「新築のコンセント計画で失敗が多いって聞くけど、具体的な失敗例や対策が知りたい!」
そんな疑問にお答えします。
注文住宅では間取りやコーディネートの打ち合わせが終わった後、コンセント・LAN配線・照明器具などの配置を決める「電気工事打ち合わせ」があります。
本記事では、その中で特に失敗・後悔したという声が多い「コンセント」について解説していきます。
多くのサイトやブログでは失敗しないためのポイントが記載されてはいますが、そもそも「なぜ失敗するのか」という原因を理解しない限りは解決できないはず。
コンセントで失敗する原因と具体的な対策方法を解説しますので、本記事を読むことで理想的なコンセント計画に近づいていくと思います。
本記事の内容はこちらです。
- 新築のコンセント計画で失敗する3つの原因
- 失敗しないための理想的なコンセント計画の準備
- 新築のコンセント計画で失敗しやすい具体的なポイントと対策
では早速解説していきます。
目次
1.新築コンセント計画で失敗する3つの原因
最初に、新築においてコンセントで失敗・後悔する原因を3つ解説していきます。
このポイントを把握しないと、具体的な失敗例や対策を読んでも意味がありませんので、ぜひしっかりとお読みください。
1-1.コンセント計画に関する説明が少ない
多くのハウスメーカー・工務店では、電気工事(コンセント・LAN・照明)の計画を立てる上での説明・アドバイスが少ないのが現状です。
間取り・コーディネートなどに関しては専門の設計士やコーディネーターから様々な提案があり、多くの説明やアドバイスがもらえますが、それと比較すると物足りなさを感じるでしょう。
説明やアドバイスが少ないのには原因があり、以下の3つに分類できます。
- 建築会社にコンセントの配置に関する専門家がいない
- 建築会社担当者(現場監督など)は打ち合わせをスムーズに完了させたい
- 施主によって生活環境や所有家電が大きく異なるため、そもそもアドバイスができない
1つずつ解説します。
■建築会社にコンセントの配置に関する専門家がいない
建築会社には間取りの設計やコーディネートには、例えば資格を所有しているような専門家から提案やアドバイスがもらえますが、コンセントの配置に関しては専門家がいません。
電気工事の依頼は専門業者に委託しますが、その業者が各間取りに対するコンセントの配置をアドバイスしてくれることもないでしょう。
■建築会社担当者(現場監督など)は打ち合わせをスムーズに完了させたい
電気工事やコンセントの配置に関しての打ち合わせは「現場監督」が担当する建築会社が多いです。
もちろん現場監督の経験や人柄によるところですが、電気工事の打ち合わせはさっさと終わらせたいのが彼らの本音です。
特に業界全体で現場監督・職人が不足していることもあり、現場監督はオーバーワーク気味になっています。
ですので、コンセント計画について説明・アドバイスするのにかける時間は少なくなってしまうのは必然と言えます。
■施主によって生活環境や所有家電が大きく異なるため、そもそもアドバイスができない
そもそも生活家電の進化は目まぐるしいものがあり、それらを全て把握しつつコンセントの種類や位置をアドバイスすることはとても困難です。
建築会社側も「しっかりと計画を立てて下さいね」とは言いますが、それぞれの生活環境や持っている家電が異なるため、コンセントの種類や位置の希望に対して細かいアドバイスをすることは不可能に近いと言えるでしょう。
上記3つの理由から、ハウスメーカーや工務店からコンセントの種類や位置に対して、細かい説明・アドバイスをもらえる可能性はかなり低いと思います。
プロからのアドバイスはもらえないものと割り切って、自分たちで入念な計画を立てるべきだと理解しておきましょう。
1-2.コンセント計画の準備期間が不足する
間取りやコーディネートの打ち合わせは、長引けば長引くほど工事開始が遅れます。遅れた場合のデメリットは多少あるものの、打ち合わせの「締め切り」はありません。
しかし、電気工事の打ち合わせには「締め切り」があります。工事開始の直前か始まった後に打ち合わせをするからです。
断熱材を吹き付けてしまうと、もうコンセントの変更はできません。
ですので、断熱材を吹き付ける前に必ず打ち合わせを完了しなくてはいけません。
工事中は複数の業者と細かい日程調整を行っていますので、断熱材の吹き付け日程を遅らせると工事に大きな悪影響がでます。
電気工事の打ち合わせは締め切り日までに必ず完了させる必要がありますので、覚えておきましょう。
また、コンセント計画の事前説明から打ち合わせ完了までの期間は、約3~4週間です。
説明を受けてから考え始めると時間が足りなくなり、計画が適当になる場合も多いので注意しましょう。
1-3.最初の資金計画でコンセントや照明器具の予算が曖昧
