【2階リビング】メリット8選・デメリット8選と対策方法

「戸建で、リビング・ダイニング・キッチンを2階に持ってくる間取りがあるけど、不便じゃないの?」

「2階リビングにするべきか悩んでいるんだけど、メリットやデメリットが知りたい!」

家疑問くん

 

そんな疑問にお答えします。

 

土地の状況によっては2階リビングを検討する場合がありますよね。

ただ、2階リビングは「不便」、「デメリットが多い」という話もよく聞くので、2階リビングにしない方がいいんじゃないか、と悩む人も多いのではないしょうか?

結論から言えば、確かに2階リビングにはデメリットがありますが、メリットも多数ありますので、検討するに値する間取りです。

本記事では2階リビングにすべきか判断できるようにメリットとデメリットを解説していきます。

本記事の内容
  • 2階リビングのメリット
  • 2階リビングのデメリットと対策方法

 

1.LDKを1階、それとも2階にすべきかが最初の選択肢

家の間取りを考えていく上で、最初に考えるべきはリビングです。

その中でリビングを1階に配置するのか、2階に配置するのか、が最初の選択肢です。

リビングの間取りについてまとめたページもあります。

説明する必要も無いと思いますが、もちろん、リビングを1階か2階にするかで、間取り全体が大きく変わります。

また生活も大きく異なってきますので、どちらにすべきか熟慮する必要があります。

2階リビングをイメージだけで嫌だと思う方がいらっしゃいますが、有効なメリットも多く、土地によっては十分に検討するべきものだと思います。

 

2. 2階リビングのメリット8選

LDK

2階リビングにした場合のメリットを8種類、解説していきます。

2-1.広いリビング(LDK)の間取りにできる

2階リビングの最大のメリットと言えるのが、「リビングを広くしやすい」ことです。

1階には玄関が必要です。

玄関は、靴を置く土間やかまちを上がったフロアも含めると、1.5~2坪以上のスペースが必要になります。

2階に玄関は不要ですので、2階LDKは1階と比較すると3~4帖分大きくできることになります。

 補足
逆、1階に玄関がある分、「寝室」・「子供部屋」は3~4帖以上小さくなってしまいますが、2階のリビングを広くできる「選択肢がある」ことがメリットと言えますね

2-8章で詳しく記載しますが、耐震性の関係で、2階は「壁・柱」が少なくても問題ないので、より広いリビングを確保できます。

 

2-2.リビングを明るくできるので狭い土地に有効

2階リビングのメリットの中で、1階よりも「採光が取れる」というのは、次に大きいメリットと言えます。

画像のように南側にバルコニーを設けて、高さが天井まである掃き出し窓と組み合わせれば、朝から夕方まで明るいリビングが手に入るはず。


採光が取りやすい2階リビングは都市部など「狭い土地」に有効です。

  • 隣地との距離が短い土地
  • 周辺に高い高い建物がある

    など、日光が当たりにくい土地はオススメです。

    1階に比べて、リビングに入る日光はかなり多くなります。

    冬の時期や朝日は1階リビングだと入りづらいですが、2階は気持ち良いくらい入ると思います。

     

    2-3.プライバシーを守りやすいリビングになる

    1階のリビングだと、庭を挟んだとしても、どうしても近隣や道路から見えやすくなってしまいます。

    リビングの窓・サッシはなるべく大きくしたいから、なおさらですよね。

    せっかくリビングに日光を入れたくても、周りからの視線が気になるとカーテンも開けづらくなるはず。

    特に南道路の土地は、ブロック塀や目隠しフェンスがないと、外から中が見えやすい環境になるため、外構費用も高くなってしまう傾向にあります。

    外構計画は間取りと一緒に進めていきましょう。

    反面、2階リビングの場合は近隣や道路など、外からは見えにくくなるので、プライベート空間を保ちやすいメリットがあります。

    リビングのカーテンを開けっ放しにしたい! 周りの目線を気にしない生活がしたい! という方に2階リビングは向いていると思います。

     

    2-4. 2階のリビングからバルコニー、屋根裏、屋上にアクセスしやすくなる

    2階リビングはバルコニーにアクセスしやすい間取りになります。

    画像のように3帖以上の大きさのバルコニーを作れば、リビングとバルコニーで一体感がある間取りになり、外で食事やお茶を楽しむことも簡単でしょう(片付けも楽)。


    最近は、低価格・高品質の屋根裏や、屋上庭園もありますので、1階リビングの時に比べて使いやすさがぐっと上がるのは間違いなし。

    例えば屋根裏をホームシアタールームにしたり、屋上でガーデニングをするなど、頻繁にアクセスする場合は、2階リビングがオススメです。

     

