【全館空調にカビ?】ダクトにカビが生える本当の原因と対策!

「全館空調にカビが生えるから健康に悪いって聞いたんだけど、導入は止めた方が良いの?」

「全館空調のダクトにカビを生やさない方法ってあるの?」

家疑問くんそんな疑問にお答えします。

 

 

近年、急激に進化してきた【全館空調】、導入を検討する方も増えてきたと思います。

ですが、「全館空調にはカビが生えるから止めた方が良い」という噂を聞いて不安になっている方も多いのではないでしょうか?

私は住宅営業マンの現役時代に全館空調を勧めていたこともありましたが、他社のメーカーの営業マンに、あそこのメーカーの全館空調はカビが生えますよ、という悪口を言われたことがありました。

今回はそんな噂に終止符を打つためにも、全館空調にカビが生えるのが真実かどうか、を解説していきます。

なお、最新の全館空調がどれほど進化したかをまとめたページもありますので、ぜひご覧ください。

 

本記事はこんな内容になっています。

本記事の内容
  • カビが生える原因が全館空調ではなく別のところにあることが分かる
  • 最新住宅の空調や換気ダクトでもカビが生えるパターンが分かる
  • カビを生やさない為の対策が分かる

では早速解説していきます。

 

1.全館空調がカビの原因なの!?

最初の章では、全館空調にカビが生えるのは真実か、ダクトなどにカビが発生する原因はどこにあるのかを解説していきます。

 

 1-1.そもそも住宅でカビが発生する原因

結露が原因

まず、住宅内でカビが発生する根本的な原因を把握していきましょう。

カビ自体が発生する原因は皆さんご存知だと思います。

答えは湿気ですね。

ただ、実際には湿気に加え、「酸素」「温度」「栄養」などの要素が揃わないといけないのですが、3つとも住宅内では確実に揃ってしまいます。
防げるのは「湿気」だけ、ということです。

住宅内で浴室や洗面所などの水回り、洗濯機内がカビるのは当然ですよね。

しかし、例えば壁の中の断熱材や、今回のテーマとなる全館空調のダクト内がカビる原因は何でしょうか?

それは「結露」です。
もう少し具体的に説明すると、湿度が高い空気との温度差が大きくなると、水滴になってしまうわけですね。

結露のイメージ画像
出典:「ヤマダ硝子」結露と窓から逃げる熱について

少し古い住宅では窓ガラスで結露は発生することが多いですが、実はこの結露が壁の中やダクト内部で起きるわけです。

 

 1-2.全館空調だからカビが発生するわけじゃない?

住宅内の水を使わない場所でカビが発生するのは、「結露」が原因です。

つまり、全館空調だからカビが発生するわけではありません。

だから全館空調に限らず、一般的なエアコン内部や配管でも結露が発生して、カビが生えるわけです。

「どこどこのメーカーの全館空調はカビが生える」という情報は正確ではありません。
全館空調の性能は一切カビには関係ありません。

重要なのは、全館空調本体やダクトは結露が起きやすい環境にあるかどうか、がポイントなんです。

ただ、そう考えると、全館空調自体はカビが生えにくい環境を作ってくれることがお分かりになるかもしれません。

全館空調は、家中すみずみまで空調を効かせるわけですから、家中の湿度を下げる力があります。
エアコン付けると乾燥しますよね。

つまり、2重の意味で、全館空調はカビの原因になっていないわけです。

 

 1-3.10年前の全館空調のダクト内はカビが生える?

実は、10年以上前の全館空調のダクトは、カビが生えやすい環境にありました。

それは住宅性能そのものに問題があるからです。

現在は高断熱・高気密(隙間が無い)な高性能住宅【ZEH(ゼッチ)】ネットゼロエネルギーハウスに適合させていく方向で国や各建築会社は動いています。

ですので、最新の住宅は、湿気を含んだ空気が室内に入りづらく、「結露」が発生しにくい環境になっています。
つまり、ダクト内部はカビが生えづらいわけです。

しかし、10年以上前の住宅では、現在ほど高断熱・高気密になっていないので、室内で結露が起きやすく、全館空調のダクトはカビが生えやすいのは仕方がありません。

ZEHをご存じない方はぜひ下記ページをご参照下さい。

 

ただし、今の住宅でもダクト内にカビが生える場合もありますので、安心してはいけません。

原因は次章で解説していきますのでぜひ続きをご覧ください。

 

 1-4.換気用のダクト内も全館空調と同じ環境

ここまで全館空調のダクトにカビが生える原因を解説してきました。

ただ、現在の住宅内にあるのは、「空調」のダクトだけはありません。
「換気」のダクトもあります。

特に近年は「第一種換気」という機械で吸気、機械で排気をする換気が主流になってきています。

機械で吸った空気を、ダクトを通して家中に送り込むので、実は全館空調のダクト以外にも住宅内にダクトがあることになります。

 補足
ハウスメーカーによっては、全館空調と換気のダクトを別々にせず、同じダクトでそれぞれが機能するような施工もあります。
ただ、多くのメーカーが換気と空調のダクトは別々になっています

全館空調を導入してもしなくても、換気用のダクトがカビてしまい、健康被害にあう可能性があることになります。

換気に関しての詳細は下記ページにまとめていますのでぜひご参照下さい。

 

