「新築の引き渡し当日やその前後の流れが知りたい」
「引き渡しの時にはお礼・プレゼントをした方が良いの? するなら金額帯も含めてどんなものが良いの?」
そんな疑問にお答えします。
注文住宅や建売住宅の「引き渡し」というのは、建物(建売の場合は土地も含む)の所有権が建築会社から施主(買い主)に移る日です。
施主の皆さんにとっては記念すべき日ですし、気持ちがウキウキしますよね。
しかし、所有権が移る日だからこそ気を引き締めつつ、重要なポイントを押さえて臨む必要があります。
本記事ではそんな新築の引き渡しにおける事前準備、当日の注意点を解説していきます。
- 引き渡し日までにやっておくべき事前準備
- 引き渡し当日の流れ
- 引き渡し当日に押さえるべきポイントや注意点
- 営業マンや現場監督へのお礼・プレゼントはすべきか
fa-arrow-circle-right引き渡し後にやるべきことをまとめたページもあります。
1.引き渡し日までやっておくべき事前準備
注文住宅・建売住宅の引き渡しをスムーズに行えるようにするためには、少しの事前準備が必要です。
少しの手間でできることですので、あとあと「聞いてなかった」、「言っておけば良かった」、ということが無いように準備しておきましょう。
1-1.引き渡し当日に営業マン・現場監督が来るかを確認しておこう
多くのハウスメーカー・工務店では、引き渡しに担当した営業マンや現場監督の両名が来ます(注文住宅の場合)。
しかし、スケジュールの都合や建築会社によっては現場監督しか来ない、という場合があるかもしれません。
間取りなど打ち合わせに参加していた営業マンがいないと困ることがあります。
何かしらの問題があった場合に状況がすぐに掴めなかったり、どこに責任があるのか分からず、「言った・言っていない」の水掛け論に発展してしまう事もあるでしょう。
必ず打ち合わせに参加していた営業マンにも来てもらえるように確認しておきましょう。
1-2.念のため、過去の打ち合わせ資料を確認しておこう
引き渡し日までに過去打ち合わせた時の資料の全てに目を通しておきましょう。
特に「打ち合わせ記録書」は最低でも確認しておくと良いでしょう。
打ち合わせ記録書を見れば、営業マン・設計士・コーディネーター・現場監督と約束していた内容(未解決)や返答をもらっていない質問などが残ったままになっていないかが分かるはず。
引き渡し後にもめることがないようリストにまとめておきましょう。
1-3.当日、両親など家族が来れるようにスケジュールを調整しよう
引き渡し日はなるべく両親など、親族を呼んでおくと良いでしょう。
その理由は2つあります。
- 小さな子供がいる場合、両親に面倒を見てもらえるので、引き渡し時の説明などに集中できる。
- 両親がいると、建築会社の営業マンや現場監督の説明や対応が良くなる可能性が高くなる。
特に2つ目の理由が重要で、社会経験が豊富な両親や親族がいると、営業マンや現場監督は緊張し説明など丁寧になる傾向があります。
これは私の経験に基づいたものですが、実際にご両親が同席された場合、ほとんどの現場監督がいつもよりも丁寧な対応になっていました。
もちろん私自身もどんな場合でも丁寧に、施主の方が後々困らないように対応していきましたが、やはりご両親がいらっしゃると襟を正していました。
それに、多人数の方が仕上がりなどのポイントをより細かくクロスチェックできますし、メンテナンスの方法などいろいろな角度から質問できるため、メリットが大きいでしょう。
2.引き渡し当日の流れ
引き渡しの当日の流れを解説していきます。
全体の所要時間は、建築会社や現場監督の進め方によって変動はありますが、おおよそ1~2時間で終了すると思います。
施主検査のタイミングで機材・設備の説明をする時もあり、その場合はもっと短い時間で終わります。
引き渡しでやることは主に以下の4点です。
- 施主検査における修正箇所の確認
- 機材・設備の説明
- 各設備の説明書や重要書類の受け取り
- 鍵の受け渡し
では1つずつ簡単に解説していきましょう。
2-1.施主検査における修正箇所の確認
引き渡し前、2~3週間前に行った「施主検査」で依頼したキズなどの補修が完了しているかチェックします。
施主検査では現場監督と施主の皆さんが一緒に建物内外の様々な仕上がりを確認します。
キズや不具合などがあった場合、建築会社は補修業者(リペア業者)を入れて補修を行います。
全て滞りなく補修されているか入念にチェックを入れましょう。
万が一、補修がされていなかった、補修が納得できる状態ではなかった、という場合は、引き渡し後に業者とスケジュールを調整して再度補修してもらうことができます。
fa-arrow-circle-right施主検査についてまとめたページもあります。