    2階リビングは家事動線から見ても便利になる一面があります(水回りを2階にした場合に限ります)。

    特に洗濯物を外に干す場合に洗濯機から同じ階のバルコニーにそのまま干しに行けるからです。

    また、2階は玄関が無い分、間取り上、各所に収納スペースを確保しやすいメリットもありますので、家事には向いていると言えます。

     補足
    1階の寝室の布団を2階のバルコニーに干すのが大変になるので、1階に布団を干すスペースだけ作っておきましょう。

     

    2-5.2階リビングからの眺望が良くなる

    リビングイメージ1階に比べて、2階リビングの方が窓から見える景色がとても良くなります。

    1階に比べて見る視点が3mほど上がるので、見える景色は大きく変わってきます。


    高低差があり、最初から見晴らしが良い土地の場合は、3m視点が変わるだけで窓からの障害物が減るので、2階リビングは最適だと思います。

    見晴らしが良い土地なら、ぜひ、テラスや屋上と組み合わせることも検討するといいのではないでしょうか。

     

    2-6. 2階リビングは、「介護」に向いている

    2階リビングは高齢になると階段の上り下りが大変になると言われています。

    そのためか「介護」が大変になるイメージを持たれることがあります。

    ですが、実際にはそんなことはありません。

    2階にリビングを配置すると、1階に寝室を配置するのが一般的な間取りになります。

    1階に寝室があれば、介護者を運び入れるのに便利ですよね。

     補足
    1階リビングでは、家族の誰かが介護が必要になったとき、リフォームするケースが多いですが、2階リビングの場合はリフォームが不要な可能性が高くなると言えます。

     

    2-7.家の耐震性を高くしやすい

    2階リビングは、戸建ての耐震性を高くできる可能性があります。

    それは次のような理由です。

    2階・3階の戸建て住宅の「耐震性」をアップするために重要なポイントは【1階の壁や柱を多くする】こと。

    間取の中でリビングはもっとも広い空間ですし、また、多くの人が広いリビングを希望します。

    ですので、1階にリビングがあれば壁が柱が少なくなるのは当然。

    逆にリビングが2階にあれば、1階は寝室や子供部屋などの部屋が多いので、自然と壁や柱が多くなります。

    2階リビングの方が耐震性を高くしやすいと言えるわけです。

     補足
    家づくりでは耐震等級を取得するため、構造計算を行って「壁や「柱」の量を調整しますので、リビングが1階でも2階でも安全な耐震性能は保たれます。ただ、2-1章で紹介した通り、2階リビングの方が壁・柱が少ない広い空間にしやすくなります。

    耐震については下記ページにまとめています。

     

    2-8.リビングの天井が高くできる

    画像のように、2階リビングは天井部分を勾配にすることができますので、比較的安価に天井を高くできるメリットもあります。

    横にも縦にもLDKを広くすることができるわけです。

    屋根の勾配や形をうまく調整すれば、勾配天井でなくとも、2階の天井高をあげることも可能になります(建築会社によります)。

    勾配天井にして、高い位置に窓・サッシを設置することでさらに明るいリビングにするなど、いろんな工夫ができるようになるのも2階リビングの強みと思います。

     注意
    勾配天井を広く作れば、屋根裏や屋上を計画する場合はそちらが狭くなります

     

    3. 2階リビングのデメリット8選と「対策方法」

    2階リビングデメリット

    続いて、2階リビングにした場合のデメリット8種類と、それぞれの対策方法を解説していきます。

     3-1.2階リビングは1階に比べ、夏は暑くなり易い

    2階はリビングに日が入りやすい上、直接日光が当たる天井に近いため、室温が高くなりやすいデメリットがあります。

    戸建ての断熱性能によって異なりますが、真夏の時期だと1階と2階で3~4度ほど温度差が出てしまう

    リビングに家族が集まるため、光熱費も上がってしまうのもデメリットと言えますね。

    ■対策

    根本的な対策としては、まず、【天井の「遮熱(しゃねつ)」や家全体の「断熱」性能が高い家】にすることです。
    そのために、遮熱・断熱性能がもともと高い建築会社を選ぶか、オプションなどで性能を高くするのが良いでしょう。

