
「ハウスメーカーと契約を考えてるんだけど、値引き交渉って応じてくれるの?」
「ハウスメーカーとの値引き交渉の具体的な方法やコツを教えてほしい」
そんな疑問にお答えします。
今回は、実際に値引き交渉を受けてきた元ハウスメーカー営業マンの私が、「ハウスメーカーの値引き」について解説していきます。
もちろん、業界の実情や裏話も含めてお話しますので、具体的にどんな値引き交渉が良いのか、また良くないのか、がしっかりとお分かり頂けるはずです。
本記事の内容はこちら。
- ハウスメーカー業界の値引きの仕組みや金額の目安など、基礎的なポイント
- 値引きされやすい時期や人柄
- 値引き交渉の具体的な方法やコツ
- 値引き交渉の注意点
では解説していきます。
目次
1.ハウスメーカーの値引きシステムの基本を覚えよう
最初に、ハウスメーカーの値引きシステムの概要、基礎的なポイントを解説しますので、しっかりと覚えていきましょう。
値下げの基本的な仕組みがが分かっていないと、うまく値下げしてもらうことはなかなかできませんので、特に1章は入念に読んで頂けると幸いです。
1-1.値引き自体は当たり前の業界
まず、住宅業界では「値引き交渉」が通用するかどうか以前に、一部のメーカーを除き、「値引き」というものが当たり前になっています。
そういう特性というか、「文化」と言ってもいいでしょう。
住宅という人生でもっとも多いな買い物。
どうしても契約直前に腰が引けてしまう人が多い中、「少しでも背中を押す」、という意味で値引きがあるわけです。
これは注文住宅に限らず、土地や建売、マンションでも同様です。
しかし、逆に言えば、値引き分も含めて最初から値付けされていることを覚えておきましょう。
※ちなみに私が営業マン時代でも、私自身や同僚も含め、値引き0円で契約したことは1件もありません。
1-2.ハウスメーカーで値引きしてもらっても品質は下がらない
交渉によって値引きをし過ぎると、施主が分からないところで「建物の品質が悪くなる」という考え方があります。
ハウスメーカーの大半はこれに当てはまりません。
ハウスメーカーでは建物の仕様・規格が細かく定まっています。
例えば、
- 基礎に使用する材料や工法
- 建具に使用するメーカーや種類
- キッチンや給湯器などの設備のメーカーや種類
など、これはほんの一例ですが、建材や設備で使うものは変更できません。
これは同じ建材や設備を大量仕入れすることで「コスパを良くする目的」と、「品質を保つ目的」があります。
fa-caret-square-o-right建築会社の「コスパ」については下記ページで詳しく解説しています。
つまり、ほとんどのハウスメーカーでは、大きな値下げがあっても品質が下がることはありません。
建材や設備を自由に選べるローコストメーカーや工務店には、値下げによって品質が下がる悪質な建築会社もありますので注意しましょう。
1-3.値引きの決裁者や流れを把握しよう
では、値引き額、というのは誰が決めているのでしょうか?
