「土地を買う時って、そもそも値下げ交渉はできるの?」
「もし土地の値下げ交渉ができるのなら、交渉のコツを知りたい!」
私は住宅営業マンの現役時代に、何十組というお客様と一緒に土地を探しました。
また、スゴ腕の不動産仲介担当と通じて値下げの交渉を行ってきた経験があります。
その累計交渉回数は32回(記録していた回数)、成功率は19回で59%成功、値引き成功額の平均は約92万円でした。
そのスゴ腕不動産仲介担当から学んだことや、経験を通して得た値下げ交渉のルールや方法、コツなどを解説していきます。
- 土地値下げ交渉の前提
- 土地値下げの具体的な方法や注意点
- 値下げしやすい土地のタイプ
- 平均92万円値下げした土地交渉のコツとは?
なお、値下げよりも先に、失敗しない為の土地を選ぶことが重要です。
fa-arrow-circle-right下記ページをご覧になってない場合は、ぜひそちらからご参照下さい。
1.土地値下げ交渉の前提
土地の値下げ交渉に関して、前もって踏まえて頂きたいことから解説していきます。
1-1.値下げ交渉は可能!?
結論から言いますと「土地の値下げ交渉は可能」です。
実際に私は何組も値下げに成功した方を見てきました。
金額としては30万円と土地代金の端数分を値下げしてもらった方から、120万円も値下げしたもらった方もいらっしゃいました。
ただし、値下げに全く応じてもらえない方も多数いらっしゃいます。
私の経験上、値下げに成功した方の割合は50~60%といったところです(少額の値引きも含めて)。
また、100万円以上の値下げに成功した方は一握りというのが現実です。
私が担当していたエリアは土地相場が1500~3000万円ほどです。5000万円を超えるような地域であれば、値引き額は増えますし、その逆もあります。値引き額は地域の相場によって異なりますので参考程度にして下さい
40~50%の方は値引き交渉に応じてもらえていないわけですし、少額の値引きも多数あることを加味すると、過度の期待をしてはいけません。
1-2.不動産仲介業者はつながりを大事にしている?
土地の値引き交渉は、基本、不動産の仲介業者にやってもらいます(代理)。
直接の値引き交渉はご自身ではまずできないと思って下さい。
また、売り主側にも仲介業者が付いている場合が多いので、値引き交渉は買い主側の仲介業者と、売り主側の仲介業者で行われます。
ここで重要な前提ですが、土地を購入した後、不動産仲介業者とつながり・関係を築く方はまずいないです。
当然、土地の購入は業者や大地主でない限り、リピートすることはありえません。
仲介業者から見ても、土地の売買が終わったらそのお客さんとのつながりは完全に疎遠になるものです。
逆に、売り主側の仲介業者とは、今後もつながりある可能性が高いです。
不動産は結構狭い業界なので、同じ地域の不動産業者同士は顔見知りが多いこともあり、マナー違反なことをしてイメージが悪くなることを嫌います。
つまり仲介業者は、一度しか縁のないお客さんよりも、今後も繋がりある不動産仲介業者を大事にする傾向があります。
しつこい値引き交渉や、マナー違反な交渉などは、仲介業者は絶対にやらないと思って下さい。
1-3.値下げ幅は最初から決まっている?
家電製品などでもそうですが、ほとんどの場合、値下げ幅の限界値は最初から決まっています。
言い換えれば、売り主側が値下げも見越して最初から金額を決めている、ということです。
個人の売り主は仲介業者と販売価格の設定を相談したときに、ある程度値引き額の目安も決定しています。
不動産会社が所有している土地でも、最低限の利益を確保することを優先しますので、値引き幅は決まっていると考えて下さい。
つまり、値下げ額は交渉技術などで大きく左右されるものではないことを念頭に入れておきましょう。
値下げ交渉によって、値引き可能額の最大幅を引き出そうという考えが適切です。
2.土地値下げの具体的な方法や注意点
本章では具体的な土地の値下げのタイミングや方法を解説していきます。
2-1.値下げのタイミングや流れ
土地の値下げ交渉のタイミングは、基本「買い付け」の段階で行います。
買い付け用紙に希望金額を記入して、仲介業者からFAXしてもらいます。
FAX後に、仲介業者から相手の仲介業者に電話などで連絡を取り、売り主の反応など確認します。
売り主の値下げ希望に対する反応を見ながら交渉に入るわけです。
fa-arrow-circle-right土地購入の流れ自体が分からない方は下記ページをご参照下さい。
例えば80万円の値引き希望で買い付け申請したとします。
その後、売り主の返答として、80万円は無理、30万円ならいいよ、という返答があります(もちろん、全くダメという場合もあります)。
そこで、30万円の値引きで了承しても良いですし、50万円でどうですか?、と再交渉しても良いでしょう(再交渉で了承してもらえる確率はぐっと落ちます)。
両者が金額に納得出来たら、契約日を設定して契約となります。
2-2.具体的にどうやって値下げ金額を設定するのか、その方法は?