    しかし、初期費用が大きくなる可能性もありますので、その他の対策を2つ紹介します。

    • 2階リビングを広げ過ぎない
      断熱・遮熱が高くない住宅のときは、リビングを横にも縦にも両方ひろげると、光熱費がかなり膨らむので注意しましょう。
    • シーリングファンを設置する
      2階リビングの場合は、冷暖房効率をよくすることが大事ですので、設置することを推奨します。特に天井を高くしているときは必ず設置しましょう。

     

    家の断熱・遮熱の性能と見比べながら、リビングの広さを調整していきましょう。

     

    3-2.2階に水廻りを配置することで「工事費」が上がってしまう

    2階リビングの場合、「キッチン」「ユニットバス」「洗面化粧台」などの水回りは2階に配置する間取りが多くなります。

    1階と2階のバランスを考えると、1階に水回りを配置した場合、2階のリビングが広くなり過ぎて、1階の寝室や子供部屋が小さくなり過ぎるからです。

     補足
    「水回りを必ず2階にするべき」ということはありません。一般的に、水回りをリビングと同じ階にした方が家事動線が楽になるという考え方から水回りは2階に配置されることが多いですが、生活スタイルは人それぞれ、設計士と相談しながら自由な発想で間取りを決めていきましょう

    水回りを2階に配置した場合に限ったデメリットですが、タイトルの通り「工事費」が上昇してしまいます。

    給排水の配管を長くすることで発生する工事費です。

    追加料金は、各建築会社の施工スタイル、設備などによって異なりますが、おおよそ10~20万円ほどになるでしょう。

     

    なお、水回りを2階にした場合、もう1つデメリットがあります。

    水回りの、特に浴室などの排水音が1階に聞こえやすくなる、ということです。

    寝室や子供部屋の真上に浴室を持ってくると、かなりのボリュームで排水音が聞こえてしまいますので、これは間取りの設計で絶対に回避しましょう。

    3-3.階段の上り下りが多くなり、荷物の移動が大変になる

    リビング収納

    2階リビングで最大のデメリットと思われる部分。

    階段の上り下りが多くなることです。

    特に買い物をした荷物は、「玄関」⇒「階段」⇒「2階」と運ばなくてはいけないので、1階リビングと比べれば大変に感じるはず。

    それに、2階のゴミも階段を使って運ぶ必要がありますし、来客対応もいちいち1階までに言って荷物を受け取ったりしなくてはいけなくなります。

    高齢になった時のことを考えると、不安になりますね。

    ■対策

    可能であれば、老後のために階段の幅を広くとったり、傾斜を緩やかにするのが理想的です。

    ただ、この階段の上り下りに関しては、考え方・捉え方だと思います。

    たとえば、「老後に向けて足腰を鍛える」と考えることもできますよね。
    マンションと比較すれば、駐車場が近い分、マンションよりもずいぶん楽に感じるかもしれませんし。

    2階リビングのメリットを照らし合わせながら検討してみましょう。

    チェックちなみに、引っ越しの荷物の搬入も視野に入れると、やはり階段の幅を広くしておくのは強く推奨します。

    2階リビングにする場合の老後対策をまとめたページもあります。

     

    3-4.子供とのコミュニケーションが希薄になる可能性がある

    2階リビングでは、子供部屋が1階に配置される間取りが多くなります。

    そうすると、子供が帰宅した後、直接自分の部屋にこもってしまい、コミュニケーションが希薄になる可能性があります。

    これは1階リビングの場合で「リビング階段」ではない間取りと同じデメリットです。

    リビング階段については下記ページにまとめています。

    ■対策

    1つの対策として、子供部屋を極端に小さくして(収納をのぞき約4帖)、部屋はベッドと収納スペースのみにする方法です。

    近年少しずつ流行ってきている間取りなのですが、テレビや勉強机などは子供部屋の中には置かず、リビングや他の共有スペースのみに置きます。
    そうすれば、子供はおのずと自室から外へ出る時間が多くなるわけです。

     注意
    この方法は、子供が中学受験や高校受験のときに、「自室で集中したい」というタイプだった場合には不向きとなりますので注意して下さい。

    ただ、コミュニケーションに関しては3-3章の「階段の荷物の移動」と同じで、考え方次第だと思います。

    2階リビングの間取りは、食事をする(キッチン)、お風呂に入る(水回り)は2階になりますので、両親が飲み物や食べ物を子供部屋に運ばない限り、子供が2階に上がってこないことなどありえません。

