ハウスメーカーや工務店のコスパ情報が参考にならない理由は?

「コスパが良いハウスメーカーや工務店を教えてほしい」

もし、あなたが【コスパが良い建築会社】を探しているのなら、家づくりで失敗する可能性が高いかもしれません。

世の中に出回っているコスパが良いハウスメーカーや工務店の情報は全く参考にならないからです。

そして、家づくりにおいてどんな部分にコストパフォーマンスを求めるのかは人それぞれ異なりますし、何より建築会社もそれぞれ得意・不得意が異なるからです。

ぜひ、本記事を通して、コスパに対する考え方を軌道修正し、後悔しない家づくりにつながれば幸いです。

本記事の内容はこちらです。

本記事の内容
  • コスパが良いハウスメーカーや工務店を探しても意味がない理由
  • 建築会社を選ぶ上での「お得情報」「コスパの良し悪しに関する情報」には間違いが多い
  • 注文住宅でコスパを少しでも上げるための4つのポイント

では解説していきます。

1.ハウスメーカーや工務店の「ランキング情報」は参考にならない

インターネットでハウスメーカーや工務店を探していると、多数の「ランキング」サイトが見つかるはずです。

いろいろなサイトを見ると各建築会社の特徴や坪単価などが分かるので参考になる部分はあります。

しかし、ハウスメーカーや工務店の「ランキング」自体は全く参考になりません。

そのランキングをもとにコスパが良さそうな建築会社を探すことは「無駄」と言い切ってしまっても問題ないでしょう。

その理由は、ランキングの根拠となる基準が「コスパ」や「施主の満足度」に全くつながらないからです。

ランキングの根拠となる基準とは、例えば次のようなものです。

  • 建築会社の売上規模
  • 会社の建築棟数
  • オリコン満足度
  • 口コミ情報
  • 坪単価

多くのサイトでこの5点を基準とし、たまに作者の主観が混ざっているサイトが混ざっている感じでしょうか。

 

しかし、建築会社の良し悪しはそんな単純な基準だけで測れるものではありません。ハウスメーカーや工務店はそれぞれ特徴があり、細かいところで得意不得意があります。

例えば、

・「優秀な設計士を集めている」
・「高断熱が得意」
・「収納に関する間取りが得意」
・「高級な設備がそろっている」
・「制振装置が無料」

などです。

これらの建築会社の強みは【得意な部分 = 部分的にコスパが良い】と言い換えることができます。

しかし、得意な部分があれば、必ず不得意な部分があります。例えば制振装置を無料で提供している会社は、その制振装置の導入費用が発生するため、その他の部分で利益を取る必要が出てくるわけです。

建築会社は企業である以上、すべてにおいてコスパを良くすることは不可能であることをしっかりと理解しておきましょう。

 

もう一つ重要なポイントは、人それぞれ生活スタイルや趣味嗜好がバラバラ、ということです。

例えば、「地震に強い家」ということが最優先である家族なら、上記のような制振装置が無料のハウスメーカーならコスパが良いと感じますが、「制振装置までは必要ない」と考える家族なら、コスパが悪いハウスメーカーということになるのです。

結局、人それぞれコスパが良いと感じる建築会社は異なるのです。

1-2.建築会社の「口コミ情報」も参考にならない

口コミ

建築会社のランキング情報だけでなく、「口コミ情報」もあまり役に立たないことをぜひ覚えておきましょう。

その理由は、同じ建築会社でも地域によって「営業マンの質」や「住宅の品質」がまったく異なるからです。

一般的にネットで購入できるような商品は、全国のどこで購入しようがほとんど品質は同じはずですよね。だからこそ口コミ情報は役に立ちます。

しかし、建築会社の場合、対応する営業マンなどの建築会社スタッフはそれぞれ全くことなりますし、同じ建築会社でも工事をする地域の部署や職人によって住宅の品質が変わってしまうのです。

同じ建築会社の口コミでも書き込みする側と読む側では全く条件が異なるわけですから、口コミが参考になるわけがありませんよね。

もちろん口コミを統計的な情報として捉えることも可能ですが、中にはライバル社の人間が書いたありもしない悪口ということも十分にありますので、口コミは参考程度にとどめておくと良いでしょう。

それよりもハウスメーカーや工務店を選ぶ際は自分の足でしっかりと工事現場を見て情報を集めるべきだと思います。

建築会社を選ぶ前に工事現場を見る方法やポイントをまとめたページもあります。

2.大手ハウスメーカーの方がコスパが良い場合がある?

