
「オール電化の住宅が停電したら大変になるって聞くから、もしもの時のために太陽光発電や蓄電池も導入すべきなの?」
「オール電化で停電した時に困らないようにするには、具体的にどんな準備をしておけばいいの?」
そんな疑問にお答えします。
オール電化のデメリットとして停電があります。
停電が起きる理由として、機械故障から災害まで多岐に渡りますが、「オール電化だから困った」という情報が流れ、間違った思い込みをしている場合もあります。
今回はオール電化で停電時は本当に困るのか、また、停電時に向けてどう備えをしておけばいいのかを解説していきます。
本記事の内容はこちらです。
- オール電化だけが本当に困ることをおさらい
- 新築やリフォームでオール電化にする場合、太陽光発電や蓄電池は導入すべきか
- 停電時の対策、備えておくべき内容とは
では早速解説していきます。
目次
1.オール電化で停電した場合、本当に困ることのおさらい
本章では、ガスと比較した場合、停電時にオール電化の場合のみ困る部分を整理していきます。
つまり、停電時のオール電化の問題点をはっきりとさせてしまえば、対処方法も見えてくるはずですし、ガスと悩んでいる場合も決断しやすくなると思います。
そもそも、オール電化とガスを比較した時に、異なる設備は2点だけです。
- IHクッキングヒーター ⇔ ガスコンロ
- 電気温水器(エコキュートなど) ⇔ ガス給湯器(エネファームなど)
暖房器具もガスか電気を選択できますが、一般的に電気の方が圧倒的に多いので、今回は割愛します
ですので、停電時にIHやエコキュートだと困るのかどうかをはっきりさせれば良いことになります。
fa-arrow-circle-rightなお、オール電化全体のメリットやデメリットをまとめたページもあります。
1-1.停電を考えるとガスも検討すべき?
今回は先に、前提というか、結論から言います。
タイトルで断言していますが、あえて繰り返します。
停電を考えると、ガスにした方が良いのでしょうか?
決してオール電化を推奨しているのではなく、あくまでも「停電」を理由にガスを選択する必要はない、ということです。
まず、停電が起きるタイミングは大きくは以下の3パターンに分かれます。
- 災害時(地震など)
- 自宅の電気機器の故障
- 外部の電気設備のトラブル
最も停電時間が長くなる可能性が高いのは当然「災害時」。
ただ災害時はガスの供給も止まっている場合が多く、ほぼ確実に電気の復旧が早いです。
また、自宅の電気機器の故障、外部の電気設備のトラブルの場合でも、ガスであろうがオール電化であろうが困る部分はあまり変わらないのが実情です。
しかし、一部のサイトで、その困った部分とオール電化を強引に結びつけられた情報が流れてしまっています。
実際にはガスの住宅であったとしても、困ることは一緒だったはずです。
ではもう少し掘り下げていきましょう。
1-2.風呂が沸かなくなる?
電気給湯器とガス給湯器を比較していきます。
当たり前ですが、停電すればエコキュートなどの電気給湯器は使えなくなります。
ですので、災害時などの長期間の停電ではお風呂に入れなくなるので、衛生面・精神面で厳しい状況になると思います。
ただ、前章でも記載した通り、災害時はガスの供給が止まっている場合が多く、電気よりも供給が遅くなります。
挙句に、ガス給湯器は結局電気が通っていないと使用できません。
風呂が沸かなくなるというのは、オール電化でもガスでも同条件ということです。
近年のエコキュートなどの高効率電気給湯器は、少し温かいお湯をタンクに300リットル以上備蓄していますので、停電後1~2日はお湯を使用することができ、かつ緊急の飲料水としても利用できるメリットがあります
1-3.IHが使えないのは確かに痛手
災害時以外で、何かしらの要因で停電になってしまった場合、ガスと比較するとIHクッキングヒーターが使用できなくなるのは確かに痛手です。
唯一と言えるオール電化のデメリットでしょう。
電子レンジも使えないので、温かいものを食べることが出来ないのは、非常時ほどきついものです。
ただ、逆に言えば、ガスと比較した場合のデメリットはそれだけです。
カセットコンロとガスボンベを用意しておけば問題ないことがお分かり頂けると思います。
オール電化でもガスでも、災害などの停電に向けて、対策・備えをしておくことはとても重要です。
それに関しては3~5章で解説しています
2.新築やリフォームの際、停電対策しておくべきことはある?
