【上棟式のご祝儀Q&A】正しい渡し方や金額相場をまとめた

「上棟式をやる場合は、ご祝儀は用意した方がいいの?」

「もしも上棟式でご祝儀を用意するなら、金額の相場や渡し方が知りたい!」

家疑問くんそんな疑問にお答えします。

 

 

本記事では上棟式を実際に経験してきた元住宅営業マンの私が、上棟式などで用意する、大工さんに渡すご祝儀のQ&Aを解説していきます。

本記事の内容はこちらです。

本記事の内容
  • ご祝儀を渡す必要がない理由が分かる
  • ご祝儀を渡した場合の大きなメリットが分かる
  • ご祝儀の金額相場やご祝儀袋の書き方などの準備方法
  • ご祝儀の正しい渡し方

では早速解説していきます。

1.最近の上棟式はどうなってるの?

2019年現在、新築する人たちは上棟式をしているのか、を簡単に解説していきます。

なお、「上棟」の意味やどんなことをやるのか、を知りたい方は、下記ページを先にご確認下さい。

上棟の意味や「上棟式」をやるべきかどうか、などを解説しています。

 

1-1.そもそも「上棟」自体が減っている

木造住宅の上棟

【上棟式しないと問題ある?】上棟時の差し入れ方法や略式も解説! のページにも記載してありますが、近年では新築において「上棟」そのものが減少しています。

まず、鉄骨住宅の場合、どんな工法でも「上棟」はありません。

また、木造住宅でも、ベースの工法が「在来工法(軸組工法)」であれば上棟がありますが、「2×4工法(ツーバイフォー)」「2×6工法(ツーバイシックス)」の場合は上棟がありません。

 

近年の木造住宅の「在来工法(軸組工法)」自体が減少しているので、そもそも「上棟」自体が減っている、というわけです。

木造の工法については下記ページにまとめています。

ただ、鉄骨住宅や木造2×4工法の場合でも、簡易的な「上棟式」を実施するケースもありますが、昔ながらの上棟式を行う件数はかなり減少しています。

割合でみると、全体の1割にも満たない状態です。

1-2.実際に上棟式をやっても略式が多くなった

上棟式は、柱や梁、屋根が無事に組み上がったことを喜んで、工事関係者、特に大工さんに感謝するお祭りです。

また無事に工事が終わることを祈願してお清めするケースもあります(地鎮祭の方が意味合いは強い)。

地鎮祭をやるべきか、については下記ページにまとめています。

 

ですので、施主としては上棟式をやりたいと考える方も多数いらっしゃいます。

ただ、上棟式を正式に行うと、本記事のテーマである「ご祝儀」を用意したり、費用負担が大きくなります。

そのため、近年では上棟式をやったとしても「略式」が多くなっています。

略式に関しては【上棟式しないと問題ある?】上棟時の差し入れ方法や略式も解説! をご確認下さい。

2.ご祝儀を渡す必要・義務は全くない!