本記事を読む皆さんの中には、ハウスメーカーよりも工務店の方が価格が安いというイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、ハウスメーカーと呼ばれる建築会社の中には価格が低めのローコストメーカーがありますし、逆に規模が大きく高価格帯の工務店も存在するので、一概にどちらが安いとも言えません。

ハウスメーカーと工務店のメリット・デメリットを解説したページもあります。

 

ただ、「コスパ」という観点からはどうなのでしょうか?

建築会社をコスパで見る、ということは、例えば【建材や住宅設備の品質 > 価格】という構図があります。

この場合で考えると、例えば使用されている断熱材などの建材や、キッチン・ユニットバスなどの設備の1つ1つにお得感があるかどうか、ということです。

※もちろん、建材や設備が高価か安価かは別問題としてお考えください。

この結論は2つあります。

建材や住宅設備のコスパに関する結論
  • 大手のハウスメーカーや工務店の方が規模が大きい分、大量に、かつ安く仕入れが可能になるため、建材や設備のコスパが良い
  • 建材や設備の選択肢が少ない建築会社で、かつ標準仕様の場合はコスパが良くなる

1つずつ解説していきましょう。

大手のハウスメーカーや工務店の方が規模が大きい分、大量に、かつ安く仕入れが可能になるため、建材や設備のコスパが良い

仕入れる方法にもよりますが、比較的、大手の方が大量に仕入れることが可能なためコスパが良くなる傾向にあります。

また、大手ハウスメーカーや工務店では自社で建材や設備を開発していることもあるので、その分コスパが良くなる傾向にあります。

建材や設備の選択肢が少ない建築会社で、かつ標準仕様の場合はコスパが良くなる

建築会社によっては、たくさんの種類の建材や設備から好きなものを選べることをウリにしていることがあります。

しかし、選択肢が増えれば増えるほど、同じ建材や設備を大量に仕入れることができなくなるため、コスパが悪くなってしまう特徴があります。

また、大手ハウスメーカーの場合は、オプションではなく「標準仕様」から選べる建材や設備を選ぶことで、コスパが良くなります。

これは上記理由と同じで「標準仕様」の建材や設備の方が大量仕入れができるからです。

標準仕様とオプションについてまとめたページもあります。

 

