「新築のタイミングでフロアコーティングした方が良いって聞いたけど、実際どうなの?」
「ハウスメーカーから、【うちのフローリングはワックスフリーだからフロアコーティングなんて必要ありませんよ】って言われたけど、本当なの?」
そんな疑問にお答えします。
新築のとき、外壁・屋根・水回りの設備・クロスなどに目を向ける人は多いですが、フローリングに目を向ける人は案外すくないもの。
例えば、リビングだけ高級感があるフローリングにグレードアップしたり、カラーを気にする人はいるけど、コーティングしてキレイに維持しようとまでは考えないもの。
ですが、室内でもっとも汚れたり、傷つきやすいのは、当然フローリング。
今回はフローリングのタイプ別に、【フロアコーティング】が必要あるのかを解説していきます。
目次
1.フロアコーティングが必要な理由とは?
本章では、新築に限らず、フロアコーティングをしておくとよい理由を解説していきます。
その前に、フローリングの種類によって特徴が異なるため、基本的なポイントを押さえておきましょう。
フローリングは主に次の3種類に分かれます。
- 無垢材(ムク)
- 突き板(ツキイタ)・挽き板(ヒキイタ)
- シート
1つずつ簡単に解説しますね。
無垢材(ムク)
もっとも有名な木材ですね。
別名「単層(たんそう)フローリング」と呼ばれ、丸太をそのまま切り落としただけの木材です。
木の質感が強く、木の自然な雰囲気が楽しめるメリットがあります。
反面、木材はやわらかく傷つきやすかったり、時間と共に反っていくので(曲がっていく)ヒビや割れしたり、経年劣化で変色していく特徴・デメリットがあります。
また、水や汚れに弱い側面もあります。
突き板(ツキイタ)・挽き板(ヒキイタ)
画像の通り、無垢材(単層)とは反対に、「複合フローリング」と呼ばれる木材です。
集成材や合板のような反ったり劣化しにくいベース材やコア材の上に、化粧板(表面材)が貼り付けてあります。
無垢材のメンテナンスの不便さを解消しつつ、木の風合いを残した特徴があります。
表面材の厚みが0.2~0.6mmの場合がツキ板、2mm程度がヒキ板と区分けされます。ヒキ板の方がより無垢材に近い雰囲気になるものの、傷つきやすくなります。
ツキ板、ヒキ板は、下記に紹介する一般的な「シートフローリング」よりも高価で、多くの建築会社でオプションのグレードアップによって選択することが多いです。
シートフローリング
ツキ板、ヒキ板と同じく、「複合フローリング」に分類されます。
表面材が「板」ではなく、木目柄がプリントされた「シート」になります。
フローリングの中ではもっとも安価で、デザインやカラーが豊富にあり、標準的なフローリングとして使われています。
シート技術も進み、汚れや傷に強いメリットがありますが、見た目が多少安っぽくなってしまうデメリットがあります。
1-1.ムク、ツキ・ヒキ板は5~10年で傷だらけになる
シート以外の「ムク・ツキ・ヒキ板」フローリングは傷に弱い特徴があります。
家具を引きずってしまったときの大きい傷だけでなく、小さなお子様がおもちゃで遊んだり、スリッパの裏側(固め)でも細かい傷がつきます。
室内でペットを飼っている場合はなおさら。
3章で詳しく解説しますが、フローリングを交換するには高額な費用が発生するため、なんとか自分たちでワックス掛けができないかな、と検討することもいると思います。ですが、自分たちでワックス掛けすることはオススメできません。
「ムク・ツキ板・ヒキ板」のフローリングの場合は、フロアコーティングをしておくことで傷がつきにくくなりますので、強くオススメします。
4章で解説しますが、ムク材にぴったりな、木の質感をまったく損なわないフロアコーティングもあります。
1-2.フローリングはどんどん汚れに弱くなる
「ムク・ヒキ板」は汚れにも弱い特徴があります。
さらに「ツキ板・シート」なら汚れに強い、というわけでもありません。ムク・ヒキ板に比べて、というだけの話。
「ツキ板・シート」でも、表面の塗膜がだんだん剥がれてくるため、年々汚れに弱くなっていく傾向にあります。
また、どのフローリングも紫外線には勝てないのか、窓に近い場所だけ変色してしまいます。
もちろん、傷・汚れ・変色を気にしないのなら問題ありませんが、もしも気になる可能性があるなら、フロアコーティングは検討してみる価値はあるのではないでしょうか。