2. 2018年現在の新しい住宅でもダクト内にカビが生えるパターン

前章までに、全館空調・換気ダクトの中がカビる可能性はあるが、最新の住宅では断熱・気密性能が高いのでカビにくい環境にあることを解説してきました。

しかし、この章では、2018年現在の最新住宅でも、ダクト内部がカビてしまう危険があることを解説していきます。

 

 2-1.断熱材の外にダクトがある場合は危険

最新の住宅でも、全館空調や換気のダクトが断熱材の外側にあっては、せっかくの高断熱・高気密の意味が全くありません。

では具体的に、ダクトが断熱材の外側にあるのはどんな場合でしょう。
大きく分けると2つあります。

■天井断熱(ダクトが屋根裏にある場合)
屋根断熱、天井断熱
出典:総合屋根・壁・資材「滋賀・屋根Q&A」

住宅上部の断熱は、屋根断熱と天井断熱に分かれます。

10年以上前までは天井断熱が当たり前でした。天井断熱は画像の通り、屋根裏部分に熱がこもってしまうわけです。
もし、天井断熱で、この屋根裏部分にダクトがあるとしたら、結露してカビが発生しやすくなるのは必然でしょう。

近年では発砲ウレタンフォームという泡断熱が普及してきたので、屋根の裏の斜めの部分にも断熱材を吹き付けることが可能になってきました。

発砲ウレタンフォームという断熱材に関してはこちらをご参照下さい。

 

■床断熱(ダクトが床下にある場合)
住宅の下部は床断熱か、基礎断熱に分かれます。

現在の住宅も床に断熱材を吹き付けるが一般的ですが、メーカーによっては基礎部分に断熱材を吹き付けて、床下も部屋として扱うことがあります。

ここでのポイントは、床断熱でありながら、床下にダクトを通している場合は、結露してカビが発生しやすくなってしまうということです。

 

上記、天井断熱、床断熱など、ダクトが断熱材の中にあるのかないのかは、建築会社と契約する前に確認しておきましょう。

もちろん、全館空調を導入するかしないかでは無く、第一種換気なら確認するべきです。

 

 2-2.施工不良の場合もカビの原因になる

断熱材の施工不良があると、断熱や気密性が大きく下がってしまうので結露が発生しやすくなります。そうなればもちろんダクト内のカビの原因になります。

また、最近では前章で記載した通りダクト式の換気設備(第一種換気)が増加していますが、これも同様に施工不良が増加しているようです。
出典:日本経済新聞

施工不良によってもダクト内に汚れやカビが蔓延してしまう原因にもなってしまいます。

新築直後ですと、施工不良が分からないケースもありますので、建築会社の定期点検の際はしっかりと問題ないか調べてもらえるように調査員に念を押すのが良いでしょう。

 

3.カビが生えない為の対策

ダクト清掃イメージ

本章では、全館空調や換気ダクトのカビによって健康被害が合わないような対策方法を解説していきます。

ただし、ダクト内は長期間カビが生えなかったとしても、必ず汚れていくものです。

これは住宅性能や、設備の性能は一切関係がありません。何十年と放置することは絶対にいけないことを念頭に入れておきましょう。

 

 3-1.定期的なダクト清掃

全館空調や換気のダクトは約10年に一回、定期メンテナンスを行うのが理想です。

実はあまり知られていないのですが、ビルなどの基本的なメンテナンスの項目にあるのがダクト清掃です。
当然、戸建て住宅でも業者を呼んでダクト清掃をする必要があります。

住宅のメンテナンス費用をまとめたページで「ダクト清掃の費用」を解説しています。

 

上記ページを確認してもられば分かりますが、ダクト清掃の費用は他のメンテナンス費用と比べて大きくはありませんのでご安心下さい。

 

 3-2.定期的なユニットメンテナンス

また、ダクト以外に、全館空調や換気設備本体のメンテナンスも定期的に行う必要があります。

エアコン本体でもそうですが、全館空調の本体や、換気設備の「熱交換器」本体をメンテナンスしないと、本体周辺がカビでしまうこともあります。

新築時に本体周辺に点検口が設置されるのが基本ですが、万が一設置してしない建築会社があるかもしれませんので、注意しておきましょう。

全館空調本体と換気設備の熱交換器のメンテナンス費用は、各メーカーの設備能力によって大きく差が出てきます。

メンテナンス費用を抑えた最新の全館空調など、一部メーカーの全館空調を紹介しているページもあります。

 

4.まとめ

全館空調自体がカビの原因ではなく、住宅設備によってはダクトにカビが生えてしまうことが分かって頂けたと思います。

ただ、ダクトは全館空調だけでなく、最近の新築では換気システムとして使われています。

どんなに優れた住宅性能、設備性能だったとして、結局ダクト内は汚れていきます。

設備の寿命も大切ですが、何より家族の健康のために、10年に一度はしっかり定期メンテナンス・ダクト清掃を行っていきましょう。
そうすれば、全館空調を導入しようが、第一種換気だろうが、健康には全く問題なくなるはずです。

 

最後までご愛読頂きまして誠に有難うございました。

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