これはハウスメーカーによって変わりますが、おおよそ次のパターンがほとんどです。
- メーカーで定まっている規定の値引き率
規定範囲であれば、例えば5%値引きまでなら、「店長・エリア長」などが自由に決められる - メーカーの規定を超える値引き率
例えば5%以上の値引きの場合、「エリア長・支社長・社長」などの承認が必要
ただし、上記のどちらの場合でも「担当営業マン、または店長」からの会社への「稟議」が必要になります。
営業マンか店長が、「この値引き率で契約していいですか?」という内容の稟議書を作り、その承認が下りて初めて正式な値引き額が決定する、という流れです。
上記内容を含めて、見積りから契約までの流れを一覧にまとめてみました。
- 初回の概算見積り:値引き0円、またはメーカー規定範囲内での値引き額で提示
- プラン修正+競合後の見積り:メーカー規定範囲内の値引き額で提示
- 稟議書提出、承認
- 契約直前の最終見積り:前回の提示よりも大きい値引き額で提示
- 値引き交渉:前回の提示よりも大きい値引き額で提示か、規定範囲を超える場合は稟議書再提出
もちろん、ハウスメーカーや担当店長・営業マンによって異なりますが、おおよそ上記のような流れが一般的です。
1-4.値引き額・値引き率の目安
では、一般的に、どれくらいの金額を値引きしてもらえるのでしょうか。
もちろんハウスメーカーや工務店によって異なりますが、これは各建築会社の値引きに対する考え方によって左右されます。
「値引きは営業ツールだ」と考える建築会社は最初から利益を多めに乗せていますし、逆に「値引きはブランドイメージを下げる」と考えている建築会社は最初から利益は少なくしています。
これはどちらが良い、と言えることではなく、あくまでも「魅せ方」や「戦略」の違いです。
※ハウスメーカーは最初から利益をたくさん乗せている、工務店はその逆、と見るのは大きな間違いです。
値引き額・値引き率の目安は次の通り。
(2500万円なら50~300万円の値引き額)
だいぶ幅広いですよね。
平均するとおおよそ4~8%(2500万円なら100~200万円の値引き額)が多いと思います。
2.ハウスメーカーが値引きしやすい時期を狙う
2章では、たくさん値引きしもらうための「家づくりの計画時期」について解説していきます。
一般的に、ハウスメーカーは業績が悪いときほど値下げしやすい傾向にあります。
会社全体という場合もありますし、支社・エリア・店舗だけ業績が悪いときも値下げしてくれるケースが多い。
皮肉な話ですが、営業マンが焦っていて、しつこい営業のときほど値下げ額が大きくなる傾向にあるんです。
とはいえ、業績が悪いときを見抜くことは難しいため、狙いやすい時期を2つ紹介します。
2-1.決算月がもっとも値引きされやすい
ハウスメーカーの決算は比較的、3月や12月が多いです。
また、9月や6月は中間決算に当たります。
その時期は大々的に決算セールをしているメーカーも多いので、値引きが大きくなりやすい狙い目の月です。
決算月に最終の値引き交渉ができるように、決算月の1~2ヶ月前から計画を進めると良いのではないでしょうか。
※各ハウスメーカーの決算月は「メーカー名+決算月」で検索すればすぐに調べられます。
ただし、決算月に契約後は工事が集中するため、雑な工事になりやすいリスクがあります。その場合、いろいろな理由をつけて工事を遅らせてもらいましょう。
また、各ハウスメーカーの工期によって時期が異なりますが、住宅の引渡し(工事完了)が決算月になりそうなタイミングでも値引きが大きくなりやすい。
例えば、決算月が3月で工期4カ月のメーカーの場合は、打ち合わせ1~2ヶ月を含めると、9~10月が値引きされやすくなります。
これは各ハウスメーカーの営業マンに確認してみてください。
2-2.閑散期に家づくりを進めるのがベター
住宅業界には「夏枯れ」という言葉があり、夏になると展示場への来場者が少なくなることを表しています。
逆に1月~5月くらいが来場者のピークになります。
ピーク時は契約数が多くなるので、ハウスメーカー側もあまり値引きを好みません。
逆に7~8月、11~12月は閑散期ですので、その時期を狙ってハウスメーカーを探せば値引き額が大きくなるはずです。
