「2階リビングの間取りにした場合、老後に向けてどんな対策しておけばいいの?」
そんな疑問にお答えします。
「2階リビングは不便だし、老後、階段の上り下りとかでとにかく大変になる」って聞く人も多いのではないでしょうか?
ただ、私が営業マン時代に、実際に2階リビングに住んでいる方からは、「不便だから2階リビングは止めた方がいい」という声を1度も聞いたことがありません。
私個人としても、土地の条件によっては十分に検討すべきだと思っています。
fa-arrow-circle-right詳しくは下記ページに検討すべきメリットやデメリットをまとめています。
とはいえ、2階リビングが普及してきたのは最近なので、2階リビングの戸建てに住んでいるおじいちゃん、おばあちゃんはまだ少ない。
だから、「老後に大変だ」とか、「いや、別に大変じゃないよ」いう声はあまり聞けないのが現状なんですね。
分からないからこそ余計に不安になってしまいます。
今回はそんな2階リビングが不安という方に向けて、どんな対策をすれば良いのかを解説していきます。
1.老後の対策をやり過ぎないことが肝心
老後の対策を解説するまえに、不安だからといって「やり過ぎない」ように注意してください。
将来どういう生活をしているかわからないわけですから、過度にやり過ぎても無駄に費用が高くなるだけです。
それに、老後の対策すればするほど、逆に普通の生活が不便になってしまうこともあり、本末転倒になってしまう。
やり過ぎないためにも、2階リビングの老後の対策を考える上での心構えを2つ紹介しますね。
1-1.階段の上り下りは想像以上に健康にいい
「2階リビングで1番に不安な点はどこですか?」と聞くと、ほとんどの人が階段の上り下りが多くなるところ、と答えるのではないでしょうか?
発想の転換ではないですが、階段の上り下りが健康にいい、と考えることもできます。
でも、気休め程度でしょ? と思う人も多いはず。
実はこんな研究結果があるそうです。
健康について、もう1つ面白いデータを紹介しておこう。
アメリカのスタンフォード大学の研究によると、「階段を一段上ると、4秒寿命が延びる」そうである。だから20段ぐらいの階段を自分の足でトントントンと上れば、80秒も寿命が延びるわけだ。だから毎朝の通勤時、駅のホームへの上り下りでも、エスカレーターやエレベーターに頼らず、階段を駆け足で上り下りすれば、それだけ寿命が伸びることになる。
階段の1段が「寿命の4秒」と言われるほど健康に良いらしい。
これは侮れない研究結果ですよね。
その他にも、階段の上り下りによって、心肺機能が向上したり、ダイエット効果があるなど、さまざまな研究結果が発表されているようです。
もちろん、戸建ての12~14段と少ない階段だと効果は薄いかもしれません。
しかし、歳をとってだんだん体を動かしたくなくなったとき、ケガをしたとき、絶対に階段の上り下りをしないといけない環境であれば、何とか体を動かそうとするはず。
私たちが想像する以上に健康にいいのではないでしょうか。
1-2.介護に関しては臨機応変に対応
みなさんが「老後」とワンセットで考えるのは「介護」ではないでしょうか。
2階リビングの間取りに限らず、新築ではある程度の「バリアフリー」は取り込むべきだと思います。
でも、最近の建築会社がつくる家は、段差がないバリアフリー構造になっているのが基本。
反対に介護のことを気にしすぎて、いろんなことを間取りに盛り込んでしまうと、無駄な費用になってしまうだけでなく、普通の生活に支障がでてしまう可能性があります。
インターネット上で、実際に介護をしている方の意見があったので、一部を抜粋して紹介します。
私自身が読んだときに、すごく考えさせられたし、とても言葉に説得力を感じました。
以上のように、介護には様々なパターンがあるのと、基本的には自分でできることは自分でさせた方が良いです。
ですので、できるだけ普通の暮らしができるように考えることが重要です。介護状態になった時に、その状況に応じて工夫できる造りであることと、要介護者が老齢の場合は死んだ後のことも考えなければなりません。
介護はセンチメンタルではできませんので、ロジカルに考えなければいけないこともあります。ご自分の老後の状況は誰にもわかりません。
車椅子の生活に適した家を造っても、車椅子を押してくれる人が同居してくれるかどうかわかりませんし、自宅ではどうにもならずに施設に入ることになるかもしれません。
上記の文章の前後にも、すごくためになることが書いてあるので、ぜひサイトをご覧ください。
このサイトの意見を読むと、次のことが分かります。
- 将来、建てた戸建てで誰かに介護をうけることになるのか、ということは分からない。
- 将来、介護が必要なとき、どんな環境・設備が必要なのか、ということは分からない。
- どんな状況でも対応できるようにリフォームしやすい環境にしておくとよい。
- 介護に必要な環境・設備は、健康な人には邪魔になる。
