
「解体費用の相場ってどれくらいなの、目安の金額が知りたい!」
「建築会社から解体費用を教えてもらったんだけど、適正な価格かどうか分からない」
そんな疑問にお答えします。
本記事で詳しく記載しますが、解体費用はいろいろな要因で上下してしまうもの。
かなりブレ幅も大きくて、解体業者の見積書や建築会社の予算計画書に記載されている金額が適正か分かりにくいですよね。
今回は住宅営業マン時代に何十回と解体に立ち会ってきた私が、なるべく正確に解体費用を解説していきます。
ただ、多くの要因で変動するわけですから、あくまでも参考程度に留めつつ、複数の解体業者から見積りを取ってほしいと思います。
本記事の内容はこちら。
- 解体費用がいろいろな要因で変動してしまう理由
- 見積りや予算計画書の解体金額が適正か判断するための項目別・工事別の費用相場
- 解体費用全体の相場や補足
なお、とにかく短い時間でざっくりとした解体全体の相場が知りたい場合は3章をご覧ください。
fa-caret-square-o-right解体費用を安く抑える方法をまとめたページもありますので、合わせてご参照下さい。
では早速解説していきます。
目次
1.解体費用の相場は参考程度にとどめるべき
解体のことを知ろうと思ったら、手っ取り早く基準となる相場、平均を知りたいですよね?
私も住宅業界に入ったばかりの時はまずは相場から勉強したことを覚えています。
- 木造:2~3.5万円(坪単価)
- 鉄骨造:3~4.5万円(坪単価)
- 鉄筋コンクリート(RC)⇒4~5.5万円(坪単価)
例えば、我が家は木造で延床面積が30坪くらいだから【坪30万円 × 3万円 = 90万円】という計算できます。
しかし、実際に見積りを取ると「150万円」だった、というケースはざらにあります。
1-1.解体費用がケースバイケースの理由
ケースバイケースの主な理由は多数あります。
その中でも、解体する量に関係なく変動するポイントがあって、それは「地域によって料金が変わる」ということです。
それぞれの地域によって、例えば廃棄物の単価が異なったりします。
比較的、都会の方が金額が高くなる傾向にあります。
もちろん、それ以外にも多数の要因があるので、一覧にまとめました。
- 平屋、2階、3階建てや、住宅の形
- 重機が奥まで入れず手作業が発生するケース
- 浄化槽の有無
- アスベストの有無
- 外構状況(ガレージ、門、庭、池、木などの有無や量)
- 交通整備など、必要な人数
他にも多数の要因がありますが、実際に解体業者が現場調査しないと正確な費用は見えてこないということは念頭において相場を確認しましょう。
以前私が対応させて頂いたお客様も、私が働いていたハウスメーカーだと予算が届くと思って商談を進めていましたが、解体費用が100万円ほどを想定していたのに、200万円を超えてしまうことが分かったために諦めた方もいらっしゃいました。
建替の場合、契約前に住宅営業マンから提示される概算の見積書、資金計画書にある解体費用が「概算」だった場合は要注意です。
実際に解体業者に現場調査してもらったら大きく金額が動く可能性があると思っておいた方がいいでしょう。
ですので、ある程度正確な費用の相場を知りたかったり、見積りの金額が適正かどうか判断するには、2章から解説する項目・工事別の相場を丁寧に確認するしかありません。
2.解体費用を項目・工事別に相場を確認しよう
2章では、解体費用を次の4つの項目・工事別に分けて、相場を解説していきます。
- 「建物」だけの解体費用の相場
- 「仮設工事(解体準備)」の費用相場
- 「建物の付属物」や「外構(外回り)」の解体費用
- 「廃棄物」の費用相場
ある程度、正確な費用の相場が知りたい、見積価格が適正か確認したい、という方はぜひご覧ください。
2-1.建物だけの解体費用の相場
まずは建物だけの解体費用の相場を見ていきましょう。
建物はおおよそ次の3つに分類されると思います。
- 木造
- 軽量鉄骨鉄骨
- 鉄筋コンクリート(PC)
この3つの構造の解体費用の相場を「坪単価」(延床面積)にまとめました。
「建物のみの解体費+ 基礎の解体 + 建物の運搬・リサイクル」のみの坪単価、その他アスベストや土間コンクリートなどの増減するポイントは2-3章の「建物の付属物」で解説しています。
※下記解体費用の坪単価は2階建てを想定しています。坪単価は平屋なら高くなり、3階建てなら安くなる傾向にあります。
建物構造 | 坪単価の相場(延床面積) |
木造 | 25,000~35,000円/坪 (7,500円~10,000円/㎡) |
軽量鉄骨 | 30,000~40,000円/坪 (7,500円~10,000円/㎡) |
RC | 35,000~45,000円/坪 (7,500円~10,000円/㎡) |
坪単価の増減は次のようなポイントがあります。
- 基礎の種類
布基礎➡布基礎+コンクリート➡ベタ基礎(右に行くほど高い)
- 屋根の素材
防水加工のみ➡スレート屋根➡瓦屋根(右に行くほど高い)
坪単価では分かりにくいと思いますので、延床面積20・30・40坪と3つに分けて一覧にします。