上棟式やその前後に、大工さんたちにご祝儀を「渡すべきか」「渡さないべきか」という【義務】という観点から考えると、結論としては全く渡す必要はありません。

何十年も以前はご祝儀を渡すことが礼儀・マナーでしたし、逆に自分たちの家を守る、という意味合いもありました。

ですが、時代は変わり、近年ではご祝儀は不要となっています。

その背景を少し解説していきます。

2-1.現在の「ご祝儀」や「上棟式」の位置づけ

ご祝儀が不要になってきた背景は次のような理由が2つあります。

ご祝儀が不要になった背景
  • 各ハウスメーカーが不正を抑制するため、金品の直接の受け渡しを禁止している
  • 以前に比べて、職人の技術が不要になってきた

1つずつ解説します。

各建築会社が不正を抑制するため、金品の直接の受け渡しを禁止している

以前から、住宅業界は業者間などで不正が多い業界でした。

ですが、時代と共に、業者間やお客様との金品の受け渡しを禁止する建築会社が増加してきました。

その流れもあり、ご祝儀を遠慮する建築会社が増えてきた背景があります。

以前に比べて、職人の技術が不要になってきた

以前の木造軸組工法は、柱や梁1本1本を職人が切って削るのが当たり前で、職人の腕が住宅の性能を左右するほど重要なものでした。

しかし、現在は品質向上の為、木材のカットなどは工場で行われるなど、以前ほど技術が不要になってきました。

ご祝儀を渡すことでしっかりとした家を建ててくれ、というメッセージがご祝儀には含まれていましたが、現在はその効果は不要になりつつあります。

 注意
職人の技術は以前ほど不要になってきていますが、現在でも腕の良い職人とそうでない職人では仕上がりなど、かなり違います

上記の理由から、ご祝儀を渡す義務や習慣はかなり無くなってきています。

経済的に無理してまで渡す必要はありませんのでご安心下さい。

3.ただ、今でもご祝儀を渡すメリットは大きい?

職人

前章で、上棟式前後にご祝儀を渡す必要がない旨を解説しました。

ですが、ご祝儀を渡したら渡したで、大きなメリットがあります。

ご祝儀を渡すメリット:職人と仲良くなれば困った時にサービスしてくれる

職人はプロですし、各建築会社の「監督」が住宅の品質をしっかり守ってくれるはずですので、ご祝儀を渡さなくても問題はありません。

ですが、それでも職人も人です。

ご祝儀を渡したり、何度も差し入れしたりすれば、距離が縮まるはずです。

コミュニケーションが取れるようになれば、やはり大きなメリットになります。

3-1.職人と仲良くなれば困った時にサービスしてくれる

注文住宅の場合、ほとんどの工事が始まってから「ああしておけば良かった」と思う部分が出てきます。

クロスの張り方を〇〇しておけば良かったとか、壁に穴を空けてニッチ棚・飾り棚を依頼しておけば良かったなどなど。

もちろん工事が始まって部材を発注してしまえば変更できない箇所が多いですが、細かい部分なら監督や職人が対応してくれることもあるでしょう。

特に職人と親密になっているほど、「例外」の対応をしてくれる可能性が高まるはずです。

4.ご祝儀の準備「金額相場やご祝儀袋の書き方」を解説

本章では、実際にご祝儀を用意する場合の、金額の相場やご祝儀袋の書き方を解説していきます。

4-1.一般的なご祝儀の金額相場

一般的なご祝儀の金額相場は以下の通りです。

  • 棟梁(大工の親方):1~3万円
  • その他の職人:5千円

    ※補足
    現場監督や住宅営業マンも上棟式に参加する可能性がありますが、職人と違って建築会社に所属しているので、ご祝儀を受け取ってくれない可能性が高いです。この部分は事前に本人たちに確認しておくと良いでしょう。当然、気持ちの部分で遠慮すると思いますので、3度くらい念押ししましょう。それでも断る場合は、おそらく会社としてNGなはずです。

     

    上棟式に集まる人数は、建築会社・時期・工法などによって全く変わりますので、人数は住宅営業マンや担当監督に事前に確認しておきましょう。

    ※補足
    木造軸組工法の場合は、住宅の大きさにもよりますが職人が7~12名前後集まります。

    棟梁は大工の親方で、基本的に現場に長期間いますので、一番コミュニケーションを取っておくべき存在です。

    金額は他の方より多めにしておきましょう。

    また、その他の職人は、木造軸組工法の場合は、上棟時にヘルプで来ている方がほとんど。

    5千円ほどが妥当だと思います。

     注意
    ご祝儀はあくまでコミュニケーションのきっかけ作りと捉えてもらえれば良いと思います。たくさんの金額を包んでも意味はありません。住宅経験者から言わせて頂くと、たくさんのお金を包む方は「変わり者」という見方をしてしまい、なるべく面倒なことを言われないようにあまり関わらないようにします。常識の範囲内の金額に留めておきましょう

    【上棟式しないと問題ある?】上棟時の差し入れ方法や略式も解説! のページに記載してありますが、上棟式は施主の方が職人を接待する立場になります。

    ご祝儀袋に包むべき金額を監督や住宅営業マンに確認される方もいらっしゃいますが、意味合いから考えると「接待する側がされる側に金額を確認する」というのはちょっと変ですね。