具体的に、どうやって値下げ金額を設定していけば良いのかを解説していきます。
前章で80万円の値引き交渉の例を出しました。
ただ、その80万円という金額設定をどう決めていけば良いのでしょうか。
もちろん、適当に金額を言っては交渉にならない場合があります。
ですので、どれくらいの値下げ希望にすれば良いかは、売り主の仲介業者に事前確認するしか方法はありません。
仲介業者は売り主ではないので、いくらだったらいけそうか、意外にも素直に教えてくれます。
例えば、こちらの仲介業者から売り主の仲介業者に連絡をして、50万円ほど値下げできそうか相談したとします。
すると、仲介業者は、「強気な売り主だから値下げは全く無理」とか「20万円なら大丈夫と思うけど、50万円だと五分五分かなぁ」などの返答をくれます。
上記のような反応を確認しながら、実際の値下げ交渉金額の設定を固めていきます。
2-3.値下げ交渉の注意点
値下げ交渉の注意点として、値下げ交渉中に、他の人に取られてしまう可能性がある、ということです。
値下げは買い付け時の交渉ですので、当然契約ではありません。
万が一、値下げの交渉中に、土地の言い値(定価)で買う人が登場した場合は、売主はそちらに土地を売ってしまいます。
売り主は高く売りたいはずですので、買い付けが入っていようが当然です。
つまり、値下げ交渉をすると、買い付け(予約)効力が弱くなってしまうので、特に人気の土地の場合は注意が必要です。
3.値下げしやすい土地のタイプ
前章まで、土地の交渉が十分可能なことや、交渉の流れが分かって頂けたと思います。
ここからは値下げしやすい(ねらい目の)土地のタイプを解説していきます。
ただし、値下げしやすい土地というのは基本的に人気が無い土地ばかりです。
気に入った土地で値下げしやすいパターンは可能性としては低いので、時間をかけて入念に探す必要があります。
3-1.相場より高い
土地はその環境によって大きく値段が変わります。
日当り、高低差、前面道路の幅員、整形地かどうか、ライフラインの有無、周辺環境、などなどによって金額が変わります。
周辺の土地の相場と比較することはなかなかに難しいでしょう。
ですが、近場で似たような土地を探して、坪単価を見れば、意外に素人の方でも相場を比較することが出来ます。
インターネット情報で十分でしょう。
なかなかハードルが高い場合は、仲介業に相談すればすぐに相場を教えてくれるでしょう。
もちろん、土地はそれ相応の値段になっているケースの方が多いので、価格差は大きくはありません。
ですが、売り主側の早く売りたい、高く売りたいなどの気持ちが土地の値段に表れている場合もあります。
もし相場よりも若干高くなっていたら交渉の余地はあります。
3-2.売れ残っている土地
目安として、半年以上売れ残っている土地は値下げ交渉がしやすくなります。
半年以上残っていると、売り主側も売れるか不安になってきていたり、不動産会社が所有している土地なら、余計な広告宣伝費がかさんでいる場合も多く、交渉が有利に働きます。
半年も経っていると段階的に値下げしていることもありますが、さらに値下げする余地は十分にあります。
また、大型分譲地で売れ残っている土地もねらい目です。
大型分譲地の場合、個人よりも不動産会社が所有していることがほとんどです。
大型分譲地では、土地の6~7割が売れてしまったら、利益が出ると言われています。
つまり、それ以降の販売分は全て利益になるので、業者側としてはなるべく早くさばいて回転数を上げる方にシフトするからです。
3-3.不動産会社が所有している土地
前章の大型分譲地で解説した内容と重なりますが、不動産会社が所有している土地は、意外に値下げできる可能性は高くなります。
不動産会社の場合、ドライな利益計算で動きます。
販売も、ある程度の利益を見込んで行っています。当然、販売価格は値下げ交渉分も含んだものになっています。
また、これも前章で解説しましたが、不動産業者の場合は土地の回転を優先します。
不動産業から見れば、土地は早く回転させた方が儲かるのは必然です。
土地をさっさと売って、その資金で他の土地を買い、また売る。
そういったサイクルを早めることが大事と考えています。
土地の販売には広告宣伝費も発生します。長期間に土地が売れないと広告宣伝費も増えてしまうので、やはり早く売れるに越したことはありません。
だからこそ、値下げ交渉も可能になってきます。
3-4.建築条件が外れた土地
人気のあるエリアで、建築条件が付いた土地は多いです。
建築条件を付ける、ということは、当然土地の魅力が高いと売り主側が判断しているわけです。
ですが、建築条件が外れた土地は、その売れると見込んでいた予測が外れてしまったわけです。
原因は土地にあるのか、建築会社にあるのかはそれぞれですが、建築条件が外れたばかりの土地も値下げ交渉の余地が高くなります。
fa-arrow-circle-right買ってはいけない土地に焦点を当てたページもあります。
4.平均92万円値下げした土地交渉のコツとは?