建物構造 | 20坪 | 30坪 | 40坪 |
木造 | 50万円~ 70万円 | 75万円~105万円 | 100万円~140万円 |
軽量鉄骨 | 60万円~ 80万円 | 90万円~120万円 | 120万円~160万円 |
RC | 70万円~ 90万円 | 105万円~135万円 | 140万円~180万円 |
おおよその平均値になりますので、見積書の金額に開きがある場合は注意しましょう。
2-2.仮設工事(解体準備)の費用相場
続いて、仮設工事・解体準備などの費用相場について解説していきます。
仮設工事や解体準備は主立って次のような項目があります。
- 足場+養生シート
- 交通整備・重機が入らない場合の手作業の人件費
- 道路使用許可
- 重機運搬費
- 近隣あいさつ回り
その他、解体業者によっては「諸経費」など事務手数料が含まれる場合もあります。
それぞれ費用の変動が大きいので、相場・目安を1つずつ解説します。
足場+養生シート
見積書では「足場」と「養生シート」の金額が一緒になっているケースが多いと思います。
足場は現場作業員が転落などしてケガをしないための事故防止、養生シートは近隣に砂埃や破片が飛んで迷惑をかけないようにするためです。
狭小地などの場合は近隣に迷惑が掛からないように「防音機能」がある養生シートなどを使用するので、料金が上がります。
費用の目安は次の通り。
- 足場+養生シート(防災用):800~1500円/㎡
(延床30坪の場合➡200~250㎡のシートが必要で、費用は16~37万円) - 足場+養生シート(防音含む):1300~2,000円/㎡
(延床30坪の場合➡200~250㎡のシートが必要で、費用は26~50万円)
交通整備・重機が入らない場合の手作業の人件費
交通整備はほとんどの場合は1名以上は必要になります。
周辺の交通量が多かったり、解体作業で前面道路を完全に塞いでしまいつつ、迂回道路が分かりにくい場合は多くの人数が必要になります。
旗竿地などで建物まで重機が入らない場合(重機は250㎝以上あれば概ね入れます)、解体物を手作業で運ぶことになるので、人数が5~10名とたくさん必要になり料金が上がってしまいます。
人件費は概ね1名あたり12,000~17,000円ほど。
交通整備で3~4名必要なら36,000~68,000円、手作業で7~8名必要なら84,000~136,000円の費用になります。
道路使用許可・重機運搬費・近隣あいさつ回り
上記3つの解体費用についてです。
■道路使用許可
道路使用許可が必要かどうかは業者側に判断をゆだねることが基本。
特に敷地が狭く、重機を道路に駐車させる場合などは必要になります。
見積りに記載される道路使用許可の費用としては15,000~30,000円程度になるでしょう。
■重機運搬費
重機運搬費は建物などの規模によって異なりますが、35,000~50,000円程度です。
■近隣あいさつ回り
これは解体業者によって見積りに加わっている場合と、そうでない場合があります(加わっていない場合も諸経費に含まれることもあります)。
「自分であいさつすれば安くなるかな?」と考えたくなるかもしれませんが、騒音など近隣からのクレームを直接受けるべきではないので、必要経費として捉えておきましょう。
近隣あいさつ回りの費用は10,000円前後です。
2-3.建物の付属物や外構(外回り)の解体費用
続いて、建物付属物や外構の解体費用の相場を解説します。
建物の付属物
建物の付属物は、建物の中にあるけど別途料金が発生するものです。
これは解体業者によって詳細を見積りに入れる場合もあれば、一括りに「建物の解体費用」に含める場合があります。
細かいものまで挙げると切りがありませんが、主立って費用が大きくなるのは「土間コンクリート」と「アスベスト」です。
特にアスベストは1975年以前の建物(2020年から逆算すると築45年以上)は使用されている可能性が高く、解体費用はややアップしてしまいます。
アスベストの撤去費用をぼったくるような悪質業者がまだ存在するようですので十分に相場を確認して注意しましょう。
「土間コンクリート」と「アスベスト」費用の相場は次の通りです。
建物の付属物 | 費用の相場 |
土間コンクリート | 2,000~4,000円/㎡ (6,500~13,000円/坪) |
アスベスト | 3,000~5,000円/㎡ (9,000~16,000円/坪) |
玄関やポーチ、駐車場が広い場合、土間コンクリートの費用は例えば10帖(5坪)ほどあれば32,000~65,000円ほどの追加料金。
アスベストの撤去費用は使用されている量によって変動しますが、延床面積40坪ほどの2階建て住宅であればおおよそ40,000~60,000円ほどになるでしょう。
外構(外回り)の解体費用
外構に関する項目は多いので、一般的なものを下記一覧にまとめます。
自宅にあるものをピックアップして合計金額を足してみてください。
外構の解体項目 | 費用の相場 |
フェンス・ブロック塀 | 1,500~3,000円/㎡ |
アルミカーポート | 4,000~7,000円/式 |
