「建築会社を選ぶ時、木造や鉄骨で悩むけど、結局どっちがいいの?」
「木造住宅・鉄骨住宅のそれぞれのメリットやデメリットが知りたい!」
そんな疑問にお答えします。
本記事では、2019年、最新の木造・鉄骨住宅のメリット、デメリットを解説していきます。
新築の計画を立てると、色々な建築会社(ハウスメーカー、工務店)を回ったり、インターネットで情報を集めますよね?
ただ、工法や構造、長所や短所、手に入る情報は何が正しいのか把握できますか?
例えば営業マンは、自社が扱っている木造か鉄骨のメリットを一生懸命に説明をしてくれます。
逆に他社のデメリットもやんわりと伝えてきます。
インターネットで色々調べても長所と短所がはっきりと書かれていますが、例えば「木造住宅は耐震性が低い」という情報は5年以上前からあまり変わっていません。
ですが住宅業界はここ5~10年の間に飛躍的にレベルアップしています。
当然、工法や構造が変化すれば、おのずとメリット、デメリットも変わってきます。
今回はそんな木造と鉄骨の、最新で、かつ正確な情報をお届けします。
- 誤って認識されてしまう木造・鉄骨住宅のメリットとデメリット
- 正確な木造・鉄骨住宅のメリットとデメリット
- 結論:木造と鉄骨の住宅、どっちが良いの?
なお、建築会社を選ぶ際、「ハウスメーカー」と「工務店」で悩む方もいると思います。
fa-arrow-circle-right「ハウスメーカー」と「工務店」の違いをまとめたページもあります。
目次
1.木造住宅にデメリットが多くなった経緯
この項目は余談ですので、いち早く内容を把握したい方は先に読み飛ばして下さいね。
よく耳にする木造のデメリットは次のようなものです。
- 耐震性が低い
- 火災に弱い
- 木をシロアリが好んで食べる
(鉄骨を扱っている建築会社の営業マンが口をそろえて言うことです)
だからこそ木造住宅のコストは低い、という認識にもなっているかもしれません。
こう思われる経緯としては「木造の歴史が圧倒的に長い」という理由が一つになっています。
日本の木造建築は約1500年前の飛鳥・奈良時代から作られています。
逆に鉄骨は1950年頃に海外から入ってきて、少しずつ普及してきたので歴史は浅い。
現在は軽量鉄骨、重量鉄骨と共に大きく普及し、特に鉄筋コンクリート造はマンション・ビル建設では一般的になっています。
例えば震災が起きれば、基本、木造建物が倒壊したとニュースになります。
鉄骨が倒壊したとは聞いたことがありません。
しかし、実際に倒壊した木造のほとんどが1981年の耐震基準が改正する以前に作られた建物です。
fa-arrow-circle-right耐震等級の基準や考え方をまとめたページもあります。
つまり、木造は問題が発生する度に改善が繰り返されてきましたが、鉄骨は完成されていたものが日本に入ってきたと言えます。
過去の木造住宅のイメージが誤ったデメリットを残している原因と考えられます。
fa-arrow-circle-right木造住宅の【工法】についてまとめたページもあります。
2.誤っている木造・鉄骨の具体的なメリット・デメリット
木造や鉄骨を比較・検討していく上で、「誤っている」または「その表現おかしい」と思われる具体的なメリット・デメリットを解説していきます。
なお、鉄骨には軽量と重量がありますが、どちらも加味して解説していきます。
2-1.「木造住宅は耐震力が低い」というデメリットはおかしい
地震に強いのは鉄骨のメリットと言われます。
しかし、現在の木造建築は大きく進歩しており、国が定めた耐震等級は最高等級3を取得できます。
また、木造には「2×4工法(ツーバイフォー)」という2×4インチの大きさの合板を繋ぎ合わる構造があり、耐震に優れています。
さらに言えば、木材を繋ぎ合わせる金具も進化しています(耐震金物)。
では軽量も重量鉄骨も、木造に比較して何が強いのでしょうか?
非常に簡単に言えば、鉄骨は
「柱や壁が支えられる重量が大きい」
ということです。
異なる表現を使うと
「同じ重量を支えるのに鉄骨の方が柱や壁が少なくて済む」
ということです。
それだけで見れば確かに木造の方がデメリットに感じてしまいますが、
実際は、建物の構造として木造も鉄骨も耐震強度を上げるために必要なだけ「柱と壁」を使います。
ですので、単純に「骨」の部分だけを比較して「鉄骨の方が耐震に強い」という表現を使うのは間違っています。
結論として、木造だろうが鉄骨だろうが、どちらの工法も耐震の強さは建築会社次第です。
私個人の見解ですが、地震によって自社の建物が1棟でも倒壊すれば、建築会社は致命的なダメージを受けますので耐震には必ず力を入れます。
木造を扱うハウスメーカーでも相次いで制振装置が普及してきていますし。
結果、耐震に関しては鉄骨だろうが木造だろうが、どちらを選んでも全く問題ありません。
fa-arrow-circle-right制振・免振に関しては下記ページにまとめています。
2-2.「鉄骨は耐火性が高い」は本当?