3.値引きされやすい人、されにくい人が存在する
「値引き交渉のテクニックを使って、何とか数十万円安くできないかなぁ」と考える方も多いと思いますが、そもそも交渉以前に「値引きされやすい人」「値引きされにくい人」が存在することをぜひ理解してもらいたいと思います。
これは私が営業マンを経験してきてはっきりと分かったことです。
本章では値引きされやすい人の特徴を2つ紹介します。
3-1.人柄が良く、真摯な人ほど値引きされやすい
注文住宅の場合、他のどんなジャンル営業マンよりも「契約後の付き合いが長く、また深く」なります。
車などの商品であれば、売った後は付き合いが終わることがほとんど。
賃貸や建売、マンションでも同様です。
ですが、注文住宅の場合は契約後の打ち合わせも含めて何十回と顔を合わせます。
そのためお客様も慎重に営業マンを選ぶと思いますが、逆に営業マンやハウスメーカー側も人を選びます。
文句や嫌みばかり言う人、度を越えた値引き交渉してくる人、異常に神経質な人など、とにかくトラブルが置きそうな人を避けたがります。
これは優秀な営業マンほど嗅覚が鋭いので、より避ける傾向にあります。
そういうお客さんだと判断したら、見積りを提示するときも「まあ、契約できなくてもいいや」という気持ちで値引き金額を抑えるはず。
値引きを求めるなら真摯な態度で臨みましょう。
3-2.モニターになったり、友人に紹介してくれそうな人は値引きされやすい
多くのハウスメーカーでは、友人に紹介することで特典がもらえるキャンペーンを行っています。
また、完成した自宅をハウスメーカーのお客様に見せてあげる「モニター」になっても特典・謝礼がもらえます。
ハウスメーカーにとっては紹介や口コミをとても重要だと考えていますので、紹介やモニターをしてくれそうな方は値引きされやすい傾向にあります。
もしも心の中でメーカーとの契約を決めたなら、営業マンに「もし契約したらぜひモニターをしたい」とはっきり伝えたり、「友人にお宅のメーカーのことを話したら、すごく興味を持ってて」というエピソードトークをしても効果があると思います(完全なウソはよくありませんが)。
4.値引き交渉の具体的な方法
ここまで値引きしてもらうための基本的なポイント、下準備について解説してきましたが、いよいよ本章から具体的に「値引き交渉」の方法について解説していきます。
4-1.相見積もりが基本
どんな値下げ交渉にも言えることですが、やはり他社との「相見積もり」をしなければ何も始まりません。
気に入ったハウスメーカー2~3社で構いませんので、それぞれプラン・見積もりをもらいましょう。
その際は、
というのがポイントです。
大幅に坪単価が低いところから見積りをもらっても、営業マンは品質の良さをアピールするだけになってしまいます。
「少し坪単価が低いハウスメーカーにしようか迷っている」、と伝えれば効果は抜群です。
ちなみに「営業マンに申し訳ない」という気持ちからか、相見積もりしていることを隠す方がいらっしゃいました。
しかし、営業マンから言わせてもらうと、
- どこのメーカーと競合しているのか
- 各ハウスメーカーのどこが気に入っているのか
- 各ハウスメーカーの提示金額
この3つは「正直」かつ「はっきり」と教えてもらった方が、本当にありがたいです。
この3つが分かれば、よりお客様が望んでいるポイントや金額が分かってくるので、さらに良い提案ができるようになります。
お互いに無駄な探り合いの時間も無くなりますので、ぜひちゃんと伝えてあげましょう。
なお、どうしても時間が無くて、複数のハウスメーカーから間取り(プラン)や見積りをもらえない場合は、次のようなサービスを利用しましょう。
【タウンライフ家づくりのプラン・見積り一括サービス】という無料のサービスです。
簡単な入力で、複数社から間取りプランや見積りがもらえますので、値引き交渉には有効です。
それにタウンライフ家づくりのプラン・見積り一括サービスには、他にも多数のメリットがあります。
- 色々な設計士のプランを参照し、間取りのメリット・デメリットを比較できる
- 各建築会社の資金計画書を参照し、工事費や諸経費なども比較できる
- 登録されている注文住宅会社は厳選な審査をクリアしているから安心できる(優良企業600社以上が登録)