続いて、土地交渉のポイント・コツを状況別に8種類、解説していきます。
交渉に必要な基本的な部分もありますが、基本こそ重要ですので、しっかり把握頂ければと思います。
4-1.絶対土地を買う意思を伝える
交渉の大前提として、その土地を買う意思が必要になります。
要は、100万円値下げしてもらえるんだったら、まあ買ってもいいかな、という考えでは、基本交渉できません。
何より、そんな買うかどうかも分からない土地の場合、仲介業者も交渉は絶対に嫌がります。
仲介業者から見たら、例えば売り主が100万円は無理でも80万円なら、と言ってくれた時に、買い主から「やっぱり契約はしない」と言われたら面子が丸つぶれだからです。
値下げ交渉に応じてもらえそうかは、前章で解説している事前確認で対応しましょう。
購入意思が固まってから、正式な買い付けと値下げ交渉を行いましょう。
4-2.住宅ローンの事前審査を通しておく
これも交渉の大前提です。
値下げ交渉には住宅ローンの事前審査が通っていることが前提です。
交渉に応じた後に、やっぱり審査が通りませんでした、となると売り主側が損をしてしまいます。
買い付けの後は販売を一時中止しているので、機会損失が生まれるからです。
ですので、ローンの事前審査が通っていない人は買う意思が無いと見られるので、値引き交渉に応じてくれる確率は大きく下がります。
住宅ローンの事前審査は交渉前に必ず通しておきましょう。
fa-arrow-circle-right土地の手付金なども含めた住宅ローンの頭金や事前審査に関しては下記ページをご参照下さい。
4-3.多額の値引き額を要求しない
一般的な商品の値引き交渉では、最初に多めに値引き額を提示して、無理なら少しずつ設定金額を上げていく手法があります。
ですが、土地の場合はその交渉方法は使えないと思って下さい。
何個も作れる一般的な商品とは異なり、土地は1つしかありません。
ですので、売り主側も簡単に値引きに応じることは無いでしょう。
それに、売り主側にとっても思い入れがある土地の場合もあります。
無茶な値引きをする人に対しては変な人じゃないかと警戒心を頂く可能性もあり、変な人に思い入れがある土地を売りたくない場合もあるかもしれません。
ちなみに、私が現役時代に、1組だけ無茶な値引き交渉したケースがありました。
値引き交渉後、いきなり売り主側から「その土地は親族に売ることにした」、と連絡があり断られてしまいました。
その話が本当の可能性もありますが、インターネットで販売を公開していた物件だったのに、いきなり親族に売るなんてことは考えにくいので、おそらくウソだったのでしょう。
適当な理由を付けて断られてしまったわけです。
断られる可能性もあるので、過度の値引き交渉をするのはやめましょう。
4-4.手付金を多く出す
手付金はできるだけ多めに用意すると、値引き交渉は有利に働きます。
どんな世界でも一緒ですが、現金は強いです。
売り主側から見たら手付金を多く出す人は、後々のキャンセルされる確率が低く、また属性が良い人だと見るからです。
一般的には土地の手付金は50万円~土地代金の1割が妥当と言われています。
1割も出せれば、多少値引き交渉に有利と言えます。
20万円しか手付金は用意できないけど、50万円値引きして欲しい、という交渉はかなり無理があると言えます。
4-5.値引きが得意な不動産会社を探す
「値引きが得意」というのは、決して交渉が得意、というわけではありません。
それぞれの不動産仲介会社の営業マン達は、いろんな売り主との関係が作られています。
Aという売り主と関係が深い不動産会社もあれば、Bの売り主と関係が深い不動産会社もあります。
当然、売り主と関係が深い不動産会社の方が値引き交渉がうまくいく確率が上がります。
私が現役時代でも、その売り主に合わせて得意な担当や不動産業者を選んで依頼をしていました。
土地を探す前提として、複数の不動産会社に希望の土地エリアや条件を伝えて探してもらいましょう。
気に入った土地があったら、次は仲介してもらう不動産会社を選びましょう。
不動産会社を選ぶ時のポイントがあるので、下記にまとめます。
- 決算が近いなど、業績欲しさに焦っている
焦っている不動産会社は敬遠したくなるかもしれませんが、焦っている不動産担当の方が交渉にもかなり力が入ります - 気に入った土地の売り主の関係を聞いてみて、関係が深いことが分かる
売り主との関係を、具体的に話せる場合は実際に関係が深いはずです。
