「耐震・制振・免振って、色々あるけど、新築にはどれを選べばいいのか、結論が知りたい!」
「免振が一番性能いいみたいだけど、費用が高いからどうすれば良いの? 無理してでも免振がやっぱり安全なの?」
今回は費用負担と安全性のバランスを考えて、近年の耐震・制振・免振、どう選ぶべきかを解説していきます。
2018年10月にはKYBの免震・制振ダンパーのデータ改ざん問題で話題になりました。
この問題で不安になる部分もあるでしょうが、新築においては耐震・制振・免振については避けて通れない道です。
しっかりと知識を蓄えてメーカー選定に臨みましょう。
本記事の内容はこちらです。
- 耐震・制振・免振のそれぞれのメリットや費用の違い
- 費用対効果を加味すると、新築では制振か免振を導入すべきか
では早速解説していきます。
目次
1.耐震・制振・免振の違いを簡単に解説
出典:SANKEN HOUSING「耐震・制振・免震ってなに??」
最初に耐震・制振・免振の違いや特徴について簡単に解説していきます。
■耐震
文字の通り、住宅が地震に耐えるように強固に作ることを指します。
日本では耐震等級1~3級という耐震能力の評価があり、建築法では耐震等級1級以上にしなくてはいけないルールになっています。
日本では大きな地震があるたびに、耐震基準が厳しくなり、建築会社の耐震技術はどんどん向上してきました。
■免振
免振は上記画像の通り、地震で地面が揺れても、建物に揺れを伝えない技術を指します。
建物と基礎の部分に免振装置を入れて、建物が滑ることで地震が伝わらないような仕組みになっています。
耐震・制振と比較して新しい技術で、現在最も進化している技術と言えます。
■制振
建物の柱などの構造部分に制振装置を付けることで、建物全体の揺れ幅を抑制する働きがあります。
免振よりも住宅業界では普及している技術です。
「耐震」に関してはどの建築会社も当たり前のように頑丈な家を作っていて、最高等級3も取得している会社ばかりですので、選択肢には入りません。
「制振」「免振」に関しては建築会社によって採用されている技術が異なり、また、ほとんどの建築会社ではオプション追加で「制振装置」「免振装置」を導入するかを選択する形になります。
fa-arrow-circle-rightオプションや標準仕様についてご存知ない方は下記ページをご参照下さい。
つまり、本記事では、以下の3パターンのどれを選択すべきかを解説していくことになります。
- 「制振装置」「免振装置」どちらも入れる必要がない。
- 「制振装置」を導入すべき。
- 「免振装置」を導入すべき。
次に、制振と免振のメリットやデメリットを解説していきます。
1-1.「制振」のメリット・デメリット
■制振装置のメリット
- 耐震と比較して、建物の揺れ幅を抑えてくれるので、家財の保護・家具の転倒予防になる
- 免振装置を比較すると比較的安価に導入が可能
- シンプルな構造が多く、かつ耐久性に優れているので、繰り返しの使用ができる
- 免振と比較してメンテナンス・維持費が掛からない
■制振装置のデメリット
- 免振ほど揺れを抑えてくれない
- 耐震と並行して構造計算をする関係で、間取りに制約が出てくる
1-2.「免振」のメリット・デメリット
■免振装置のメリット
- 制振と比較して、地震の揺れを最も抑制できる
- 揺れを免振装置部分で吸収してしまうので、建物へのダメージがほとんどない
■免振装置のデメリット
- かなり高額になる
- 定期的なメンテナンス・保守費が必要
上記が制振・免振のメリット・デメリットです。
それぞれのイメージが湧いたと思います。
予算を度外視したら、性能が高い分、「免振」を導入すべきでしょう。
しかし、コストが非常に高いので、その費用を負担してでも「免振装置」を導入すべきでしょうか?
もう少し掘り下げて解説していきます。
2.近年は耐震性能が上がったから、家屋倒壊は心配ない?