パッとみれば、当たり前のこと、ですけど、新築で介護を考えるとき、すごく大切なことだと思います。
新築において、老後・介護については、過度な対策をしないように、適切なポイントを押さえていきましょう。
2.老後に向けてリフォームできるようにしておくべき4つのポイント
本章では2階リビングの間取りにおいて、老後に向けた対策、とくにリフォームできるようにしておくべきポイントを解説していきます。
2-1.2階リビングなら、リフォームに向いている「木造軸組工法」で家を建てる
最近の日本の住宅は、いろんな骨組みで作られています。
少しメジャーどころを紹介しますね。
- 軽量鉄骨
- 重量鉄骨
- RC(鉄筋コンクリート)
- 木造2×4(ツーバーフォー)
- 木造軸組工法
建築会社によっては、1つの工法ではなく、2つの工法を組み合わせている場合もあります。
それぞれの工法は長所・短所がそれぞれあるので、どれがオススメというわけではありませんが、比較的「木造軸組工法」という、昔ながらの日本家屋の工法がリフォームに向いています。
木造軸組工法の住宅は、木材の「柱」や「梁(はり)」で構成されているので、間取りの変更がしやすい。
「変更がしやすい」ということは、安価にリフォームが可能で、かつ間取りに融通がきく、ということですね。
最近の住宅はどんどん進化しているので、他の工法でも昔に比べて間取りの融通がきくと思いますが、木造軸組工法に比べてややリフォームの金額が高くなります。
つまり、2階リビングだと老後に不安だなぁ、と思う人は、なるべくリフォームできるように「木造軸組工法」の建築会社を選ぶと良いでしょう。
fa-arrow-circle-right木造の工法についてまとめたページもあります。
2-2.1階に生活拠点を移せるように「耐力壁」を計算する
「2階リビングのしたいけど、老後がすごく不安・・・」という方に向いた対策です。
2階リビングで家を建てた後に「我慢できないほど後悔してしまったらどうしよう」、というときのために、リビングを1階に設置しなおすような大型リフォームができるようにする対応。
その基本となるのが「耐力壁」です。
簡単に言えば、建物を支える「壁・柱」のことを指します。特に横からの力に耐えることのできるような壁。
国が定めた一定以上の耐震性能(耐震等級)を得るために、設計士が必要な耐力壁の数や場所を計算して間取りを作っていきます。
つまり、リフォームのときに、この耐力壁をことなる場所に移動するのは難しくなります。
状況によってはできる場合もありますが、もう1度、耐力壁の計算をし直したり、補強工事が必要になってくるため、高額になるのは間違いありません。
ですので、2階リビングの間取りを作る上で、設計士に相談して、将来1階にリビングが移設できるように耐力壁を計算してもらいましょう。
将来リフォームで壊す可能性のある壁を「耐力壁」とせずに構造計算を行って申請をしておけば問題がなくなる、ということです。
fa-arrow-circle-right耐震に関して詳しくまとめているページもあります。
2-3.1階の部屋を大きくしたり、EVをつけられるように納戸を作っておく
上記2-2章で解説した部分への付け足しになります。
2階リビングの老後対策として、1階にリビングができるようにするためには、耐力壁の計算はもちろん必要なのですが、もう1つ重要なポイントがあります。
それは「1階に応用がきく部屋」を作っておく、ということです。
物置として使える形で「納戸」が良いでしょう。
たとえば納戸の隣に寝室を設置しておき、将来のリフォームで壁を壊せば広くできるようにしておけます。
また、納戸をリフォームしてエレベータを設置できるように計算しておくのも手ですね。
エレベータを設置するためには基礎補強なども必要になるので、コストは発生します。
2-4.手すりが設置できるように下地補強してもらう
老後・介護に向けて、なるべく「手すり」をつけておきたい、と考える人も多いはず。
ですが、健康な人にとっては邪魔になってしまうのが「手すり」。
新築の時は「手すり」は安価に設置できるので、ここもここも、とやってしまいがちですが、設置しそうな場所に「下地補強」さえしておけば、自分で手すりを設置するのも簡単になります。
特に次の場所を下地補強してもらうとよいでしょう。
- 1階の玄関まわり
- トイレ
- 洗面・脱衣所
- 廊下
- 寝室
※階段は設置義務があるので、最初から手すりがついています。
ユニットバスは下地補強ができないので、必要と感じる場合は最初からつけておくと良いかもしれません。
3.2階リビングの間取りで、老後に向けて対応しておくべきこと5点
2階リビングの老後対策は、リフォームしやすくするだけでなく、最初から間取りの中で対応しておくべきこともあります。
主だったものを5つ紹介していきますが、どれも老後対策だけでなく、単純に2階リビングのデメリットを補い、不便をなくす役割がありますので、ぜひご覧ください。