オール電化の場合、またはガスの場合でも、新築時やリフォーム時において、停電の対策をしておくべきことはあるのでしょうか?
結論から言いますと、新築やリフォームで初期投資をしてでも停電対策をしておくべきことはありません。
3~4章にて具体的に解説していますが、日頃からホームセンターなどで防災グッズを揃えて備蓄しておけば良いことです。
唯一、検討しても良いのが「太陽光発電+蓄電池」ですが、かなり高額の投資になるので、少しだけ詳しく解説します。
2-1.太陽光パネルや蓄電池は導入すべき?
太陽光発電システムと蓄電池、別々に解説していきます。
太陽光発電システム
太陽光発電システム単体では電気を備蓄することはできませんので、太陽が出ているときしか停電対策にはなりません。
停電のために導入するかどうか、を考えると「必要ない」という結論になるでしょう。
fa-arrow-circle-right太陽光発電システムを導入すべきどうかは別ページでまとめています。
蓄電池
蓄電池の電気の蓄電量は、大きさによりますが、以下のような目安になります。
- 小型:一般家庭の電気使用量の10時間前後
- 大型:一般家庭の電気使用量の20時間前後
災害時など節約しながら使えば、1~2日程度は携帯の充電、冷蔵庫くらいなら使用できるでしょう。
しかし、投資金額は100~200万円前後と高額です。
停電のために購入する必要は無いでしょう。
また、太陽光発電システム+蓄電池により、自家発電消費の効率は良くなりますが、100~200万円を回収できるかどうかは疑問です。
2019年3月の段階では、まだ住宅営業マンも蓄電池を薦めることは少ないでしょう。
ただし、蓄電池開発は現在急速に進んでいます。
今後性能の向上、価格の減少がありますので、2020年以降は検討しても良いかもしれません。
住宅営業マンは今のうちから「蓄電池」の勉強を始めた方が良いかも。
太陽光の買取が満了した住宅が増えてくること、蓄電技術の向上、などが理由で各メーカーが蓄電池開発に力を入れてます。
先日の建材・住設EXPOでも、多くの出展がありました。
これから普及するはず。https://t.co/dcW9tSaWla— あずた@元住宅営業トップセラー (@todo4x) 2018年12月15日
3.オール電化に限らず、停電の備えをしておこう
1~2章までで、停電を理由にオール電化を止める必要はないことがお分かり頂けたと思います。
しかし、オール電化でもガスでも、停電時に困ることは間違いありませんので、日頃からしっかりと備えておきましょう。
本章から、具体的な停電時(災害時)の対策を方法を解説していきます。
3-1.基本は照明、食料、水、防寒の4種類
停電時の対策として抑えておくべきは4種類。
- 照明器具の準備
- 長期保存食の準備
- 長期飲料水の準備
- 防寒グッズの準備
特に災害時は、この4点の準備をしておけば生命維持が可能となり、最悪の事態を避けることができるはずです。
また、食料・飲料は、「家族数×2~3日前後」分を用意しておけば良いでしょう。
4.停電前に備えておいた方が良い具体的なアイテム
続いて、停電や災害に向けて備えておいた方が良いグッズを具体的に解説していきます。
基本的にほとんどがホームセンターや家電量販店で揃います。
インターネットで注文しても良いでしょう。
では1つずつ解説していきます。
飲料水(長期保存水)
防災グッズの中でももっとも重要な飲料水です。
2019年現在では、保存期間が5~7年のペットボトル飲料水がホームセンターなどでも気軽に手に入ります。
中でもお勧めが下記商品です。
保存期間は7年ですが、1本120円を下回るほど安価です(500ml)。
1.5ℓのペットボトルもありますが、停電時は冷蔵庫が使えない可能性が高いので、衛生的を考慮すると500mlを推奨します。
懐中電灯+ロウソク+マッチ
災害などで発生した大型停電の場合、夜は当たり一面真っ暗になります。
雨の時はさらに暗いでしょう。
灯りの確保は必須と言えます。