ちなみに、規模の大きいハウスメーカーや工務店であればあるほど、間取りや施工基準が細かく定められてしまい、自由度が下がる傾向にあります。

上記2点の結論も踏まえると、【選択肢の自由】が無くなれば無くなるほど、コスパが良いことになるわけですね。

3.資産価値からコスパを考える

資産価値
家づくりにおいてコスパの良し悪しを考えるのであれば、やはり「資産価値」についても考える必要があります。

将来において資産価値が少しでも多く残るのであれば、売却する場合に高く売れることになり、コスパが良くなるからです。

ここでは以下の2点から資産価値について解説します。

  • 土地を重視した方が資産価値は残る
  • 個性のない間取りの方が売れる

1つずつ解説していきます。

3-1.土地を重視した方が資産価値は残る

新築の場合、すでに所有している土地での建替ではないかぎり、土地と建物のセットでの購入が基本です。

ご存じの方も多いと思いますが、土地の資産価値は下がりにくく、建物の価値は一気に下がる傾向にあります。

次のグラフを参照してください。

■戸建住宅の築30年間における平均価格の推移

住宅資産価値減少推移グラフ出典:東日本不動産流通機構

約30年で3800万円から2200万円くらいに落ちています。実は2200万円残っている資産価値のほとんどは土地代です。

不動産業界では建物の資産価値は約20年でほぼ「0円」になると言われています。

ですので、コスパを考えるなら予算の割合の多くを土地にあてがう方が良いことになります。特に転勤など将来売却の可能性が高い場合は建売住宅という選択肢も良いでしょう。

また、マンションでも同じことが言えますが、なるべく駅近くなど人気エリアの土地を選択することで資産価値は残りやすくなるでしょう。

 注意
今後、テレワークなどが急速に普及してくると、駅近というブランド力はほんの少しずつですが減少する可能性もありますので念頭に入れておきましょう。

3-2.個性のない間取りの方が売れる

間取りをコスパという観点から考えると、なるべく個性がない、一般ウケするような間取りが良いでしょう。

つまり建売住宅で設計されるような間取りを指します。

例えば、「夫も妻の2人とも自宅で仕事をする」という夫婦は少ないと思いますが、その家族の生活に合わせて間取りを作ると、会社に出勤する一般的な共働き夫婦から見れば、かなり特殊な間取りになってしまいます。

この場合、将来建物ごと売却したり貸し出しをしようと思っても、なかなか買い手・借り手がつかず、販売額・賃料を下げることになってしまうでしょう。

もしも資産価値を高めることを優先する場合は、なるべく万人ウケする一般的な間取りにしておくのが良いでしょう。

 補足
私個人としては、そこまで資産価値にすることを優先するのであれば、建売を推奨します。

4.「メンテナンス費用を安く済ませるには大手が良い」は間違い

ハウスメーカーや工務店を選ぶ際、将来のメンテナンス費用を抑えられるように「長持ち」「メンテナンスフリー」をウリにしている建築会社を探す人も多いと思います。

例えば、メンテナンスフリーの外壁材・屋根材が標準仕様のハウスメーカーや、保証期間が長いハウスメーカーなどです。こういう部分をウリにしているハウスメーカーは大手が多いのではないでしょうか。

しかし、そこには注意が必要です。

多くの建築会社では10年ごとのメンテナンスを推奨しています。例えば10年後に無料点検が実施され、メンテナンスの見積り(150~200万円前後)が届きます。

その見積りのメンテナンスを実施すれば、10年保証が延長されるという仕組みになっているのです。

ここでのポイントは「高価格帯の大手ハウスメーカー」ほどメンテナンス費用が高くなる傾向にあるということです。

もちろん、高価格帯のハウスメーカーの場合、使用している建材や設備のグレードが高いので、メンテナンス費用が高くなるのは仕方がないことでしょう。

ただ、メンテナンス費用を抑えることを目的として大手ハウスメーカーを選んだのに、結局高くなってしまっては本末転倒です。

コスパを考えるなら、総合的なバランスを見て判断しましょう。

建築会社の保証期間について詳しくまとめたページもあります。

5.もし注文住宅でコスパを求めるなら

コスパを考える

本章では、注文住宅で少しでもコスパが良くなる方法を、個人的主観も交えて解説していきます。

あくまでコスパですので「価格を安くする」といった発想とは異なりますのでご了承ください。

ハウスメーカーの値引きについてまとめたページもあります。

5-1.間取りでコスパを良くする方法

間取りを工夫することで、コスパを上げることができる方法が2つあります。

ポイントは2つです。

  • 屋根を「寄棟」や「切妻」にする
  • 間取りになるべく凹凸をつけない

1つずつ解説していきましょう。

屋根を「寄棟」や「切妻」にする

屋根の形状には次のような種類があります。

屋根種類
出典:【屋根の種類~入母屋・片流れ屋根編~・情熱リノベーション事務所通信】

新築で一般的に多い屋根は「切妻(きりづま)」「片流れ」「寄棟(よせむね)」です。

多少、ハウスメーカーや工務店で価格の決め方が異なるかもしれませんが、一般的に寄棟が最も安くできます。

寄棟 < 切妻 < 片流れ と、片流れの価格が一番高くなります。寄棟と片流れの差は、建築会社や建物の大きさによりますが、50~100万円前後の差があります。

寄棟を選択すればコスパが良くなるでしょう。

 補足
好みによりますが、寄棟だとスタイリッシュなデザインにならないかもしれません。ただ、軒先を長くするなどの工夫をすればカッコ良くデザインできる場合もあります。優秀な設計士を探しましょう。