3-1.階段はやや緩やかにして、踊り場を作るのが基本
2階リビングの間取りにおいて、階段の対策はマストですね。
老後の対策の中では1番重要だと思います。
タイトルの通り、階段はやや緩やかにして、必ず踊り場を作りましょう。
2階リビングの場合は階段の上り下りの頻度が少し高くなりますので、「上りやすさ(下りやすさ)」を重視しましょう。
また、転落してしまったときに、被害が少なくて済むように踊り場もあった方が良いでしょう。
直線の階段だと、足を滑らせたときに1番下まで落ちてしまい、大けがにつながりやすくなってしまいます。
では、どれくらい緩やかにすべきなのでしょうか。
建築基準法では、次のように定められています。
・階段の有効な幅:75㎝以上
・踏み面:15㎝以上
・蹴上げ:23㎝以下
ぎりぎりのサイズではかなり上り下りがきつい階段になってしまいます。
平均的には【蹴上げ:19~21㎝】【踏み面:22~24㎝】ぐらいですので、それ以上あればゆとりがあるでしょう。
※あまり緩やかにしすぎると、間取りに支障がでるのはもちろん、逆に上り下りしにくい階段になるので注意しましょう。
階段の幅がせまいと、大きい荷物の2階への搬入・搬出ができなくなり、クレーンを呼ぶための費用がかかってしまいます。
3-2.寝室の近くにトイレを設置しておくのが間取りの基本
2階リビングの間取りに限らない話ですが、寝室の近くにトイレを配置しておきましょう。
やはり年齢をかさねれば、夜中トイレに行くのは大きな負担になっていくはず。
寝室の近くにトイレがあれば、もしも家族の誰かが介護が必要になったときにも若干の手助けになると思います。
この部分は「間取りのセオリー」なので、設計士やあるていど経験を積んだ営業マンであれば、何も言わなくても寝室とトイレは近い間取りを提案してくれるはずです。
わざわざ間取りのヒアリングのときに要望として言う必要はありませんが、間取りに確認のときには意識しておきましょう。
3-3.2階にサービスバルコニーを作っておこう
これも、老後の対策に限った話ではなく、2階リビングであれば「サービスバルコニー」を作っておくのが良いと思います。
一般的なバルコニーとは異なり、2~3帖ほどの小さいサイズのバルコニーを指します。
ゴミを一時的に出しておけたり、エアコンの室外機をおいたり、ちょっとした植物を育てたりなど、機能性を重視したとても便利なバルコニーです。
キッチンが1階にある場合、勝手口があるので外にアクセスしやすく、ゴミを出したり、買い出しの食料品を勝手口から中に入れたりと、とても便利ですよね。
ですが、2階リビング+キッチンの場合はそうはいきません。
ここにサービスバルコニーがあれば、一時的にゴミを出しておける、というだけでもかなり重宝することになるはず。
2階リビングにはサービスバルコニーが必須と考えておきましょう。
3-4.玄関は2階から施錠・解除できるようにしておく(推奨:スマートホーム化)
2階リビングの場合、親族・友人が家にきたときなど、いちいち1階まで下りるのはめんどうな時があります。
そんな時にスイッチ1つで玄関の鍵が施錠・解除できたら便利ですよね。
新築の場合は安価で施錠・解除できるスイッチを設置できますので、2階リビングの場合はオススメです。
また、アナログのスイッチでも問題ないのですが、スマートホーム化した形にしておくとさらに便利になります。
スマートスピーカーで操作できれば、何か作業中で両手がふさがっていても対応が可能ですし、2階にいるときに1階のカギを閉め忘れていないかもスマートフォンで確認ができます。
スマートホーム化しておけば、老後・介護における「見守りサービス」の導入も簡単になりますので、ぜひ検討してみてください。
fa-arrow-circle-right実は誰でも簡単にスマートホーム化できるので、ぜひ下記ページを参考にして下さい。
3-5.2階リビングの場合、1階にも洗面台はマスト
2階リビングの老後対策として、2階だけでなく、1階にも洗面台(小型でOK)を設置しておきましょう。
手洗いだけなら、トイレの中に小型の手洗い器を設置するだけでよいでしょうが、介護のことを考えると洗面台があった方がよいと思います。
それに、1階の掃除をする際、水回りが近くにあった方が老後を考えると楽ですし、給水・排水設備が1階にあれば、将来の水回りのリフォームもしやすくなるメリットもあります。
2階リビングの場合は、1階にも洗面台はマストと考えておきましょう。
4.まとめ
2階リビングにおける老後対策、参考になりましたか?
2階リビングだからといって、老後・介護に過度に不安になる必要はありません。
不安から大きなコストをかけてしまう方も中にはいますが、間取りに融通が利くように、ポイントを押さえていけば、いろんなケースに対応できるはずです。
本記事に書いてあることを参考にして頂き、設計士を十分に話し合いを重ねて間取りを考えて頂ければ幸いです。
最後までご愛読頂きましてありがとうございます。