「最近、色んなハウスメーカーを回っていると【全館空調】って言葉を耳にするけど、お金持ちだけの道楽でしょ?」
「全館空調が昔より性能が上がったって聞くけど、導入は検討した方が良いものなの?」
そんな疑問にお答えします。
全館空調の導入費用は数百万、電気代も毎月3、4万円なんて当たり前、と思っている方も多いですが、実は性能は大幅に上昇、進化してきました。
本記事ではどこまで進化したのかを解説していきます。
- そもそも全館空調とは?
- 全館空調のメリット
- 全館空調のもともとのデメリット
- 全館空調が勿体ないと思うのは日本人だけ
- 全館床暖房と比較して
- 高断熱・高気密・換気システムの向上
- 色んな全館空調が登場
では早速解説していきます。
目次
1.そもそも全館空調って!?
ビルや病院、デパートなどでお馴染みの【全館空調】
実は私もこの業界に入るまで、いまいちどんなものか良くわからなかったです・・・。
ご存知の方も多いとも思いますが・・・。
例えばビルであれば、どのフロアに移動しようが、何階に移動しようが、温度が一定に保たれていますよね。
トイレに行ってもちょうど良い温度ですね。
最近、中央部に大きな吹き抜けがあるデパートも多いですが、やっぱりそこも一定の温度になっています。
どの季節でも快適な温度帯になっていますね。
それが全館空調です。
また、全館空調は次の3つの特徴もあります。
- 一括管理であること(一元管理)。
- 自動運転であること。
- 天井から床まである程度一定な温度であること。
2.全館空調のメリット
どの部屋も温度帯が一定なので、快適なのは当たり前ですよね。
ただ、快適以外にどんなメリットがあるのでしょう?
2-1.ヒートショックが起きにくい
今やヒートショックという言葉も有名になってきたようですね。
冬の例: 部屋(20℃) → 脱衣所(10℃) → 洗い場(7℃) → 湯船(40℃)
このわずか数分での急激な温度差により血圧が一気に上昇、失神・心筋梗塞・脳梗塞などを引き起こし、最悪死に至る症状です。
特に65歳以上の高齢者の方に起きやすい症状です。
後述しますが、実は、
ヒートショックでの死亡者数、世界各国と比較して、日本がダントツの1位なんです
実は毎年交通事故で亡くなる方の2~3倍以上がヒートショックで亡くなられているんですね。
若いうちは気が付かないことも多いですが、実は温度差が体に大きな負担を掛けているわけです。
そんなヒートショック、温度差の負担を無くすのに全館空調は大きく貢献します。
fa-arrow-circle-rightヒートショックは全館空調だけでなく、断熱・気密性をものすごく高くした【ZEH(ゼッチ)】仕様の住宅でも予防することができます。
2-2.PM2.5、排気ガス、黄砂、流行性ウィルスなどから体を守る
近日、日本の外気にはP.M2.5や黄砂、色々なウィルスなどが含まれることが増えてきており、環境変化は深刻なレベルになりつつあります。
しかしながら全館空調は、24時間365日、全ての部屋を一定の温度に保つため、窓を締め切った状態でも綺麗な空気と入れ替えする換気システムがワンセットになっています。
ですので、窓を開けなくても室内は新鮮な空気が充満している状態になるため、逆に窓を開ける機会が減ります。
ただそれ自体が実は危険な外気から家族の健康を守ることにも繋がります。
ちなみに花粉症の方にも外の花粉が入ってくる可能性が下がりますので、全館空調のメリットと考えても良いでしょう。
3.全館空調のもともとのデメリット
冬であれば、
- 暖房やストーブをつけないと布団から出られない
- 冷え性できつい
夏であれば、
- 夜が寝苦しい
- エアコンの風にあたり過ぎてだるくなる
そんな悩みを全て解決してくれる「全館空調」。
室内であれば24時間365日、最高の快適さとなる全館空調ですが、2016年頃まで全館空調の普及率は「3%」しかありませんでした。
今までの全館空調はデメリットが多数あったからです。
3-1.導入費が高い
当然、メーカーや家の大きさによって前後はありますが、2016年より以前の導入費は200~300万円前後というのが全館空調の相場です。
敷居が高く、導入率が低いのも頷けます。
3-2.月々の電気代が高い
24時間365日、全ての部屋でエアコンを回しているので、当然電気代は高くなります。
例えば延床面積35坪ほどの3~4名様家族が住む大きさであれば、一昔前は全館空調だけで2~3万円以上の電気代(月平均)が当たり前でした。