なお、電池タイプの懐中電灯に加え、ロウソクやマッチも合わせて用意しておきましょう。
電池は時間と共に減少していくため、長期備蓄にはロウソク+マッチが向いています。
2~3日分の非常食
2019年現在では長期間保存できるたくさんの非常食が登場しています。
- お湯を入れるだけの「おにぎり」
- 缶詰のパン
- 火も水も不要なカレーや丼もの
- 長期保存可能な野菜ジュースやスープ
家族の好みに合わせて、ホームセンターやインターネットで購入すれば問題ないでしょう。
上記は中でテレビなどで美味しいと評判になったお湯を入れて振るだけでおにぎりになる商品です。
非常用の防災トイレ
結構忘れがちになりますが、非常用の防災トイレも用意しておきましょう。
停電だけで、水が供給されていればトイレは使用できますが、ライフラインが全て止まってしまったことを考えると、非常用トイレも必須です。
携帯ラジオ
災害時の情報収集にラジオは必須になります。
特に災害時はデマが流れやすく混乱を招く危険が非常に高くなります。
しかし、電池式のラジオがあれば、公的機関から発信された精度の高い情報を収集することが可能になります。
携帯電話、スマートフォン用の予備バッテリー
SNSを利用して安否確認をしたりなど、やはり携帯・スマホは災害時に必要です。
長時間使用できるように、モバイルバッテリーは用意しておきましょう。
特に太陽光でチャージできるタイプは災害時には便利です。
軍手やロープ
災害時に向けて軍手とロープは用意しておきましょう。
特に大型地震の場合は必要になります。
軍手はすべり止めのついた、頑丈なタイプを推奨します。
電池
懐中電灯や携帯ラジオ用の電池を忘れず用意しておきましょう。
また、電池は必ずアルカリ電池にしましょう。マンガン電池だと3年前後で使用できなくなります。
4-1.少し高額だけど、停電時にあったら便利にアイテム
続いて、停電・災害時に、必須ではないけどあったら便利なアイテムを紹介していきます。
ただ、やや高額ですので経済的なゆとりがある場合に購入されば良いでしょう。
ポータブル電源
小型の蓄電池です。
一度充電してしまえば、停電時に携帯電話の充電やその他一時的に使いたい家電などが使用できます。
金額は1万円~、高いもので5万円前後と容量や性能によって異なります。
災害時に限らず、キャンプなどのアウトドアでも使用ができます。
無停電電源装置(UPS)
これは急な停電時に、重要なPCなどの電源が切れてデータや機器が破損しないようにするためのものです。
停電が起きても一時的に電源が供給され続けるので、しっかりと保存・シャットダウンできる時間が確保できます。
金額は1~5万円程度と、性能によって異なります。
自宅や施設に重要なデータやシステムがある場合に用意しておくと良いでしょう。
5.停電・災害時のために避難場所を確認、印刷して保存しておこう
実は、停電・災害時に各地区で定められた避難場所を知らずに収容できなかったという事例が多発しています。
避難場所は、優先的なライフラインが確保されます。
場所食料などの物資が供給されたり、電源が確保されていたり、正しい情報が集まるなど、とても重要なポイントです。
ですが、日ごろの生活の中で避難場所を意識していることはほとんどありません。
ですので、地区で指定されている避難場所を把握して、用紙を印刷、災害グッズの中に入れておくのが良いでしょう。
6.まとめ
ガスと比較して、停電時に「オール電化だから困る」ということは、ほとんどありません。
ですので、停電以外に部分でガスとオール電化を検討すれば良いでしょう。
ただ、ガスだろうがオール電化であろうが、停電・災害に向けてしっかりと備えをしておくことが重要です。
本記事のまとめポイントは以下の通りです。
- ガスと比較し、停電時にオール電化が困るのはIHが使えないことくらい
- 停電対策から太陽光発電や蓄電池を検討する必要はない
- 停電・災害は照明、食料、水、防寒の4つを押さえておけば良い
- 対策グッズは、ホームセンターやインターネットで安価に揃う
最後までご愛読頂きまして誠にありがとうございます。