    結局コミュニケーションが希薄になるかどうかは、家族の意識しだい、ですよね。

     

    3-5. 2階リビングは「子育て」に不向き

    2階リビングは「子育て」には不向きです。

    特に子供が小さいうちは、荷物の搬入と同じで、子供を背負っての階段の上り下りが多くなるため、少し大変になります。

    階段の上り下りができるようになるまでの数年間は我慢が必要ですね。

    ■対策

    この部分に関して、間取り上の具体的な対策というのは難しい。老後のために階段の傾斜を緩やかにしたり幅を広くしたりすれば、階段の上り下りの負担を少しは軽くできるでしょうが、気休め程度です。

    ただ、2階リビングは「子育てする環境に適している」という説もあります。

    2-3章で紹介した「プライバシーが守れる」というメリット、2-2章「採光が取れる」というメリットが、子供の環境にはプラスになるという考え方。

    そう考えれば、負担も軽くなるかもしれませんね。

     

    3-6.寝室や子供部屋の防犯が心配になる

    2階リビングの場合、寝室や子供部屋は1階になるケースがほとんどです。

    寝室や子供部屋のすぐ外が道路や隣地ということで防犯上不安になることがあるようです。

    また、不審者が1階に侵入しても2階にいると気づきにくい、というデメリットもあります。

    ■対策

    防犯に関しては、いくつか対策方法があるので、リストにまとめます。

    • ホームセキュリティシステムを導入する(費用負担が大きい)
    • 1階の窓は、「鍵がないFIX窓」「人が入れないサイズの小窓」をなるべく採用する
    • 「外構」で人感センサーライトを複数設置しておく
    • 1階に防犯ブザーや、防犯カメラを設置しておく
    • 外に、「犬に注意」「防犯カメラ作動中」などの告知をしておく

    2階リビングだけでなく、戸建ての場合はぜひ防犯上の対策はしておきましょう。

     

    3-7.1階の部屋や廊下が暗くなりやすい

    2階リビング(LDK)が明るくなる分、逆に1階が暗くなってしまうデメリットがあります。

    1階の廊下や部屋が多くなる、ということは、必然と壁が柱も多くなる。おのずと窓が少なく・小さくなるため、1階は暗くなりがちです。

    1階は寝るだけのスペース、という割り切りも必要になってきますね。

    ■対策

    少しでも1階全体を明るくする間取りの工夫は、各建築会社の設計士としっかりと相談して下さい。

    ここでは、それ以外の対策方法を解説します。

    • フローリング、クロス(壁紙)を明るい色にする
    • 家具やカーテンなど明るい色のインテリアを選ぶ
    • 1階の明るい部屋と廊下の間に室内窓を設ける

    以前わたしが対応したお客様(2階リビング希望の方)で、内装を上下階でくっきりと分けていました。
    1階は白を基調、2階はダークブラウンを基調としていて、1階がしっかりと明るく仕上がっていた上に、それぞれの階でデザインテーマが定まっていたので、とてもおしゃれだったんです。

    インテリアだけ明るくするだけで、大きく明るさが変わるので、ぜひ試してみて下さい。

     

    3-8.庭がない(遠い)生活になりやすい

    最後のデメリットですが、2階リビングは、外に庭を作ったとしても距離があるため、庭がない生活になってしまう傾向にあります。

    土や植物と離れた生活になるので、人によっては「せっかくの戸建てなのに」と思うかもしれませんね。

    ■対策

    2階リビングの場合は、やはり2階テラスか屋上を作っておくのが良いでしょう。

    2-4章で解説していますが、リビングからテラス(バルコニー)や屋上にアクセスしやすいメリットがあるわけですから、庭がないデメリットを補うためにも活用すべきだと思います。

    3~4帖ほどのスペースがあれば、ガーデニングはもちろん、バーベキューも楽しむことができますよ。

     

    4.まとめ

    2階リビングのメリット・デメリットはお分かりになりましたか?

    1階・2階のどちらにリビングを持ってくるかは、まさに一長一短です。

    イメージだけで敬遠せずに、土地の状況に合わせて検討してみるのが良いでしょう。

    また、ご家族で描く生活スタイルにしっかり合わせていく上で、メリット・デメリットをしっかりと加味して優先順位を決めていきましょう。

     

    最後までご愛読頂きまして有難うございました。