断熱性能、気密性能がある程度高いメーカーでも1~2万円くらいになります。
他の生活費の電気代を加えれば、オール電化で月々2~3万円前後はするのが一般的です。
3-3.メンテナンス費、修理費が高い
支出は導入費・月々の電気代だけではありません。
メーカーによっては年間5万円という保守費を支払うなど、メンテナンス費用が発生する場合もあります。
当然、専門の機械なので、故障が発生すれば大きな出費になります。
3-4.室内、及び室外の場所を取る
全館空調は大体が半畳~1畳くらいのスペースに大きな機械(本体)を設置することになります。
部屋中にダクトを這わす関係で、本体を設置する場所を自由に選べるわけでもありません。
ですので、間取りも影響を受けてしまいます。
挙句に室外機も大きな機械となる場合が多いので、建物の外もスペースを取ることになります。
狭小地ですと結構厄介ですね。
3-5.各フロア、各部屋で温度調整が出来ない
全館空調は全部屋快適な温度帯になっているとはいえ、家族の中でも寒がり・暑がりと分かれる場合がありますので、全く同じ温度になってしまう全館空調だと微調整が難しくなります。
結局、扇風機や最悪エアコンを一部取り付けなくてはいけなくなる場合もあります。
やはり支出が非常に大きくなることが多い為、普及率が低い状況なんですね。
ただ、私の勤務する会社でも重役たちは全館空調を導入しているケースが多く、
支出に見合うだけの快適さはあるようです。
fa-arrow-circle-right2019年最新の全館空調メリットとデメリットを解説したページもぜひご参照下さい。
fa-arrow-circle-right「全館空調はダクト内にカビが生える」という噂があり、そこに言及したページもありますのでご興味あったらぜひご覧ください。
4.全館空調が勿体ないと思うのは日本人だけ!?
従来の全館空調が普及しない理由は他にもあります。
日本の家づくりは個別で部屋を温める文化が、もう何百年と続いてきました。
だから誰もいない部屋が一定の温度になっていることを、勿体ないと感じる文化なんです。
日本の夏は高温多湿だったため、日本の家は昔から風通しを良くしてきました。
昔ながらの日本家屋やお寺をイメージして頂くと分かると思います。
人間は湿度も温度も高い環境には耐えられないわけですね。
逆に冬の寒さは我慢しましょうという考えが日本の家づくりなんです。
だから昔の家には「いろり」がありましたし、暖房機器がここまで発達したのも頷けます。
ちなみに欧米や欧州では「セントラルヒーディング」と言って、家全体を温めるのが当たり前の文化でした。
中世ヨーロッパに登場する暖炉も家全体を温める機能があります。
つまり日本人が、誰もいない部屋をいつも温めているのを勿体ないと感じているのは
世界からみればめずらしいんです。
加えて、日本の便座に温める機能がついているのは世界中で日本だけ、というのも有名な話です。
欧米や欧州から見れば、トイレもいつも暖かいので必要ないわけです。
欧米や欧州の人が冬に日本にやってくれば、便座の温める機能よりもトイレの寒さに驚くわけなんです。
4-1.ヒートショック世界一の日本
上述しましたが、ヒートショックで亡くなる方が、世界でダントツ一位なのが日本です。
交通事故で亡くなる方の3~4倍の方がヒートショックで亡くなっているのが日本の家です。
「冬」という寒い季節があるのに、部屋を個別で温めている文化だからこそ、
ヒートショック世界一になってしまうわけですね。
ちなみに日本国内でヒートショック事故数を比較すると
ワースト3: 香川県、兵庫県、滋賀県(2014年の発表)
となり、実は北海道や東北などの寒い地域ではないんです。
寒い地域は逆に、ヒートショック対策がしっかりされているわけです。
ヒートショック先進国である日本、その大きな問題はあまり話題にはなっていないので知らない方も多いと思います。
しかし、世界からみれば日本の家づくりは遅れていると言われています。
実は全館空調含め、断熱性能や気密性能向上は日本の優先課題になっているわけです。
5.全館床暖房と比較して
最近では家を建てる上で床暖房をつけたいと希望されている方も多くいらっしゃいます。
大手ハウスメーカーなれば、全館床暖房も全館空調もどちらからでも選択できるところもあります。
それぞれのメリット・デメリットを比較しましょう。
5-1.ランニングコスト
全館床暖房と全館空調の電気代を比較するとどうでしょうか?