    一般的な話として答える監督や営業マンもいますが、それも少しおかしい風習です。

    上記に記載しているような一般的な金額を包めば問題ありません。

    4-2.ご祝儀袋の書き方や選び方

    ご祝儀袋見本

    続いて、ご祝儀袋の書き方を解説します。

    日本古来の風習ですので、結婚・出産祝いと大きな差はありません。

    難しいことは何もありませんので、ポイントだけを押さえて箇条書きにします。

    ご祝儀袋の書き方まとめ
    • 慶事用のご祝儀袋を用意します。
      ぽち袋などはNGです。
    • 表書きは「御祝」「御祝儀」と記載します。
      「祝上棟」「上棟式御祝」という言葉もありますが、施主は接待する側ですので、施主は使用しない表書きです。
    • 表書きは水引の結び目の中央に、筆ペンやサインペンなどで記載しましょう(上記画像参照)。
      万年筆・ボールペンはNGです。
    • 中袋があれば、表に金額、裏面に氏名を書きます。
      文字は縦書き、数字は旧字体にしましょう。
    • お金は新札にしましょう。

    以上がご祝儀袋の書き方です。

    ほとんど結婚・出産祝いと変わりませんし、簡単ですよね。

    ただ、何か間違っている部分があったとして、大した問題でもありませんし、職人はいちいち気にすることもないので、気軽に書きましょう。

     

    ご祝儀袋はもちろん御祝い用の袋ですが、結婚式などと違い、高価なものを選ぶ必要はないと思います。

    下記のような簡単なご祝儀袋で問題ありません。

    なお、ご祝儀袋を購入する際は、5-2章で解説する差し入れと一緒に購入すれば楽だと思いますよ。

    5.上棟式でのご祝儀の正しい渡し方

    続いて、上棟式でのご祝儀の渡し方を解説していきます。

    「正しい」とはっきり記載はしていますが、ご祝儀袋と同じで間違った渡し方をしても、職人は喜ぶと思いますので気楽に考えて下さいね。

    5-1.渡すタイミングは上棟式が終わってから

    ご祝儀を渡すタイミングは上棟式が終わってからにしましょう。

    上棟式は「上棟」をお祝いし、職人に感謝する意味合いがあります。
    ですので「上棟」が完了してから渡すのが自然な流れです。

    また「上棟」が終わり、式が始まる前、また式の最中に渡すのもかなり不自然でしょう。

    「上棟式」が終わるタイミングで渡しましょう。

     補足
    木造軸組工法なら、上棟日は職人が数名、ヘルプで来ていることがあります。ヘルプの方は工事途中で別の工事現場に行くことがあったりして、ご祝儀を渡せないこともあるでしょう。その場合は監督か棟梁に預ければ問題ありません

    5-2.差し入れはどうすべき?

    上棟日や、その日以外の差し入れに関しては下記ページにまとまっていますので、ご参照下さい。

    差し入れに関しては【上棟式しないと問題ある?】上棟時の差し入れ方法や略式も解説! をご確認下さい。

    基本的には人数分のお菓子やお茶が無難だと思います。

    ご祝儀袋ネットで購入するなら、差し入れやお茶なども一緒に買えば楽ですね。

    2,000円前後で十分ではないでしょうか。

    ※Amazonや楽天で「差し入れ」で検索すれば出てきます。

    6.まとめ

    上棟式のご祝儀について、お分かりになりましたか?

    まとめのポイントは以下の通りです。

    上棟式のご祝儀ポイントまとめ
    • ご祝儀は渡す義務はありません。ご祝儀を出さず上棟式をやり方は略式で行いましょう。
    • ご祝儀を渡したら渡したで、職人とコミュニケーションが取れ、わがままを聞いてもらえる確率が上がります。
    • ご祝儀袋は、結婚式や出産祝いとほぼ変わりません。金額は棟梁1~3万、他5千円ほど包みましょう。
    • ご祝儀は上棟式が終了後に渡しましょう。

    上棟式の後は、「施主検査」や「引渡し」、という大事な行事が控えていますので、そちらも早めに情報収集して下さいね。

     

    最後までご愛読いただきまして誠に有難うございます。

    関連キーワード