1-3.シートフローリングでもフロアコーティングをやっておくと良い理由
詳しくは3章で解説しますが、シートフローリングには「ワックスフリー」と説明書きがあるので、住宅業界の中でもフロアコーティングしてはいけない、と思っている人も多いのが現状。
しかし、そもそもワックスとフロアコーティングは全く別物です。
また、シートフローリングは確かに汚れや傷に強い特徴がありますが、表面のシートが1度破れてしまうと、補修しにくいデメリットもあります。
これらのデメリットを完全に補うのがフロアコーティング。
シートフローリングだったとしても長持ちを考えるとコーティングしておくのが良いでしょう。
2.新築でフロアコーティングしておくのがオススメな理由
フロアコーティングはもちろん、新築だけなく、既存の家でも検討すべきものだと思います。
しかし、すでに生活している住宅でフロアコーティングするには、2つの大きなデメリットがあります。
- 家具の移動が大変で、かつ余計な費用が発生する
- フロアコーティングの種類によって施工が2~3日かかる
ですので、可能な限り、新築のタイミングでの実施をオススメします。
念のため、1つずつデメリットの詳細を解説します。
2-1.家具の移動が大変で、かつ余計な費用が発生する
誰もが想像つくことですが、やはりフロアコーティングの施工時に、家具の移動が必須です。
備え付けの家具がある場合、フロアコーティングの施工会社と相談して、周辺のみ施工するという対応は可能ですが、ほとんどの家具は移動しないといけません。
フロアコーティングの会社でも家具移動をやってくれますが、費用は3~5万円ほどかかります。
それに、電気配線やLAN配線を取り外し、また元に戻すのもイチイチ大変です。
できれば労力や費用のことが考えると、新築時にやっておいた方がいいでしょう。
2-2.フロアコーティングの種類によって施工が2~3日かかる
フロアコーティングの施工は、半日ほどで完了するタイプもありますが、基本的には乾燥時間も含めて2~3日かかります。
施工中、やはり自宅にいるのは難しいので、家族全員が外に出ないといけなくなるはず。
2~3日の場合、宿泊も考えると費用が膨らんでしまいます。
家を業者さんに預けて、そのタイミングで旅行するのもさすがに難しいかも。遠方にいると何かあった時に対応できなくなりますしね。
2-3.補足「建築会社がフローリングの保証ができなくなる」と言ってきたら
ここでは、新築時におきる建築会社とのやり取りを補足します。
フロアコーティングは基本、建築会社の工事が完了し、引渡しが終わってからしか施工できません。
ですので、引渡し~引っ越しの間で施工してもらうのが良いでしょう。
ただ、建築会社の現場監督にフロアコーティングの話をすると、「フローリングの保証ができなくなりますよ」ということを言ってくることがあります。
こんなことを言われたら不安になりますよね。
建築会社側からすれば、フロアコーティング後に「フローリングに傷・へこみ・汚れがあるから直してくれ」と言われても、フロアコーティングの業者が傷つけた可能性がある以上、保証できないという意味で発言しているわけです。
ですので、引渡し前の「施主検査」や「引渡し時の確認」でフローリングをしっかりとチェックし何も問題なければ気にする必要はありません。
一般的に、フローリングの保証期間は1~2年。施工や、製品上の不備があった場合のみ保証する内容になっています。
fa-arrow-circle-right施主検査や引渡し時のチェック内容をまとめたページもあります。
3.「自分でワックス」がNGなワケ
住宅メンテナンスはたくさんのお金が掛かるもの。
ですので、例えばクロス交換や蛇口の交換など、DIYすることで費用が押さられるますよね。
ただ、フローリングのワックスだけはオススメできないわけがあります。
3-1.シートフローリングにワックスをやってはいけない
まず、ワックスフリーとされるシートフローリング。
ワックスが「不要」というイメージになりますが、意味合いとしては逆で「ワックスしてはいけない」という方が正解です。
シートにはそもそも汚れにくいようにコーティングされているため、ワックスを塗っても弾かれてしまいます。
またシートは水に弱いため、水をたっぷり使うワックスは不向きなんです。
