「太陽光発電の買取価格が年々下がっていくけど、このタイミングで太陽光パネルは載せるべきなの?」
「いつまでに太陽光発電導入を導入すれば費用対効果があるの?」
そんな疑問にお答えします。
本記事は、これから戸建てを新築する方や既存住宅に太陽光パネルを載せるかどうかを検討している方向けの記事です。
- ここ最近の太陽光発電の買取制度について概要や今後の買取価格の推移が分かる。
- 買取価格が下がっていく中でも、ポイントを押さえれば投資した方が良いことが分かる。
- 今後、太陽光パネルを載せるのであれば、何キロワットぐらいがベストか分かる。
では早速解説していきます。
目次
1.太陽光発電の買取制度とは?
最初に、太陽光発電の固定価格買取制度(通称FIT法)について、おさらいも含めて簡単に解説していきます。
また、2017年4月に買取制度が改正されたことや、2019年問題にも少し触れていきます。
すでにご存じの方は本記事2章からお読みください。
また、家庭用太陽光発電(10kW未満)の場合は、10年間、電気の買取価格が変わらない制度。
この制度は2012年から始まりました。
政府の狙いとして、自然の力を電気エネルギーへと変換する【再生可能エネルギー】を日本に普及させるために作られました。
ZEH(ゼッチ)も同様ですが、地球温暖化防止のために作られた制度です。
FIT法が出来る前、2009年11月から【余剰電力買取制度】が始まっていましたが、2012年に固定価格買取制度に移行しました。
この固定価格買取制度(通称FIT法)の把握しておくべきポイントは以下の3点です。
- 定められた買取価格は毎年少しずつ下がってきている。
- 電力会社が電気を買い取るために発生する費用は、電気を使っている全ての家庭から賄われている。
- 一般家庭の場合、基本的に余剰電力のみが買取対象となる。
戸建へ太陽光パネル設置を検討する場合は、上記内容を把握しておけば問題ないと思います。
1-1.2017年4月から改正FIT法(固定価格買取制度)が施行
実は2012年から始まったFIT法には大きな問題が3つありました。
- 買取金額が高額だったため、一般家庭の電気代負担が大きくなり過ぎた。
- 買取金額が高額で儲かり過ぎるため、未経験や悪徳業者の参入が多発した。
- 売電価格の権利だけ確保するだけの、太陽光発電システムが未稼働の案件が増えすぎた。
太陽光発電システムの普及のみを加味した法案だったため、上記問題が浮上してしまったようです。
その為、問題解決のためにFIT法は2017年に改正されたのです。
改正によって太陽光発電は儲からなくなったイメージを持っている方も多いと思いますが、2009~2017年までの買取価格が異常に高かったので、ようやく適正値になったと見るべき改正です。
fa-arrow-circle-right改正FIT法(固定価格買取制度)について分かり易く解説してあるサイトがありますので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
メガ発 > 改正FIT法が施行【太陽光発電の設備認定・固定価格買取制度の見直し】
1-2.2019年問題とは?
これから太陽光発電の導入を検討される方は直接的な関係はありませんが、将来的には少し関係してくる可能性もあるので、
太陽光発電の買取価格に関する「2019年問題」は念頭に置いておきましょう。
上記解説していますが、2012年にFIT法が作られる以前、2009年11月に「余剰電力買取制度」がスタートしました。
つまり、2009年に太陽光パネルを載せた人たちにとっては、10年固定されていた買取価格の保証期間がついに2019年に終わるわけです。
ただ、驚くべきことですが、2018年12月現在、2019年以降の買取価格がどうなるのか、そもそも買取があるのかさえ未発表になっている、これが2019年問題です。
特に太陽光パネルは10年を超えてくればモジュールの交換などメンテナンスが必要になってくるタイミングです。
該当者にとっては情報が無い以上、今後の対応をどうしていけばいいのか混乱してしまいますよね。
fa-arrow-circle-right太陽光パネルの寿命やメンテナンスについては下記ページにまとめています。
2.今後の買取価格の推移
続いて、今後の太陽光発電の買取価格の推移に関して解説していきます。
これも知っている方は3章からお読みください。
まず、下記グラフをご参照下さい。
一般住宅の太陽光パネル(10kW未満)の場合は、「余剰買取」の推移だけをご覧ください。
2009年に買取価格は「48円」からスタートしました。
一般家庭の電気1kWhの平均単価はおおよそ【25~27円】ですので、比較すると2倍近くの買取価格になっていたことが分かります。
一般家庭の電気1kWhの平均単価は電力会社や契約内容、使用時間帯など、様々な要因で異なります。25~27円はあくまでも目安として捉えて下さい。
そして、毎年1~3円の間で下がっていき、2019年には26円(出力制御あり)まで下がり、ここでようやく一般家庭の使用電気平均単価と横並びになったわけです。
では、2019年以降はどうなっていくのでしょうか?