月間の平均で考えると、それぞれ同じ条件下にしないと比較できないので、全館床暖房は「床暖房+エアコン」と考えてください。
・・・ただ、どちらかをはっきりと高い、低いと優越をつけたいところですが、正直それは難しいです。
断熱・気密性能、さらにメーカーそれぞれの床暖房、全館空調の能力の差からも大きく異なるので何とも言えません。
しかし、住宅の断熱・気密性能は同じ条件と考える場合は言えます。
「床暖房+エアコン」の方が電気代は高くつくはずです。
床暖房は冬だけ使用し、夏は全部屋冷房を付けると考えると、当然「床暖房+エアコン」の方が高いはずです。
全館空調は24時間365日、全ての部屋を一定に保つシステムですので、床暖房とランニングコストで比較すること自体はあまり意味はないかもしれません。
5-2.心地よさ
この比較もお客様に聞かれることが多いですが、正直、比較が難しいです。
冬の快適さから行くと、「タイプは違えど、どちらも快適」です。
全館床暖房だろうが、全館空調だろうが、半そで短パンの生活が送れます。
全館空調はよほど質の悪いものでなければ、基本的に床から天井まで一定の温度になるのが全館空調です。
エアコンの風を直接受けるものでもないので、要はストレスフリーに快適さとなります。
逆に全館床暖房で、例えばエアコンをつけてないとすると、床からのみじんわりと温まる熱を感じます。
寒い日にこたつに入る心地よさと非常に近いものがあり、体感的に気持ち良さを感じると思います。
ですので、快適さを比較するのは難しいですが、健康や快適さの差は大きくないでしょう。
ただ、夏は完全に全館空調に軍配が上がります。
特に全館空調は湿度も除去する性能があり、どの部屋も湿気を感じない快適な涼しさを作り出せるので、圧倒的に夏は全館空調が有利です。
fa-arrow-circle-right全館空調と全館床暖房を比較してまとめたページもあります。
6.高断熱・高気密・換気システムの向上
全館空調の最大のデメリットだったランニングコスト。
しかし現在、多くの注文住宅メーカーの住宅性能は向上してきています。
特に高断熱・高気密、さらに換気システムは10年前と比較してずいぶん上昇してきました。
少し前まで多くのメーカーで全館空調は導入できるにも関らず、お勧めする営業マンがいなかったですが、少しずつお勧めできるようになってきています。
実際、私が勤務していたメーカーも、注文住宅なかでもトップクラスに断熱・気密性能が高いメーカーです。
ここ10年で省エネ性能が大きく上昇してきました。
つまり全館空調を導入し易い時代になってきたわけです。
※床暖房は10年前から導入実績が増え続けていました。
fa-arrow-circle-right「換気」・「断熱材」に関しては下記ページにまとめています。
7.色んな全館空調が登場
ここ最近、旧来の全館空調から、いろんな性能がプラスアルファされたものから、新しい仕組みの全館空調が次々登場してきています。
- 湿度を調整する全館空調
- 脱臭効果がある全館空調
- 空気清浄がある全館空調
などのプラスアルファの能力もあります。
そして、さらに、全館空調は進化をとげています。
全館空調の本体を2箇所に分散することで小型化に成功したハウスメーカーもあります。
導入費は120万円前後、かつ電気代も月々6,000円前後に収まっています(35坪の大きさで全館空調のみの電気代)。
その他のメーカーでも続々と導入費、電気代ともにお買い得な全館空調が登場しつつあります。
先々、全館空調が当たり前の時代に突入していくと思います。
実際に全館空調を検討したい方は【タウンライフ家づくり(ハウスメーカー特集)】を利用するのが良いでしょう。
インターネットで色々探しましたが「全館空調」があるハウスメーカーを一括で探して、簡単に比較・検討できるのはこのサービスが一番効率的です。
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最後までお読み頂き、有難うございました。