耐火能力は鉄骨が高く、逆に木造が低いと昔から言われます。
ただ、そもそも「火災に強い」という表現に関してから基準を合わせておきましょう。
当然ですが、建物の中から火が付いたら骨組みがどんな構造でも関係なく壁紙や家具が先に燃えます。
実際の火災では、建物が崩れて人が亡くなるというより、一酸化炭素中毒が原因で亡くなるケースが多い。
つまり火災の場合、骨組みが鉄骨か木造、どちらであろうがその他の設備が重要です。
では周りの建物から火が燃え移ることに対する耐火に関してはどうでしょう?
これは屋根材、外壁材、窓ガラスの素材や能力によって大きく変わります。
また、準防火構造、省令準耐火構造になっているか、によっても異なります(ここを説明してしまうとマニアックになるので、ご興味ある方はググってみて下さい)。
ですので、木造・鉄骨の骨組みはあまり関係が無いでしょう。
最大のリスクは「火災による倒壊」です。
まず、鉄筋コンクリート(RC)、重量鉄骨、これに関しては確かに木造よりも倒壊はしにくく、メリットと言えます。
もちろんコストが上がる部分はデメリットとなります。
ただ、軽量鉄骨は別です。
鉄骨の方が火に強いと思われがちですが、実際に鉄は700度を超えると曲がる言われています(戸建の火事は1200度に達します)。
逆に木材は表面が燃えますが、木の中は炭化しますので燃えきらない特徴があります。
つまり倒壊確率から言ったら軽量鉄骨が不利になると言えます。
大事なことは当然「火災を起こさない環境づくり」が大事ですよね。
2-3.「木造の家は遮音性が低い」は誤り?
木造の建物は防音に弱く、音がうるさいというデメリットを耳にします。
しかし、これは完全に誤りと言えます。
■外部からの遮音
まず、家の外周面に関わる遮音性です。
外の音が家の中に聞こえやすいか、また家の中の音が外に漏れやすいか。
これは骨組みの木造か鉄骨住宅かは関係がありません。
断熱材、窓ガラスの機能や外壁材によって左右されます。
後述しますが、比較的に木造は気密性が高いため、外部からの遮音性が高くメリットと言えます。
※気密が高いとは: 住宅に隙間が無く、外部からの気体が入ってこないため、冷暖房や換気効率が上がる。
■建物内部の遮音
壁を隔てた生活音が、木造の方がよく聞こえると言われています。
おそらくアパート構造のイメージでそう言われているのだと思います。
実際は木造も鉄骨も、壁は柱(骨組み)と石膏ボード、壁紙のみとなりますので、どちらも同じです(建築会社によって異なります)。
ただし、重量鉄骨は骨が太いため、僅かですが遮音性は高いです。
※鉄筋コンクリート(RC)は遮音性が最も高いです。
2-4.「鉄骨住宅は耐久力が高い」とは言えない
要は建物が長持ちするかしないか、という部分です。
10年ほど前までは日本の一戸建ては30年しか持たない、と言われていました。
これは確かに木造住宅を指すことが多く、当時はデメリットとなっていました。
原因として、過去の建物は気密性が低いために、壁の中の断熱材が水分を含んでしまうことでカビが発生し腐ってしまいました。
木材も一緒に腐敗したことで建物の寿命が短い原因となっていたのです。
逆にもっと古い木造建築「法隆寺」は約1300年も長持ちしています。
これは、断熱材を使わず風通しを良くしているからこそ長持ちしています。
近年は住宅機能が上がり、ほとんどの建築会社で100年長持ちすると言われる「長期優良住宅」を取得できるようになっています。
fa-arrow-circle-right100年長持ちする家(長期優良住宅)に関しては下記ページにまとめています。
骨組み部分だけを指して「耐久力」を比較しても全く意味は無いと言えます。
2-5.「木造の方が間取りの自由度が高い」は間違い?