実は2018年9月に今後の買取価格の指標となるニュースがありました。
https://www.denkishimbun.com/sp/32582
このニュースは経済産業省・資源エネルギー庁が発表したもので、
一般家庭用の太陽光発電買取価格を「2025年までに11円まで抑えることを目指す」というものでした。
出力制御なしの場合は2019年が24円。
6年間で13円下がる計算になります。
つまり、2025年まで毎年「2円ずつ」買取価格が下がっていくことが想定できます。
3.買取価格が落ちていく中でも太陽光発電を導入すべきか?
本章では、毎年2円ずつ買取価格が落ちていく中でも、太陽光発電を導入すべきかを解説していきます。
導入すべきかを紐解くためには、3つのポイントを押さえておく必要があります
- 2019年から使用電力よりも買取価格の方が下がってくるタイミングである
- 初期投資した分の費用を10年間で回収できるか
- 太陽光パネルの価格は下がり、性能は上がってきている
1つずつ解説していきます。
3-1.2019年から使用電力よりも買取価格の方が下がってくるタイミングである
2019年には買取価格が出力制御ありで26円、出力制御なしで24円。
一般家庭の電気1kWhの平均単価がおおよそ【25~27円】ですので、2019年に使用電力単価と買取単価が横並びになりました。
2018年以前は太陽光パネルを大量に載せることで得になっていました。
発電量が使用電力を上回ることで余剰電力となり、それを高額で買い取ってもらえたからです。
しかし、2019年以降は「大量」に太陽光パネルを載せたところで、だんだん意味が無くなってくることになります。
3-2.ポイントは10年で回収できるかが重要
太陽光発電を導入すべきか検討する上で、最も重要なポイントは、やはり投資回収ができるかです。
特に買取価格が固定されている10年で回収できるかが最も重要でしょう。
もちろん、計算には買取価格、メンテナンス金額、寿命なども加味する必要があります。
そこで、まず2019年に太陽光発電を搭載した場合の収支をシミュレーションしたページがありますので、一度ご覧ください。
上記ページでは150万円の初期投資で6.18kWの太陽光を搭載した場合(年間7500㎾hの発電量)の収支を計算しています。
もちろん、メンテナンス費用や太陽光パネルの発電量が落ちていく推移まで見込んだ計算です。
ちょうどぴったり10年で初期投資150万円と各種費用分を回収する見込みになります。
今後の買取価格がどうなるか現段階では分かりませんが、上記計算の場合、自宅の電気代が毎月12,000円だったとして、それは全て太陽光発電でまかなえる計算になります。
その場合、毎年14万円、10年間で144万円、メンテナンス費用やパネル劣化などを加味しても、寿命が来るまでの20年間で100~150万円は得する計算になります。
■5年後の2024年、仮に買取価格が14円の時に太陽光発電を導入した場合は回収出来るのでしょうか?
