間です。
- 一次公募:2019年6月3日 ~ 2019年6月7日
- 二次公募:2019年7月1日 ~ 2019年7月5日
- 三次公募:2019年8月5日 ~ 2019年8月9日
- 四次公募:2019年9月11日 ~ 2019年10月5日
9月末の消費税増税の冷え込み対策で、例年よりも若干遅かったので、おそらく2020年のZEH補助金の公募期間は例年同様に5~9月までだと思われます。
※東京オリンピックなどの影響で、時期が変動する可能性も十分にあります。
どちらにしろ、2019年10月以降にZEH仕様の住宅を検討を始めたのなら、2020年の5月に向けて、建築会社(土地含め)探し・契約・打ち合わせなど、家づくりの計画を進めておきましょう。
fa-arrow-circle-rightZEH補助金に関して、詳しくは下記ページをご参照下さい。
2.ZEH+、ZEH+Rなども含めて、副産物として発生するメリット2選
本章では、通常のZEH基準をクリアするだけではなく、「HTMS(ヘムス)」や「蓄電池」を合わせて設置することで得られるメリットについて解説します。
HTMSと蓄電池は、それぞれ、ZEHのパワーアップ版の【ZEH+(ゼッチプラス)】や【ZEH+R(ゼッチプラスアール)】という基準の項目に入っている物です。
2-1.HAMS(ヘムス)導入で、無駄な電気が減り、節約意識が高まる
HAMSは、ZEHというよりも、太陽光発電システムに大きく関係があるシステムです。
※HEMSとは「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略です。
HAMSによって電気の使用量をリアルタイムにモニターで確認できるようになります。
電気が住宅のどの場所でどれだけ使用されているかや、太陽光発電量・売電量も分かります。
HMESはメーカーによって異なりますが、大体10~20万円前後で導入が可能で、太陽光発電を導入する人の多くがHMESも合わせて購入するようです。
HMESは「ZEH+(ゼッチプラス)」の基準の1つになっています。
最近のHMESは、自宅の各設備を管理することで、無駄な電力をおさえる仕組みになっていますし、電気を「見える化」することで、家族全員の節約意識が高まる、という大きなメリットがあります。
ZEH仕様にするなら、HMESはマストだ思ってぜひ導入しましょう。
2-2.太陽光発電+蓄電池によって、停電に強い家になる
蓄電池はZEH基準に含まれていないので、設置する必要がありませんが、「ZEH+R(ゼッチプラスアール)」の基準には含まれます。
近年、蓄電池技術はとても進化し、かつ低価格化が進んでいるので、ZEH+Rの基準を目指して導入するのもオススメです。
蓄電池があれば、災害などで発生する停電のときでも電気が使用できるようになるため、これも1つのメリットと言えます。
fa-arrow-circle-right太陽光発電+蓄電池がなくても停電対策はできます。
とはいえ、蓄電池の相場は100~150万円とまだまだ高額ですので、導入の際は慎重に検討していきましょう。
3.ZEHのデメリット5選
本章では、ZEH仕様にする場合のデメリットを5つ解説していきます。
メリットとデメリットを照らし合わせて、本当にZEHが必要なのか、しっかりと考えていきましょう。
3-1. 初期投資が大きくなる
ZEHの最大のデメリットはやはり初期投資(イニシャルコスト)が大きいことです。
各ハウスメーカーや工務店が販売・作っている住宅の標準的な仕様は、ZEH基準をクリアしていません。
ですので、コストを上乗せして断熱材や各設備をグレードアップすることで基準をクリアします。
また、太陽光パネルの費用も別途発生します。
基本的なコストの目安としては、各ハウスメーカーや工務店によって異なりますが、太陽光パネルの費用を含めると「200~300万円が相場」と言われています。
住宅ローンで換算すると月々3,000円~3500円前後です。
(元利均等法、35年払い、年利0.8%計算)
予算に余裕がある方なら良いですが、費用対効果があるとはいえ、初期投資200~300万円アップというのはZEHの大きなデメリットですね。
さきざきの話ですが、住宅業界全体で性能が上がってくれば、必然とZEHにするための費用は下がってくると思います。
3-2. 太陽光発電に関わるデメリット・リスクが発生する
ZEH基準を満たすためには、太陽光発電システムを設置しなくてはいけません。
そのため、太陽光発電に関わるデメリット・リスクが発生してしまいます。
具体的には次の3点です。
- 発電量が不安定で、環境によって発電量が変わるリスク
- 太陽光発電システムのメンテナンス費用が発生したり、屋根のメンテナンス費用が高くなる
- 故障や、寿命リスクがあり、かつ発電量が年々さがる