近年ではどのハウスメーカーも工務店も、耐震に関しては最高等級3を取得しており、以前に比べると技術が格段に進歩しました。
特に地震に弱いとされていた木造住宅も、近年では色んな工法が生み出され、強固になっています。
fa-arrow-circle-right木造住宅の工法については下記ページにまとめています。
また、耐震に強い金具などもどんどん生み出され、例えば2016年の熊本地震のような直下型の地震(震度7クラス)が連続で2回発生しても、全く倒壊しないような強固な住宅ばかりになってきています。
fa-arrow-circle-right熊本地震から分かる耐震については下記ページにまとめています。
上記ページには記載しましたが、現在のハウスメーカーや工務店ならば、震度7クラスの大型地震が起きても、2階建て以下ならまず倒壊の必要は無いでしょう。
どちらかというと、「制振」や「免振」は建物内部の家具の転倒や火災を防ぐ意味合いの方が強いかもしれません。
3.制振・免振の費用相場
続いて、制振・免振の費用に関して解説していきます。
まず、初期投資に関してです。
■「制振」の初期投資費用の相場
2階建て30~35坪の場合: 30~80万円前後が相場です。
各種建築会社や、導入する制振装置のメーカーなどによって金額が前後しますが、おおよそ上記金額内に収まります。
※オプション追加の料金です。メーカーの住宅商品によっては標準仕様の場合もあります。
■「免振」の初期投資費用の相場
2階建て30~35坪の場合: 250~350万円前後が相場です。
各種建築会社や、導入する免振装置のメーカーなどによって金額が前後しますが、おおよそ上記金額内に収まります。
※オプション追加の料金です。
免振装置は制振と比較すると、何倍も初期投資が掛かります。
ただ、特に免振装置は初期投資だけの費用負担ではありません。
3-1.免振システムを扱っているハウスメーカーは坪単価が高い
免振装置を扱っているハウスメーカーは、坪単価が高いメーカーが多いです。
fa-arrow-circle-right坪単価に関しては下記ページにまとめています。
一部、免振装置を扱っているハウスメーカーの一覧をリスト化します。
- 積水ハウス
- 積水ハイム
- ダイワハウス
- 住友林業
- ヘーベルハウス
- 東日本ハウス
- 三洋ホームズ
- クレバリーホーム
- 一条工務店
一部木造メーカーもありますが、鉄骨メーカーが多いですね。
また坪単価が70万円を超えるメーカーが多く、免振装置の導入を希望する場合、建物のトータル金額は大幅にアップしてしまう可能性が高くなります。
3-2.免振装置はメンテナンス・保守費用も掛かる
免振装置は5年・10年と保守・メンテナンスが必要なケースがあります。
免振装置自体は何十年と耐久性が高いので、寿命の心配は要りません。
しかし、実際に地震が起きた時に正常に動作しなければ全く意味がありませんので、定期的なメンテナンスが必要となります。
家庭用免振装置の歴史はまだ浅いので、メンテナンス費用の金額はあまり公開されておらず、具体的な金額はお伝えできません。
ですが、多額の初期投資に加え、定期的なメンテナンス費用が発生してしまうのが免振装置です。
3-3.制振装置はメンテナンス・保守費用が掛からない
逆に、制振装置は金属のみの単純構造になっていることが多く、60年以上の耐久性があり、保守が不要、メンテナンスフリーなケースがほとんどです。
つまり初期投資も比較的安価に導入が可能な上、費用は初期投資のみ、となるのが制振装置の大きなメリットと言えます。
4.費用対効果を考えば、「制振」がベスト
本章まで読み進めて頂ければ、2018~2019年に、「制振装置」か「免振装置」どちらを導入すれば良いのか、結論はお分かりになると思います。
費用と効果のバランスを考えれば、結論は次の通りです。
もちろん、免振装置は地震の揺れ幅を減少させる能力が最も高いので、資金が潤沢ならば導入しても良いでしょう。
しかし、現代の住宅は鉄骨であろうが木造であろうが、耐震性能は高くなっています。
fa-arrow-circle-right木造・鉄骨住宅のメリットとデメリットをまとめたページもあります。
地震による家屋倒壊の心配が必要ないとなると、免振ほどの性能は必要ないでしょう。
また、制振装置を導入すれば、地震の揺れは60~80%と半分以上を抑制することが可能です。
50万前後の投資のみで、「安心」や「家具転倒防止」「火災防止」などがしっかりと防げるわけですから、制振装置こそ導入すべきです。
制振装置を必ず導入する必要はありません。しっかりと家具転倒防止をすれば、耐震のみでも大丈夫です
下記サイトで、制振や免振対応しているハウスメーカーの住宅カタログを「一括」で取り寄せることが出来きます。
ぜひ利用してみて下さい。
不動産で有名だと思いますがHOME'Sで住宅カタログを徹底比較<無料>というサービスです。
インターネットで地域と条件を入力するだけで、各建築会社のカタログを一括で請求できます。
入力時間は3分も掛からないと思います。
LIFULL HOME'S 注文住宅のページにある下記画像の「耐震・免振・制振住宅」をクリックして、移動したページで建築予定地を入力するだけです。
選んだエリアの耐震・免振・制振に力を入れている建築会社の一覧が出てきますので、資料が不要な建築会社のチェックを外して「一括請求(無料)」ボタンを押すだけです。
それに、HOME'Sで住宅カタログを徹底比較<無料>をご紹介するのは、多数のメリットがあるからです。
- 無料で簡単に複数社の住宅カタログを一括請求ができる
- 各メーカーのおおよその価格が分かる
- ネットで3分入力するだけで完了する
- 実績のある安心・安全の優良住宅メーカーが豊富
- 月々支払額・世帯人数・建築予定地をいれると条件にあった住宅メーカーが見つかる
- 無料で「はじめての家づくりブック」をプレゼントしてもらえる
- 予算や人気のテーマや住宅メーカーなど複数の軸から探せる
情報収集は早いに越したことはありませんので、ぜひ利用してみて下さい。
4-1.将来、免振の価格やメンテナンス費用の価格が落ちれば検討すべき
2018年現在では、制振装置を導入すべきだと思いますが、2020年以降、もしも免振装置の価格やメンテナンス費用の価格が落ちてくれば、その時は十分に検討すべきだと思います。
また免振装置の歴史は浅いので金額は高いですが、現段階でも十分に注目を浴びているので、今後必ず開発が進み、価格が落ちてくるはずです。
将来は必然と、制振よりも免振が普及してくるでしょう。
5.まとめ
耐震・制振・免振、どれを選べば良いのか、お分かりになりましたか?
まとめのポイントは以下の通りです。
- 免振装置は性能がもっとも高い代わりに、初期投資も維持費も負担が大きい
- 制振装置は安価に導入が可能な上、メンテナンスフリー
- 免振装置の価格が高い現在は、費用対効果を考えると制振装置を導入すべき
最後までご愛読いただきまして誠に有難うございます。