いくつかの不動産担当としっかりコミュニケーションを取れば、誰が交渉をしっかり行ってくれそうかは案外誰でも分かると思いますので、頑張って質問を色々投げかけてみましょう。
4-6.無料の不動産情報サービスを使う
前章にて、いろんな不動産会社を回るポイントを解説させていただきましたが、忙しい場合はなかなかそうはいきません。
特に住宅メーカー周りや仕事・家事・子育てなどと並行するのは時間的に厳しいですよね。
その場合、【タウンライフ不動産】というサービスを使うのが良いと思います。
インターネットで土地の条件を入力するだけで、地元の不動産から物件情報をもらえます。
希望の条件と連絡先の入力のたった5分で物件情報がもらえます。
それに、タウンライフ不動産をご紹介するのは、多数のメリットがあるからです。
- 土地の非公開物件まで紹介してくれる
- 全て完全に無料
- ネットで5分入力するだけで完了。複数の不動産会社に一括依頼できる
- 土地だけでなく、戸建てやマンションの情報まで一緒に依頼できる
- 登録されている不動産会社は厳選な審査をクリアしているから安心できる
- 情報はメールや郵送などが選べて、新着情報が随時送られてくる
紹介する以上心配なのでネットで口コミを調べてみましたが、いきなりたくさんの電話が掛かってくることや、しつこい営業されるなどの心配もありません。
情報収集は早いに越したことはありませんので、ぜひ利用してみて下さい。
なお、このサービスを使っていること自体が不動産会社にとっては競合していることになります。
当然、値引き交渉に関しても力を入れてくることは間違いないでしょう。
また、そもそも気に入った土地よりももっと良い非公開の土地情報が手に入るかもしれません。
ぜひ活用してみて下さい。
4-7.不動産会社を選んでいるタイミングでは買う意思はまだ伝えない
4-1章で解説したことと少し矛盾したような話ですが、「この不動産会社に仲介を依頼しよう」と決めるまでは「この土地を買いたい」と不動産会社に言うのはやめましょう。
この土地を買いたいと不動産会社に言ってしまうと、不動産会社から見たら「次はどう契約してもらうか」、ということを考え始めてしまいます。
他に持っているかもしれない土地情報も伝えてこなくなるでしょうし、何より不動産会社の方が値下げに対して強気になってしまいます。
値下げしなくてもお客さんは欲しいと思っているのだから、強気になるのは当然です。
不動産屋はその土地が相場よりも安いこととか、条件がすごく良いとか、説得に入ってしまうでしょう。
ですので、決して土地と不動産仲介業者を決めきるまでは「絶対にこの土地が良い」などとは言わず、「この土地、100万円安かったらなぁ・・・」などと匂わせるくらいがちょうど良いでしょう。
4-8.土地が値下げできない場合に建物の方で頑張ってもらう
土地の値下げとは直接的には関係ありませんが、ハウスメーカーや工務店などの建築会社経由で土地の仲介依頼している場合に使える手を解説しておきます。
例えば、希望予算が4000万円だっとして、土地と建物、諸経費を合わせると4100万円の見積りになってしまう場合があると思います。
そこで土地の値下げ交渉100万円下げてもらう時に、ハウスメーカーなどの建築会社に、
「もしも100万円下がらなかったら、建物の方で何とかしてもらえませんか?」
と前もって伝えておきましょう。
つまり、希望予算4000万円以下にならなかったら、土地も建物も白紙に戻すことを匂わせるわけです。
土地の値下げ交渉の失敗は建物の値下げ交渉の材料になるので、建物の営業マンとしても会社や上司と値下げ交渉がしやすくなります。
ですので、土地の値下げ失敗の保険として、建築会社と事前交渉をしておくのが良いでしょう。
5.まとめ
土地の値下げに重要なポイントは、本記事に記載してあるマナー・礼儀をしっかり守った上で、売り主側にも配慮して行うことです。
もちろん、値下げに応じてもらえる可能性はそれほど高くありませんが、30万円でも値引きしてもらえれば、金額としては大きいのではないでしょうか。
ただし、問い合わせが多い人気エリアの土地の場合は、売り主側も強気ですので、値下げ交渉に応じてもらえる可能性がかなり低くなります。
その上、後から定価で買い付けを入れた人に取られてしまうリスクもありますので、仲介業者の方としっかり相談して値下げ交渉しても良いかを検討しましょう。
fa-caret-square-o-rightハウスメーカーの値引きについてまとめたページもあります。
最後までご愛読頂きまして、誠に有難うございました。