fa-arrow-circle-right太陽光発電システムのデメリットやリスクについて詳しくはこちらをご参照下さい。
1-1章で記載しましたが、ZEHは省エネや太陽光発電により長期的に見れば収支はプラスになる可能性が高いです。
しかし、上記に記載したとおり、プラスだけでなく、メンテナンスや修理の「支出」もありますので、ZEH仕様に変更する場合は十分に検討しましょう。
3-3. ZEH仕様の設備などのメンテナンス費用がアップする
ZEHのコストが上がるのは、初期投資だけではありません。
ZEHにすれば住宅が長持ちするなどのメリットは前述したとおりですが、設備の性能が上がれば、その分メンテナンスや修理の費用はアップします。
例えば換気設備も、性能の高い熱交換器を備えた換気設備にすれば、その分メンテナンスや修理の費用が上がってしまう。
これもZEHのデメリットです。
ZEH仕様にメンテナンスや修理費が上がる可能性が高いのは次の3つです。
- エアコン
- 給湯器
- 換気設備
ただし、グレードアップすることで故障しにくい、メンテナンスが簡単になることもあります。
一概に性能があがればメンテナンスや修理の費用が上がる、というわけではありませんのでご留意ください。
fa-arrow-circle-right住宅全体のメンテナンス費用については下記ページにまとめています。
3-4.間取りに制約が出る
ZEHのもう1つのデメリットとして、「間取りに制約が出てしまう」ということがあります。
例えば、基準以上の断熱性・気密性を保たなくてはいけませんので、開口部、つまり窓を小さくしたり、減らしたりする必要が出てきます。
窓・サッシを大きくして開放的な家にしたいと考えている人には大きなデメリットですね。
どれくらい開口部を小さくしなくてはいけないのか、というのは、建築会社の工法や使用している断熱材などに左右されます。
また、たとえばトリプルサッシなど、断熱性能の高い窓に変更すれば、コストは上がりますが、そのぶん開口部を大きくできる可能性もあります。
間取りの制約は、開口部だけではありません。
【太陽光発電で後悔?】新築で失敗する9つの原因と対策でも解説しているのですが、ZEHは基準以上の太陽光パネルを設置しなくてはいけませんので、屋根にも制約が発生する可能性があります。
住宅の方位などにもよりますが、太陽光パネルをのせるために屋根の形や向きが限定されるわけです。
屋根の形や向きが限定されると、屋根裏部屋・屋上庭園、それに2階の勾配天井、階段の位置など、様々に制約がでてくるので注意しましょう。
3-5.ZEH仕様の住宅はリフォームや増改築の費用が大きくなる
忘れがちなデメリットですが、ZEH仕様にした場合、リフォームや増改築の費用が大きくなる可能性があることを覚えておきましょう。
特に「断熱材」にかかわるリフォームがコストアップしてしまいます。
つまり、建物の外周面の壁面に関連するリフォーム、例えばコンセントの位置を変更・追加する場合も、グレードアップした断熱材を吹き付けることになるため、費用は大きくなりますよね。
その他、家族が増えたことで増改築する場合も、高い断熱・気密性能を維持しないといけないので、費用が大きくなるでしょう。
4.ZEHで失敗しないために、ZEHが得意な建築会社を選ぶべき
ZEH住宅にするとき、失敗しないために大事な考え方があります。
ここまで解説してきたとおり、ZEHにはいくつかのデメリットがあります。
ただ、そのデメリットのほとんどが「費用が大きくなる」というもの。
ZEHにする場合、この費用をおさえることが重要、というわけです。
そのためには「ZEHが得意な建築会社を選ぶ」ということが大切。
ん? どういうこと? と思う方もいるかもしれません。
実は、もともと断熱・気密が不得意な建築会社では、ZEH基準をクリアにするためのオプション費用が大きくなる可能性があります。
そうなれば、無駄な投資が多くなってしまいますよね。
断熱・気密性能がもともと高い建築会社であっても、使用している断熱材の特徴や建物の構造の関係で、ZEH基準をクリアするのが難しい場合もあります。この場合も費用が大きくなるので注意が必要です。
つまり、ZEHを検討する際は適切な建築会社を探すことが必須です。
まず、下記サイトで、ZEH対応している建築会社の住宅カタログを一括で取り寄せることが出来るのでぜひ利用してみて下さい。
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5.まとめ
ZEHのメリット・デメリットはお分かり頂けましたか?
初期投資や、将来のメンテナンス・リフォーム費用が大きくなるというデメリットがあるものの、大きなメリットが得られるのが「ZEH」です。
ただ、ZEHが得意な建築会社を選ばないと、無駄な費用が発生してしまいます。
しっかりと情報を集めて、良い建築会社と巡り合って下さいね。
最後までご愛読いただき誠に有難うございました。