「上棟式をしない人が増えていると聞いたけど、しないと何か問題あるの?」
「もしも上棟式をしなかった場合、ご祝儀やお弁当、お菓子などを差し入れした方がいいの?」
そんな疑問にお答えします。
fa-caret-square-o-right地鎮祭について解説したページもあります。
目次
1.「上棟式」ってどんなことするの?
最初に「上棟式」がどんなものかを解説します。
すでにご存じの方は2章からお読みください。
1-1.そもそも「上棟(じょうとう)」とは?
「上棟」は、別名「棟上げ」「建前」とも言われますが、最近では「上棟」を使うのが一般的です。
ただ、基本的に上棟は、木造住宅の「軸組工法(または在来工法)」の場合のみ存在します。
木造2×4(ツーバイフォー)工法、鉄骨構造、RC構造では、厳密に言うと軸組工法のような上棟はありませんが、骨組みが完成したタイミングで「上棟した」という形をとっています(タイミングは各ハウスメーカー・工務店によって異なります)。
木造軸組工法(在来工法)とは:
昔ながらの日本の住宅工法で、木の柱や梁(はり)などで構造の骨組みを作る工法です。比較的間取りの自由度が高くなり、リフォームにも向いている工法です
出典:公益財団法人日本住宅・木材技術センター「在来軸組工法住宅と枠組み壁工法住宅」
軸組工法の上棟日は、大工を10名前後呼び、一気に柱・梁・屋根を組み上げます。
かなり見応えもありますし、なかなか感動的な日です。
fa-caret-square-o-right木造と鉄骨構造の違いに関してご興味ある方は下記ページをご参照下さい。
1-2.上棟式の意味や、どんなことをやるのか
ここでは「上棟式」の意味合いや内容を解説します。
上棟式は下記のような2つの意味を持ちます。
- 守護神をまつって、新しく建てた家に禍いが起きず、長きに渡り幸が多いことを祈願する儀式
- 柱や梁、屋根が無事に組み上がったことを喜び、工事関係者、特に大工さんに感謝するお祭り
地域によっては(特に昔は)近隣の方も招き、お餅やお菓子などを配り感謝を伝えていました。
また、お施主様と工事関係者全員が集まるので、工事の安全・無事を願い、みんなで一緒に家をつくり上げていく約束をする場でもあるそうです。
つまり、上棟式は施主が職人などを「接待」するお祝いの儀式、という意味合いが強いんです。
上棟式はお酒などでお清めをしますが、地鎮祭のように神社の神主さんを呼んでお祓いするケースは多くありません(地域によっては神主を呼ぶこともあるそうです)。
一般的な上棟式は次のようなことをやります。
- 建物の四方に酒・塩・米をまいてお清めをする
- 工事関係に飲み物や料理などを振舞う(宴会)
- 施主の挨拶や工事関係者の紹介
- 施主から職人へご祝儀配布
- 地域によっては餅やお菓子などをばら撒く
2.上棟式はしなくても問題ないの?(略式についても解説)
本章では上棟式を実施しなくても問題ないのか、また建築会社へ「上棟式はやった方がいいのか」と聞いた場合の返答などを解説していきます。
2-4章では上棟式の略式についても触れます。
2-1.上棟式を実施している人の割合は?
最近は上棟式を実施する人は減ってきた、と良く聞くと思いますが、実際の割合はどれくらいなのでしょうか?
集計データなどエビデンスは無いので、私の経験上から算出した割合になります。
もちろん私個人だけでなく、関わった監督や大工、他の営業マンからの情報もありますので、精度は高いと思います。
下記解説しますが、簡易な上棟式(略式)を含めると、おそらく10~15%くらいと思います。
つまり、85~90%の方は上棟式をやらないわけですね。
地域によって差が大きく、近隣住民との関りが深い・伝統文化が根付いている地域は、上棟式を実施する方の割合はもっと多いと思います。
2-2.上棟式をしない人が増えた理由
実施している方の割合から見ても分かると通り、結論から言えば「上棟式をする必要はありません」。
3-1章でも解説しますが、職人へのご祝儀も必要はありません。
ではなぜ上棟式をしない人が増えたのでしょう。
それは下記のような理由があると言われています。
- 金銭的な負担を減らしたい施主が増えた
- 伝統文化が衰退してきた
- 近隣住民との関わりが減った
後述しますが、ハウスメーカー・工務店側も金銭トラブルを避けたい、手間を省きたい、という思いもあり「上棟式はやった方がいい」と勧めることも減っています。
2-3.建築会社に上棟式をした方が良いか確認する
ハウスメーカーや工務店の担当営業マンに、「上棟式をやった方良いのか」「職人さんにご祝儀を渡した方が良いのか」を確認することがあると思います。
私も現役時代に何度も聞かれた覚えがあります。
大体の営業マンが
「ご祝儀? いえいえ、お気持ちだけで結構ですよ」
「職人さんにはお茶くらいご用意頂くだけで大丈夫ですよ」
と返答することが多いはずです。
もし、ぜひ上棟式がやりたい場合は、相談というより、やりたい旨をしっかりと伝えるのが良いでしょう。
余談ですが、上棟式はあくまでもお施主様が職人を接待する意味合いが強いので、お施主様が住宅営業マンに「上棟式をやった方が良いか」「ご祝儀を上げた方が良いか」を確認するのは少し変かもしれません。
気にする必要はありませんが、厳密に考えるとお施主様が施工会社に対して「私たちは、職人さんたちを接待しなくても大丈夫ですか?」と聞いている意味になってしまいます。
ややこしいですよね。
2-4.上棟式は「略式」、簡易な上棟式でも全然OK!