ハウスメーカーや工務店と契約する際、営業マンに見積り・資金計画書を作成してもらうことになります。
その資金計画書の中には諸経費も含まれています。
fa-arrow-circle-right諸経費については下記ページにまとめています。
諸経費の中にはコンセント・LAN配線・アンテナ・照明器具も含まれるはずです。
しかし、多くの営業マンが資金計画の合計金額を安く済むように見せたいので、あえてコンセントなどの概算金額を低く見積もることがあります。
この概算の金額はかなりざっくりとした数字なので、特に根拠があるものではありません。
ですので、この数字を信じて契約してしまった後、いざ電気工事打ち合わせの時に予算が足りなくなってしまいます。
これでは打ち合わせ前から後悔する羽目になるでしょう。
2.対策①:コンセント計画で失敗しないための理想的な準備
1章で解説したコンセント計画で失敗する3つの原因を踏まえた上で、本章では具体的に失敗しないための準備方法を解説します。
この基本を押さえないとかなり高い確率で失敗・後悔につながりますので、ぜひしっかりと読んで頂ければと思います。
2-1.図面・コーディネートが完了後、すぐに計画を立てる
電気打ち合わせでは、コンセントだけでなく照明やLAN配線・テレビ配線などの計画を立てる必要がありますが、この計画を作り込むにはかなりの時間が必要です。
建築会社から電気打ち合わせについての事前説明を待っていては時間が無くなってしまいます。
図面・コーディネートの打ち合わせが完了したら、すぐに計画を立て始めましょう。
間取りなど打ち合わせが立て続けなので、このタイミングでホッと一息つきたい気持ちは十分に分かりますが、ここで時間を稼がないと大きな失敗に繋がります。
電気打ち合わせが完了すればゆとりができるので、それまでは何とか頑張りましょう。
2-2.購入家具を想定し、図面に記載
建築会社からの電気打ち合わせについての事前説明では、コンセントに関して次のような説明があります。
- 標準仕様(本体価格)に含まれるコンセントの種類や個数
- 追加でコンセントを増設した場合の種類別のプラス料金(オプション)
また、コンセント配置のたたき台として、建築会社側で標準仕様に含まれるコンセントを配置した図面を作成してくれます(仮提案)。
通常、その仮提案からコンセントをどこに追加・変更するのかを考えていくわけですが、前述した通り、その提案を受け取る前からコンセント計画を考える必要があります。
図面を受け取る前にやるべきことは、新居に置く家具・家電(今後購入するものも含めて)のリストアップです。
5年以内には追加したいと考えている家具や家電もリストに加えておくと良いでしょう。
また、子供が大きくなった時に必要な家具・家電も想定するのも必要です。
家具・家電のリストアップはコンセント計画では必要不可欠なものです。ここのなるべく時間を割いて作業を行いましょう。
未来に購入予定の家具・家電も含めてリストアップが終わったら、なるべくスケールサイズを合わせて図面に全て記入しましょう。
上記画像のようなイメージで、建築会社からもらった図面(50分の1スケール)に家具を細かく記載します。
実際は上記イメージのようなカラーではなく白黒の方が多いと思いますが、家具の寸法も記載しておくと良いでしょう。
2-3.図面に生活動線を記載する
図面に家具の記載が終わったら、今度はそれを複数枚コピーして、家族全員分の生活動線を別々に記載しましょう。
例えば次のような行動の動線です。
- 朝起きた後~出社・登校するまでの動線
- 家事をする際の動線(特に掃除機かけの動線)
- 帰宅後~リビングや自室でくつろぐまでの動線
その他、いろんなパターンで生活行動の動線を考えて記載してみましょう。
細かく動線が記載できたら、どの場面でどのように家電を使用するのかが明確になってきます。
また、家具の配置で壁・床にコンセントを付けても意味がない場所も分かってくるでしょう。
このようにコンセント計画の3つのポイントを押さえて準備を進めてから考え始めれば、後悔するリスクは大幅に削減できるはずです。
3.対策②:コンセント・照明器具に予算を多めにとっておく
コンセントや照明にお金をケチってしまって、のちのち後悔するケースは後を絶ちません。
新築時は2口コンセントを1カ所増設するのに2,000~3,000円ほどの費用しか掛かりませんが、完成後に増設する場合は数万円の費用がかかります。
特に外周面の断熱材が吹き付けてある壁面へコンセントを増設する場合、もう一度断熱材を吹き付けないといけないため、さらに大きな費用が発生します。
近年は断熱材が高性能・高価格化しているのでなおさらです。
ですので、コンセントの数はゆとりをもって設置するのが良いでしょう。