2-2.機材・設備の説明
続いて、現場監督から機材や設備の説明を受けます。
建物内外を周り、1つずつ説明を受けることになります。
後で説明書を読めば大丈夫、と甘く考えず、夫婦(家族)でしっかりと聞きましょう。
主だった設備は以下の通りです。
- 給湯器(エコキュート・エコジューズなど)の注意点・メンテナンス方法
- 換気設備(24時間換気、熱交換器など)のメンテナンス方法
- 調理機(IH・ビルトインコンロ)、キッチン換気扇の使い方、メンテナンス方法
- 太陽光発電システム使い方(モニター操作)
- インターホンの使い方
- 配電盤の使い方
- サッシ・網戸の開閉方法
その他、全館空調や床暖房などの設備もあれば説明してます。
特にエコキュートの注意点など、ちゃんと聞いておかないとすぐに故障して多額の修理費が発生することもありますので注意しましょう。
2-3.各設備の説明書や重要書類の受け取り
どこのハウスメーカー・工務店でも大きなファイル1~2冊ほどの説明書や重要書類を受け取ることになります。
重要書類は今後、次のような3つのケースで使うことがあります。
- 「住宅ローン控除」「こどもエコすまい支援事業(2023年)」など補助金の申請
- 今後のメンテナンス、何十年後のリフォーム・増築・建替
- 各部材や設備の保証書
しっかりと保管し、できればどこに保管してあるのか、忘れないようにしておきましょう。
2-4.鍵の受け渡し
最後に鍵の受け渡しになります。
当たり前の話ですが、工事中にも不審者が入らないように玄関は施錠されています。
工事関係者は「工事専用キー」を使って中に入るのが一般的です。
ですが、その工事専用キーが使える状態だと、セキュリティ上問題ですし、施主の方も不安になりますよね。
鍵の受け渡しの際に、施主の前で工事専用キーを半永久的に使えないように設定し、また新しく袋から出したカギを使えるように設定して施主に渡すことになります。
また最近ではカードキーが普及していますので、その設定方法などの説明も受けることになります。
最後のカギを受け取り、引き渡し証にサインしたら引き渡しは完了、所有権はあなたに移ることになります。
3.引き渡し日にやっておくべき注意点、ポイント
本章では引き渡しで失敗しないように、押さえるべき注意点やポイントを解説していきます。
3-1.記録書があるか確認しよう
フォーマットは各建築会社で異なると思いますが、引き渡しの際には現場監督か営業マンが記録書を残すのが基本です。
ハウスメーカー・工務店側もどうしても完璧ではないので、キズやクロスの膨らみなどの補修が漏れてしまうことが意外に多くあります。
その場合、引き渡し後に補修するなどの「残工事」となります。
記録書に残工事をどのように対応するのか明記してもらい、引き渡し後に言った・言わないでトラブルにならないようにしましょう。
万が一、現場監督や営業マンが記録書を残していないようでしたら、角が立ってもしっかりと記録を残してほしい旨を伝えましょう
3-2.点検日・アフターの確認
引き渡しの時には、最終確認も含めて今後の点検スケジュールを確認しておきましょう。
特に日程だけでなく事前連絡はどんな媒体で届くのか(アプリ、メール、ハガキなど)、また誰が点検にくるのかも把握しておくと良いでしょう。
例えば1ヶ月点検と半年点検では異なる部署の従業員が来ることもあります。
あとあと住宅に何かしら問題があった時のために連絡先を聞いておくと良いでしょう。
特に大手ハウスメーカーの場合はアフター専門の連絡先などがありますが、そこに連絡しても結局現場監督に回されることもありますし、内情をよく知っている監督の方が手っ取り早いこともあります。
注文住宅の場合、長く付き合ってきた住宅営業マンの方が話しやすかったり感じが良かったりすることがあるので、ついつい営業マンに連絡する方もいますが、営業マンも結局現場監督に連絡することになるので、監督に連絡するのがベストでしょう。
現場監督の公休日程も確認しておくとよりスムーズです。
3-3.気になる部分はちゃんと伝えておこう
私の経験上、言いたいことを我慢する施主の方が結構いらっしゃいます。
ですが引き渡しが完了してしまうと、後で補修してもらえなくなるケースもあるので、気になった部分は引き渡しでちゃんと言いましょう。
まれですが、現場監督によっては稀に「施主検査で言ってもらえないと対応できませんよ」とあり得ない対応をされることがあります。
そこはきっぱりと補修してもらえるように言いましょう。
もしもそれでも断るなら引き渡しを拒否しても良いでしょう(最後の手段として)。
もめる必要もないかもしれませんが、ちゃんと言うべきことは言う覚悟で臨みましょう。
4.営業マンや現場監督にお礼・プレゼントはすべき?