上棟式をやる必要はありませんが、逆にやりたい方もいらっしゃると思います。
ただ、時間がなかなか取れない、ご祝儀を渡すのは費用面から厳しい、という方も多いでしょう。
その場合は、簡易な上棟式(略式)を行うのが良いでしょう。
最近は簡易な上棟式をやる方が増えてきました(主流になっているくらいです)。
簡易な上棟式にやることは以下の通りです。
- 建物の四方に酒・塩・米をまいてお清めをする
- 施主の挨拶
- お菓子やお茶などの差し入れ
料理やご祝儀が割愛されて簡略化されています。差し入れも簡単なもので大丈夫です。
簡易な上棟式をやる際は、担当の住宅営業マンにその旨を話せば、現場監督などに話してくれるはずですので、時間帯など打ち合わせをしておきましょう。
3.上棟式をしない場合のご祝儀や差し入れは用意すべき?
上棟式を行う場合は、ご祝儀や上棟時の差し入れを用意するケースが多いですが(略式の場合は差し入れのみが多い)、上棟式をしない場合はどうすれば良いのでしょう?
本章では上棟式をしない場合もご祝儀や差し入れについて解説します。
3-1.ご祝儀が不要な理由とは?
2-2章でも解説しましたが、結論としてはご祝儀は必要ありません。
(もちろん、気持ちの問題ですので用意しても問題ありません)
近年、金銭のやり取りに関してはどの建築会社もシビアになってきています。
ひどい話ですが、建築業界では昔から金銭のトラブルが多かったんです。
その影響から、ハウスメーカー・工務店ではご祝儀を受け取らないケースが増えています。
それに、やはり金銭的な負担も大きいため、「ご祝儀」という文化自体が無くなりつつあります。
fa-caret-square-o-rightご祝儀について詳しく解説したページもあります。
3-2.上棟式をしない場合のおすすめの差し入れとは?
上棟日に、大工さんに差し入れする際のおすすめの差し入れをご紹介します(上棟以外の差し入れでも参考にしてください)。
差し入れを無理にする必要はありません。
まず、お弁当はやめましょう。
職人さんは現地で昼食をとる場合、服が汚れており外食がしにくいため現地にお弁当を持参することが多くなります。
つまり、お弁当を頂くのは困ってしまうわけです。
どうしてもお弁当を差し入れする場合は、監督に予め〇月〇日〇時にお弁当を用意する旨を伝えておきましょう。
ただ、お茶やお菓子はやっぱり喜んでくれます。
特に夏場や冬場はきつい力仕事ですので、冷たい(暖かい)飲み物は最高でしょう。
上棟日に差し入れする場合は、予め数日前には監督に集まる人数を確認しておけば良いでしょう。
大体14~15時くらいは骨組みが完成に近づいていますし、おやつタイムということもあってベストだと思います。
お菓子は下記のような個包装で、かつ数が多いものがオススメです。
差し入れと一緒にお茶なども一緒にネットで買えば楽ですね。
2,000円~3,000円で十分ではないでしょうか。
※Amazonや楽天で「差し入れ」で検索すれば出てきます。
4.上棟式や略式に準備するもの
最後に、上棟式や略式に準備するもの(一覧)を簡単にご紹介しておきます。
4-1.上棟式で準備するもの
金額に換算すると大体7~15万円くらいです。
地域によって異なりますので、各建築会社の営業担当に相談すると良いでしょう。
4-2.略式に準備するもの
略式に必要なものは次の通りです。
- 塩
- お神酒(1升一本)
- お米(洗米)
- 神饌物(野菜、果物、鏡餅など)
- 差し入れ
棟札(むなふだ)・御幣(ごへい)を用意する場合もありますが、略式のときは少ないです。
略式といっても、地域などによって、どこまで簡略化するかは異なります。それぞれ建築会社の営業担当に確認しながらが良いでしょう。
5.まとめ(上棟式はぜひ見学しよう!)
木造軸組工法の上棟は、「上棟式」をやらなかったとしても、ぜひ見学することをお勧めします。
持ち物としては、コンビニでお茶を10本前後購入するだけで問題ありません。
上棟は住宅営業マンも感慨深いですので、お施主様としてはもっと感慨深いと思います。
平面の図面でイメージしてきたものが(3D画像は見たかもしれませんが)、はっきりと立体的に分かる最初の日でもあります。
イメージでしかなかった大きさなどもはっきりと分かりますし、柱の位置をみれば間取りも確認できると思います。
ぜひ写真もたくさん撮っておきましょう。
上棟式の意味や内容、それに上棟式はやる必要がないことがお分かりになりましたか?
ご祝儀や差し入れも、負担が大きいと感じる場合は、まったく必要ありません。
とはいえ、日本古来からある上棟式、文化として捉えると素敵なものには変わりません。
費用の負担が少ない簡易な上棟式なら、余裕があればやってみても良いのではないでしょうか?
最後までご愛読頂きましてありがとうございます。