- GMOリサーチの注文住宅部門アンケートで「満足度」「使いやすさ」など3部門でNO1
- 土地探しや提案も手伝ってもらえる
- 住宅ローンなど様々な家づくりの情報が集めやすい
こういったサービスを使ってでも、効率よく、建築会社の「提案力」を比較して、判断すべきだと思います。
4-2.ハウスメーカーには値引きの理由が必要
1-3章で解説しましたが、値引きを決めるのは「決裁者」であり営業マンや店長ではありません。
営業マンや店長が決裁者に対して「この値引き率で契約していいですか?」と許可をもらう必要があります。
その許可をもらうとき、実は「値引きの理由」が必要になります。
例えば
- ライバル社が当社より100万円安い金額を提示している
- このお客様は契約後、モニターになってくれたり紹介客が見込める
- 工事完了が半年後の決算に間に合うように打ち合わせに協力してくれる
というような理由です。
「契約」だけをエサにして「ただ安くしてくれ」だけでは交渉にはなりません。
それなりの協力、メーカー側のプラスがあって初めて「交渉」になるわけです。
例えばですが「モニターになることを契約書に加えてもいいから10万円安くしてほしい」というように、営業マンが決裁者に交渉できるような材料を提供してあげましょう。
4-3.値引き交渉のタイミングは契約直前
ここまで読み進めて頂ければ分かることですが、値引きの交渉は「契約直前」で行いましょう。
※契約書を交わす直前ではありません。
あくまでも交渉相手は会社・決裁者です。
ハウスメーカー側は契約することが前提でなければ交渉に応じることはありません。
また、交渉は残りの数万円~10万円を値下げしてもらうためのもの。
交渉前に、ハウスメーカー側もある程度値下げしているはずです。
値引き交渉は契約直前に「1度だけ」にしておきましょう。
5.値引きの注意点や落とし穴
ハウスメーカーの値引きにはリスクがあります。
本章ではそんな値引きの注意点を2つ解説します。
5-1.値引きしたがる営業マンは避ける
ハウスメーカーの営業マンの中には、たまに値引きを強調する人がいます。
ひどい時は、私自身が他社に視察に行った際にあったことですが、初めて会った日に「頑張って値引きさせてもらいますよ」と話してくる営業マンまでいました。
そんな営業マンには注意しましょう。
注意しなくてはいけない理由がいくつかありますので、一覧にします。
- 営業マン自身がハウスメーカーの住宅(商品)に自信がない
- その営業マンは売れている可能性が低く、経験値があまりない
- 顧客目線に立てない営業マンの可能性が高い
- 営業マンへの教育が充実していない可能性が高い
fa-caret-square-o-right営業マンの良し悪しをまとめているページもありますのでご参照下さい。
商品に自信があるハウスメーカーや営業マンは強気ですし、絶対に値引きをウリにしません。
値引きしてもらえれば確かにお得に感じますが、値引きにつられてメーカー選定をしないように注意しましょう。
5-2.値引き交渉し過ぎるとハウスメーカーから断られる?
値引き交渉を過度にし過ぎるのはリスクがあります。
前述してきたとおり、値引きの決裁者はエリア長(支店長)・支社長・社長です。
営業マンが「値引きしてでも契約したい」と思っていても、決裁者がうんと言わなければ契約できません。
決裁者の多くは値引き交渉を過度にしてくる人はトラブルが多いと考えています(実際のデータもそうです)。
ですので過度に値引き交渉をし過ぎれば、決裁者は「お断りする」という判断をするケースがあります。
それも断られた後に「やっぱり最初の金額でいい」と言ったところで、決裁者は金額ではなく人柄で判断しているわけですから、完全に契約できなくなってしまうことも。
やり過ぎには十分に注意しましょう。
6.まとめ
ハウスメーカーへの値引きについてはお分かり頂けましたか?
契約直前の値引き交渉よりも、その前の人柄・時期・相見積もりが重要だと思います。
そして、自分だけが得になるって考えるより、ハウスメーカーにとってもプラスになることを考えた方が値引きしてもらいやすくなるはずです。
最後までご愛読頂きましてありがとうございます。