私の住宅営業マンの経験から、引き渡し日に営業マンや現場監督に何かしらのお礼・プレゼントをした方が良いのかを解説します。
4-1.前提として、建築会社側はお礼を受け取らない姿勢
まず前提として、建築会社の多くはお礼・プレゼントを受け取らないルールにしています。
もちろん、表立って「受け取りません」と公表しているわけではありませんが、昔の住宅業界では業者からの「賄賂」が当たり前に横行していた時代もあったので、金品のやり取りに関しては敏感になっている部分もあります。
ですので、営業マンや監督にお礼・プレゼントを渡すとしても金品は控えておきましょう。
ただ、施主の方のお礼をしたい気持ちを真っ向から否定するわけにはいきませんので、建築会社側は暗黙の了解としてお礼やプレゼントを受け取っている、というのが実情です。
4-2.プレゼント、マナーとしては不要だけど
昔は営業マンや監督、それに引っ越し業者の方などにもお金も包むのが当たり前で、それがマナーという時代もありました。
しかし、そのマナーも現在はほとんど無くなり、引き渡しの時にお礼・プレゼントを渡す方も少しずつ減少しているようです。
他の多くのサイトや掲示板などでも「お礼・プレゼントは不要」と書いてあります。
確かに住宅営業マンの多くは住宅を販売すればインセンティブをもらいますし、プラスアルファのお礼は必要ないかもしれません。
いまや「引き渡しの時にお礼・プレゼントをするのはマナー」という考えは不要でしょう。
ただ、次のような側面もあります。
私の経験上、契約後にも真摯に対応する営業マンは7~8割以上の施主の方から、何かしらのお礼を頂いていました(注文住宅に限り)。
やはり施主の方が営業マンの対応、サービス、一生懸命さに満足してお礼をしたくなるのでしょう。
このお礼は真摯に対応する営業マンの励みになると思います。
私個人的には、契約前だけがんばる営業マンよりも、契約後にもしっかりとがんばる営業マンこそ、こういった場面で報われてほしいな、と思います。
それに、営業マンや監督も人間である以上、何かしらお礼を貰っていると記憶に残り、引き渡し後の対応が良くなる可能性も高くなるかもしれません。
つまり、営業マンや現場監督に満足しているならば「少しの感謝」と「今後も宜しく」という意味でお礼・プレゼントするはあり、と私は思います。
4-3.適切なお礼やプレゼントとは?
ではどんな物がお礼・プレゼントに適切なのでしょうか?
私も過去に何千円、何万円というクオカードをもらったこともありますが、逆に申し訳ない気持ちになるくらいですので、気持ちが伝わる程度で十分です。
安価なカタログギフトなどでも良いかもしれません。
逆にお金をかけてもらうよりも、手紙やメッセージカードは本当に嬉しいですね。
特に注文住宅の場合、営業マンや現場監督と何度も顔を合わせて関係もできていると思いますので、手紙やメッセージカードは形式ばった堅苦しいものではなく、フランクに書いて頂くのが一番良いと思います
私は施主の方の小さなお子様が書いてくれたお礼の手紙は今でもずっと保管しています。
4-4.菓子折りやお酒に「熨斗(のし)」はつける?
本来「のし」はフォーマルな贈り物で使用する場面が多いですよね。
賛否両論あるかとは思いますが、現場監督や営業マンにお礼する菓子折りなどに、「のし」は付けても付けなくてもどちらでも良いと思います。
実際に私が受け取ったお礼に、のしはほとんどついていませんでした。
営業マンや現場監督とは何度も顔を合わせて関係も多少深くなっていると思いますので、フォーマルに堅苦しくする必要はないでしょう。
引き渡し前後のかなりバタバタしているタイミングですから、お店・ショップのサービスで簡単につけられるなら良いと思いますが、時間をかけてまで「のし」をつけなくも問題ありません。
4-5.お礼の品を渡すタイミング
お礼の品を渡すタイミングは、2-4章で解説した鍵の受け渡しの後が良いでしょう。
事務手続きが多数あるので、事前に渡すと邪魔になってしまいます。
車で現地に来ている場合は、お礼の品を車に置いておき、事務手続きがすべて終わった後に渡す形がいいかもしれません。
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5.まとめ
新築引き渡しの流れや注意点はお分かりになりましたか?
最後だからこそ気持ち良く引き渡しが完了するように、適切な準備をし、注意ポイントを把握して臨みましょう。
本記事のまとめポイントは以下の通りです。
- 引き渡し前の準備として、両親を呼んだり、打ち合わせ記録書に目を通したりしましょう。
- 引き渡し当日はできればメモを取りながらしっかりと聞き、監督や営業マンに記録書を残してもらいましょう。
また、引き渡し後にトラブルがあった時の為に、監督の連絡先を確認しておきましょう。 - 引き渡し後のお礼・プレゼントは今後の付き合いも考えて、菓子折りなど用意しておくと良いでしょう。
最後までご愛読頂きまして誠に有難うございました。