結論から言えば、木造住宅の方が間取りの自由度が高いとは言い切れません。
確かに工事の際、木造の方が鉄骨よりも重機が小さいので狭小地に向いています。
ただ、「狭小地に向いてる=間取りの自由度高い」というメリットには繋がりません。
木造建築は大きく分けて「軸組工法(在来工法)」「2×4工法(ツーバーフォー)」があります。
「軸組工法(在来工法)」基礎・柱・梁というシンプルな構造で組み立てていきますので、一般的に自由な間取りが作れると言います。
ただ現在は、下記の部分で制約がいろいろあります。
- 耐震3等級(最高等級)取得のために壁を一定量確保しなくてはいけない(鉄骨より壁が必要)
- 各建築会社が定めた気密能力を維持するために、窓のサイズに制約がある。
- 換気システムの本体やダクトを設置しないといけないので間取りの制約がある。
「軸組工法(在来工法)」はリフォームし易い、というのは間違いでは無いですが、最近の住宅はかなり長持ちなのでリフォームの確率も低くなり、メリットには繋がりません。
【軸組工法=間取りが自由】と思い込むと、契約してから痛い目に合うので注意しましょう。
「2×4工法」は2×4インチのパネルを組み立てる構造ですが、軸組工法と比較して間取りの自由度は落ちます。
結論として、木造だから間取りの自由度が高いということは断言できません。
2-6.「鉄骨住宅はシロアリの被害を受けません」はウソ
鉄骨を扱っている建築会社の営業マンは「シロアリ対策が不要」という口説き文句を使います。
しかし、シロアリは鉄骨住宅でも発生します。
鉄骨住宅でも骨組以外にたくさんの木材を使いますし、シロアリは木材以外、壁紙から石膏ボードなど、ほとんどの物を食べるからです。
fa-arrow-circle-rightシロアリに関しては別ページでまとめていますのでご参照下さい。
3.正確な木造・鉄骨住宅のメリット
では、上記の誤った情報を差し引いた、正確な木造住宅と鉄骨住宅のメリットを解説します。
3-1.木造住宅のメリット
木造住宅のメリットは下記2点です。
3-1-1. 鉄骨に比べてコストが低い
もちろんハウスメーカーや工務店などの建築会社によってコスト差が発生します。
しかし、平均すれば木造住宅の方がコストが低くなります。
有名な話ですが、ここは以前から変わらず最大のメリットです。
逆、鉄骨住宅は比較的コストが高いのでデメリットとなります。
3-1-2. 気密性が高い傾向にある
上述しましたが、木造は鉄骨に比べて壁量を増やす場合が多いので、窓が小さく、少なくなる傾向です。
それを逆に活かして気密能力を高くしているメーカーが多いです。
これはデメリットをメリットに転化させている、と言えますね。
気密は骨組みの材質は関係が無く、断熱材や窓の能力に左右されます。
3-2.鉄骨住宅のメリット
鉄骨住宅のメリットは下記2点です。
3-2-1.間取りで、空間や窓を大きくできる
例えば、なるべく壁や柱を減らして、大空間のLDKが欲しい、という場合は鉄骨住宅の方が向いています。
また、LDK南側に天井まである大きな窓をいくつも並べたい、という希望も同様です。
これが鉄骨メーカーの最大のメリットと言えます。
逆に木造は壁や柱が多くなるのがデメリットとなります。
3-2-2.品質が安定
鉄骨は完全に工場で製作され、誰がやっても品質が維持できるのはメリットの一つです。
木造は以前に比べると、工場でプレカットしてしまうので品質はかなり安定してきていますが、現場の大工さんの腕に多少なりとも左右される傾向にあるのはデメリットとなります。
4.結論:木造と鉄骨の住宅、どっちが良いの?
結論としては、「正直、木造でも鉄骨住宅でもどちらでも良い」と言えます。
確かに木造はコストが低く、鉄骨は間取りの空間を大きく出来るなどの長所と短所が分かれる部分もあります。
ですが、例えば住友林業のように木造メーカーであるにも関わらず、鉄骨メーカー並みに金額が高く、ビッグウッド工法により空間を大きく作れます。
木造や鉄骨といった構造にこだわらず、自分たちに適切な建築会社を探すことがベストだと思います。
下記サイトで「耐震や免振に力を入れている建築会社」や「高断熱の建築会社」、「木の家」、「自然素材の家」などから住宅カタログを一括で取り寄せることが出来るので実際の住宅性能を比較して見るのも良いと思います。
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5.まとめ
ネット上でも様々な解説が存在しますが、実際には鉄骨・木造、どちらの建築会社も技術力を上げてそれぞれの素材のデメリットを補っているのが実情です。
繰り返しになりますが、構造によって住宅性能に大きな差は出てきません。
骨組みよりもどちらかと言うと、建築会社によってメリット・デメリットは変わってくる、ということです。
表現を変えれば、各ハウスメーカーや工務店がどこに力を入れているかが異なる、ということです。
つまり、鉄骨だから良い、木造だから良い、ということは一概に言えませんので、自分の予算内で優れた家を提案してくれそうなハウスメーカーを探せば良いでしょう。
何より鉄骨、木造に対しての思い込みをしないように注意して建築会社を選びましょう。
fa-arrow-circle-rightハウスメーカー・工務店選びで失敗しないための3つの原因と対策をまとめたページをご覧ください。
最後までご愛読いただき誠に有難うございました。