浄化槽 | 7,000~10,000円/式 |
樹木や植栽 | 15,000~25,000円/t |
庭石 | 15,000~25,000円/t |
※樹木に関しては、大型の木があって専用の重機が必要になったり、伐根が多い場合は費用が大きく膨らんでしまいます。
【解体工事を安くするには?】手間をかけずに安くする方法まとめにも記載していますが、建替で外構をやり直す場所がある場合は、「外構業者」も作り直す場所の解体はやってくれますので安い方を選択できるように事前に外構業者にも相談しておきましょう。
fa-caret-square-o-right外構についてもいろんな記事をまとめていますので、合わせてご参照ください。
2-4.廃棄物の費用相場
続いて、廃棄物の費用相場についてです。
廃棄物は「運搬」・「処分」と両方が含まれ、次の通りいろいろな種類があります。
- 木くず
- 石膏ボード
- ガラス陶器
- タイル
- コンクリート
- ガラ
ただ、解体業者の見積書では種類別に項目が分かれていることは少なく、1つの項目にまとまっているケースがほとんどです。
「1式〇〇円」となっている場合や「混合廃棄物〇〇立法メートル・単価・合計」という場合があります。
それに、建物や付属物の解体費用の項目に含まれている場合も多く、費用の相場を解説したところであまり役に立ちません。
ただ、家具などの粗大ゴミなどが多数残っていれば、おおよそ「15,000~25,000円/t」の費用が追加でかかります。
3.解体費用全体の相場をまとめると
2章で、項目別に費用の相場を解説してきましたが、3章では「計算がいちいちめんどくさい」という方のために、費用全体の相場を解説していきます。
建物の構造(木造・軽量鉄骨・RC)別に、それぞれ25・35・45坪のざっくりとした目安を一覧表にまとめます。
ただ、下記条件を基準としますのでご注意ください。
- 2階建て
- 建物の延床面積25・35・45坪に対し、土地のスペースはおおよそ(35・45・55坪)
- 外構は門柱・一部フェンス・コンクリート駐車場・アプローチ(タイル)がある「セミオープン」タイプ
- 家具などの廃棄物が2tほどある
- 防音対策不要
- 交通整備1名のみ、手作業不要
建物構造 | 25坪 | 35坪 | 45坪 |
木造 | 95万円~130万円 | 125万円~170万円 | 160万円~230万円 |
軽量鉄骨 | 110万円~150万円 | 140万円~200万円 | 180万円~255万円 |
RC | 125万円~170万円 | 160万円~225万円 | 200万円~280万円 |
1章で解説したとおり、解体費用は地域などによって大きく変動してしまうため、相場の幅もどうしても大きくなってしまいますが、おおよそ上記の金額に収まってくると思います。
fa-caret-square-o-right解体の見積りをチェックするポイントをまとめたページもあります。
4.解体の費用についての補足
本章では、解体費用の相場以外に、ぜひ知っておいて欲しい内容を解説します。
4-1.見積り比較して適正を確認
1章でも解説していますが、本記事に記載している「解体費用の相場」は、あくまでも目安に過ぎません。
地域や業者によっても金額は変動しますし、土地の状況から外構の状況まで、様々な要因で変わってしまいます。
ですので、1つの業者からの見積書だけでは、その金額が適正かどうかは絶対に分かりません。
必ず複数の業者から見積りを取り、しっかりと見比べて上で適正価格を確認しましょう。
相見積りをすれば、業者はなるべく費用を抑えて見積りを作るはずですし、値引き交渉にも有効になるはずです。
とはいえ、特に建替の場合は建築会社探しや打ち合わせなどで時間がなかなか作れないもの。
そんな時、解体業者を探す手間を省きたいなら、次の解体見積り一括サービスを使うのがオススメです。
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4-2.解体費用は住宅ローンで支払えるのか?
続いて、解体費用が住宅ローンで支払えるのか、という豆知識を補足します。
まず解体費用単体で住宅ローン(住宅用低金利ローン)を組むのはなかなか難しいです。
ただ、建替・リフォームに合わせての解体であれば、「諸費用」という形で組むことは可能です。
fa-caret-square-o-right新築の諸費用や基本的な住宅ローンについては下記ページでまとめています。
ネット銀行や大手都市銀行などで多いですが、諸費用をローンで組めない場合や、組めたとしても諸費用分だけ金利が高い銀行もありますので事前に確認しましょう。
5.まとめ
解体費用の相場はお分かりになりましたか?
本記事の内容を読んで頂ければ、ざっくりとした金額のイメージは掴めたのではないでしょうか。
とはいえ、適正の価格を見極めるためには複数の業者から相見積りするのがマストだと思います。
悪徳業者に引っ掛からないようになるメリットもありますので、しっかりと相見積り取りつつ適正な価格を判断していきましょう。
最後までお読みいただき誠にありがとうございます。