しかし、1-3章で記載した通り、契約時にコンセント・照明の予算を低く見積っていると、いざ電気工事打ち合わせになると予算が全く足りなくなってしまいます。
最初の資金計画の段階で、次の費用(諸経費)の金額は見込んでおきましょう。
- コンセント・LAN配線:10万円
- 照明器具:30万円
坪30~35坪の2階建ての場合、合計40万円ほどは見込んでおきましょう。余る分には問題ないと思います。
※間接照明やダウンライトをたくさん使って照明で遊びたい方は、照明の予算はもっと必要です。
※上記金額は、一定の数のコンセントや照明器具が標準装備(仕様)に含まれている場合の金額です。
4.新築のコンセントで失敗例と対策
最後の4章では、コンセント計画での実際の失敗例・失敗しやすいポイント、またそれらの対策方法をピックアップして解説します。
ただ、他のサイトに多数記載してある失敗例はなるべく除外して解説していきます。
スマホの充電場所
今や生活必需品となっているスマートフォンですが、各所に充電用のコンセントが必要になります。
リビング・寝室・書斎など、それぞれ記載しておきましょう。
また、今は子供も小学生でスマホを持つ時代です。子供が将来スマホを充電することも考慮に入れてコンセントの配置を計画しておくと良いでしょう。
掃除機の動線を意識する
設計士の中でセオリーになっているのが、有線の掃除機をかける場所を想定してコンセント位置を決める、ということです。
コードレスやロボット掃除機の普及で有線の掃除機を使わない家庭も増えていますが、有線の掃除機をかける動線でコンセントの配置を考えれば、家全体でバランス良く、また漏れがなく計画を立てることができます。
玄関周り・ウォークインクローゼット・廊下・脱衣、洗面所など、掃除機用のコンセントを考えれば漏れがなくなるはずです。
季節家電を忘れないように計画に組み込む
季節家電のことを計画から忘れてしまうことがあります。
エアコン・扇風機・加湿、除湿器・電気ストーブなど、四季も想定して計画を立てましょう。
外部コンセントの計画を念入りに
外部コンセントは失敗の割合が高い部分です。
特に生まれがマンション・アパート暮らしの人にとっては、庭の管理するイメージが湧かない可能性もあるでしょう。
例えば高圧洗浄機や芝刈り機、剪定用にヘッジトリマーなどのコンセントを設置しておきましょう。
家庭によってはクリスマスの電飾にも使えます。
また、将来電動自動車が当たり前の時代になりますので、充電器設置用に、外部に1~2カ所だけでも外に出しておいてもらうべきです(電気配線を外に出して、絶縁テープを巻き、土の中に埋めておいてもらうだけのこと)。
そうすれば、将来なにか電気が必要なものを外部に設置する際、そこから配線を伸ばすだけで済むので、工事費用が安く済みます。
スマートホーム化用のコンセントを検討する
スマートホーム化と言われてピン来ない人もいるかもしれません。
しかし、スマートホーム化は今後確実に普及してきますし、大型の設備を導入する必要もなく、誰もが簡単にスマートホーム化できるようになっています。
fa-arrow-circle-rightスマートホーム化についてまとめたページもあります。
上記スマートホームページを読んでもらうと分かりますが、次の2点に関してはどこに設置するのかコンセント位置を考えておくと良いでしょう。
- Amazon Echo(アマゾン エコー)、【Google Home(グーグルホーム)】などのAIスピーカー
- スマートリモコン
上記2点はリビングだけでなく、寝室や子供部屋などそれぞれの部屋に設置するとさらに便利になるので、新築のタイミングで計画を立てておきましょう。
プロジェクタ用のコンセント
将来、プロジェクタの普及、また低価格が進むと思います。
例えば、2019年8月に話題になっている下記プロジェクタは、高画質・高音質・36段階のシーリングライトがついて80,000円前後で購入が可能です。
またYouTubeやamebaTVなどの動画・音楽コンテンツも配信が可能になっています。
今後、このような高性能・低価格なプロジェクタがどんどん登場してくるはずですし、これらがAIスピーカーと連動しているのが当たり前になるはずです。
今は不要だと思っていても、天井など設置場所を想定してコンセントを配置しておくのが良いでしょう。
5.まとめ
新築のコンセント計画で失敗する原因と対策はお分かり頂けましたか?
しっかりとして準備をして、予算を確保すれば、必ず失敗・後悔を減らすことができるはずです。
本記事のまとめはこちらです。
- コンセント計画で失敗しないために、準備期間をしっかりと取り、予算を多めによっておく。
- コンセント計画の準備は、購入予定の家具を想定し、細かく図面に記載する。また、家族全員が別々に動線を記載する。
最後までご愛読頂きまして誠にありがとうございます。