上記例えと同じように、6.18kWの太陽光パネルを搭載し、毎月平均12,000円の電気代が掛かる住宅を想定します。
※6.18kWの太陽光パネルの場合、年間発電量は約7500kWhを想定
※毎月平均12,000の電気代なら、年間使用電力量は約6500kWhを想定
- 初期投資:150万円(6.18kW)
- 想定年間使用電力:年間6500kWhを使用、毎年144,000円分を太陽光発電で補う(10年で144万円)
- 想定買取価格:(年間発電量7500kWh-使用電力量6500kWh)× 買取価格14円 = 14,000円(10年で14万円)
- メンテナンス費用:10年で22万円
- 発電量の低下:10年間で合計5万円減少(毎年約0.5%で算出)
発電によるプラス158万円-初期投資150万円-メンテナンス22万円-発電量低下5万円 = マイナス19万円
このままでは太陽光発電を導入しても損する計算になります。
ですが、次章で解説しますが、年々太陽光パネルの価格(初期投資額)は下がり、性能はアップしていることを加味すれば、10年で投資回収が可能になってきます。
3-3.太陽光パネルの価格(初期投資額)は下がり、性能は上がってきている
太陽光パネルの平均価格は、2012年に1kW33万円でしたが、2018年には23万円まで落ちてきています。
つまり、6年間で価格が約30%下がった計算になります。
単純計算すれば、6年後の平均価格は1kW16万円になっている計算ですね(1kW7万円下がっている)。
3-2章の例えでいくと、6.18kWの初期投資150万円が、5年後には約110万円になっている計算になります(40万円下がる)。
もちろん、太陽光パネルの性能も上がっていきますので、発電量が増加したり、メンテナンス費用が落ちたりすることはイメージできると思います。
つまり、以下のような結論が導き出されます。
4.消費電気をまかなうくらいの太陽光パネルを載せる
本章では、太陽光発電の買取価格が落ちてきたときに、具体的にどれくらいの量のパネルを搭載すれば良いのかを解説していきます。
3-1章で解説した通り、2019年以降は使用電力単価よりも買取価格が落ちてきています。
2020年までは大きな差はないので、そこまでパネル搭載量を気にする必要は無いでしょう。
ですが、それ以降は消費電力をまかなうくらいの太陽光パネルを搭載するのが最も費用対効果が高いことになります。
では具体的にどれくらいの太陽光パネルを搭載すれば良いのかを解説します。
4-1.具体的に何キロワット載せれば良いの?
2018年現在の2階建て延床面積35坪の住宅で、大人2名子供2名の場合、月々の電気代はおおよそ15,000円前後が平均値です(新築でオール電化の場合)。
もちろん高断熱・高気密住宅であればもっと低い数字になるでしょう。
また、将来ZEH住宅が普及し、全体的に高断熱・高気密化が進むことになるので、平均値はだんだん下がっていくことになります。
仮に毎月12,000円の電気代と想定した場合は、太陽光パネルは4~5kWほどでちょうどまかなえるくらいの発電量になると思います。
おそらく2025年の頃には、1kWの発電量も増加し、住宅の断熱・気密性能もさらに上がるはずですので、3kW載せれば十分な時代になるでしょう。
5.太陽光発電を導入するなら、早いに越したことはない
前章までお読み頂ければ、買取価格が下がっても太陽光発電を導入しても損しないことはお分かり頂けたと思います。
ですが、それでも太陽光発電を導入するのなら、買取価格が高いうちの方が得になる可能性が高いことも事実です。
太陽光発電導入を検討するのなら、1年でも早い方が良いでしょう。
新築の場合は、住宅ローン金利が今後上がってくる可能性を考えても、早い方が良いでしょう。
fa-arrow-circle-right住宅購入のタイミングについては下記ページにまとめています。
ただし、太陽光発電の業者選びや素材選びなど、慎重に判断しなくてはいけません。
fa-arrow-circle-right太陽光発電で後悔する事例をまとめたページがありますので合わせてご覧ください。
6.まとめ
本記事のまとめポイントは以下の通りです。
- 買取価格は今後、毎年2円ずつ下がっていく。
- 買取価格が下がって、使用電力をまかなうくらいの太陽光パネルを載せれば得になる。
最後までご愛読頂きまして誠に有難うございます。