間取りになるべく凹凸をつけない

建物の外周部に凹凸をつけて、カラーを区分けしたりするとアクセントとなりカッコ良いデザインになります。

しかし、凹凸をつけると柱や外壁材など建材が余分に必要になるため、建物価格が上がる場合があります。

 補足
建築会社の価格の算出方法によって異なるため、価格が上がらない場合もあります。各建築会社にご確認下さい。

ですので、なるべく凹凸をつけずに四角形に近い外周の方がコスパが良くなるでしょう。

デザイン性が下がる可能性もありますが、バルコニーなどの凹凸をうまく利用してカッコ良いデザインを考えてみましょう。

5-2.水回りの設備にお金を掛けない

コスパの良さを求めるのなら、やはり水回りの設備は「標準仕様」にしておくなり、低価格帯のものを選ぶのが良いでしょう。

キッチン、ユニットバス、洗面化粧台、トイレなど、オプション料金を支払ってグレードを上げることはコスパの観点からはオススメできません。

水回りの設備は住宅の中でもっとも寿命が短く、交換時期が早いです

オプションによってグレードを上げてしまえば、その分、部品交換や修理費などのメンテナンス費用も上がるのは必然。

なるべく水回りの設備にお金を掛けないようにしましょう。

5-3.高断熱・高気密+換気力を高くする

コスパを高めるもう1つの方法が【高断熱・高気密 + 高換気力】です。

まず、高断熱・高気密によって、電気代が安くなることを知っている方も多いと思います。

ここに室内の換気力を加えると、結露防止などにより住宅の寿命が長くなる傾向にあります。

この辺りが得意なハウスメーカーや工務店を選ぶか、オプション料金を払ってでもグレードの高い断熱材や第一種換気を選ぶことを強く推奨します。

それに、高断熱・高気密の住宅で生活することで、やる気が出て生産性が上がるという調査結果があります。

もちろん健康にも良いのでそれだけで医療費が安くなると考えられますが、何より家族のやる気がアップし生産性が上がるというのです。

これはコスパの観点から見ても非常に効果が高いと言えるのではないでしょうか。

高断熱・換気についてまとめたページもあります。

5-4.太陽光発電システムは余裕があれば乗せる程度

太陽光発電はコスパを考えると導入すべきか悩みどころです。

「もし予算に余裕があれば乗せれば良い」、というのが私の考えです。

下記ページにも記載していますが、現在、買取価格が年々下がっています。しかし、それでも多少プラスになると予想できます。

必須ではありませんが、検討しても良い内容でしょう。

6.まとめ

ハウスメーカーや工務店のコスパに関してお分かり頂けましたか?

コスパランキングや口コミ情報などは役に立ちません。

結局自分たちの実現したいと思うことに力を入れている建築会社を自分たちの足で探すしかないのです。

ぜひ本記事を参考にしつつ、理想的な建築会社を見つけて頂けたら幸いです。

建築会社選びで失敗しないために、失敗する原因をしっかりと把握しておきましょう。

 

本記事のまとめはこちらです。

本記事のまとめ
  • ハウスメーカーや工務店の「ランキング」「口コミ」情報は参考にならない
  • なるべく標準仕様から選んだり、建材や設備の選択肢が少ない会社を選ぶとコスパが上がる
  • 資産価値を残すことを考えると、土地を重視したり、一般ウケする間取りにすると良い
  • メンテナンス費用を抑えるために大手メーカーを選ぶのは間違い、バランスが重要

最後までご愛読頂きまして誠にありがとうございます。