シートフローリングは汚れたり傷んでしまえば交換するしかありません、ワックス掛けは諦めましょう。
3-2.ワックスの剥離はフローリングにダメージを与えてしまう
シート以外の「ムク・ツキ板・ヒキ板」のフローリングになら、ワックス掛けは可能です。
ただ、ワックスは基本、1~2年程度しかモタナイため、その都度ワックスを剥がして、再度塗りなおす必要があります。
実はそのワックスの剥離が問題で、かなり強い薬品を使うためフローリングにダメージを与えてしまいます。
ワックスの塗りたてはピカピカなって満足感が高いですが、塗りなおす度に痛々しいフローリングになっていき後悔につながる可能性が高いです。
3-3.ワックスは水や擦れ(こすれ)に弱い
市販されているワックスは、フロアコーティングと比較すると水や擦れに弱いです。
何かこぼした時に力を入れて水吹きすればワックスが剥がれていきますし、摩擦によってワックスの効力が弱まっていきます。
中には「耐水」・「超耐久」という名目で販売されていますが、結局2~3年で塗り替えしなくてもいけないものがほとんどで、効力は長持ちしません。
4.どのフロアコーティングが向いているか、「タイプ別まとめ」と「金額相場」
フロアコーティングは、大きく分けると4種類あります。
- シリコンコーティング
- ガラスコーティング
- UVコーティング
- ウレタンコーティング
本章では、それぞれのフロアコーティングの相場や、どんなタイプの方に向いているのか(どのフローリングに向いているかも含めて)解説していきます。
4-1.シリコンコーティング
- 特徴:シリコン樹脂がメイン成分となるコーティング剤を使用。
- 耐久年数:10~20年(メーカーによる)
- 施工日数:2~3日
- 金額相場:「2500~4000円/1㎡」
「LDK18帖のみの施工⇒80,000円~130,000円」
「延床面積30坪の施工⇒250,000円~400,000円」
- LDKや水回りの一部のフローリングで、高級感を出したい人
- ペット(犬・猫)を飼っている・飼う予定のある人
シリコンコーティングは光沢が強く強度が高いので高級感が出ます。
また、樹脂が使われていることで、滑りにくく、舐めても安全というメリットがありますので、ペットを飼っている人に向いています。
料金はガラスコーティングやUVコーティングよりやや安価です。
ただ、耐久年数はガラスやUVより落ちますし、塗り直しが難しいというデメリットがあるので、家全体というより限られたスペースだけ施工するのがオススメだと思います。
特にペットを飼っている方(飼う予定のある方)は、ペット用フロアコーティング専門のメーカーがあるので一度見積りを取ってみるがいいかもしれません。
fa-arrow-circle-rightペットが滑り辛く、かつ傷付きにくいおオススメのフロアコーティング業者(施工エリア:全国)
愛犬をやさしく守る床【優床】
愛ネコをやさしく守る床【優床】
※シリコンだけなく、UVコーティングもやっています。
4-2.ガラスコーティング
- 特徴:フローリングに薄くて頑丈なガラスの膜を貼るコーティングで、比較的新しいフロアコーティング。
- 耐久年数:15~25年(メーカーによる)
- 施工日数:2~3日
- 金額相場:「3500~4500円/1㎡」
「LDK18帖のみの施工⇒110,000円~140,000円」
「延床面積30坪の施工⇒350,000円~450,000円」
- ムクやヒキ板など、木の風合いを残したい人
- あまり光沢を出さず、自然な雰囲気にしたい人
ガラスコーティングは他と比較するともっとも歴史が浅いですが、最近ではもっとも主流なコーティングになっています。
コーティングの膜が薄く、光沢がない特徴のため、フローリング本来の色・雰囲気をそのまま残すことができます。ですので、ムクやヒキ板のフローリングにぴったりです。
また、シリコンに比べて高価ですが、傷に強い特徴があり、かつ耐久年数が高いため、広範囲で実施しても良いでしょう(安全性も高い)。
しかし、シリコンやUVに比べてグリップ(すべり止め)が弱いため、ペットを飼っている方には不向きと言われています。
fa-arrow-circle-rightガラスコーティングがオススメなフロアコーティング業者(施工エリア:東北、北海道以外)
ライフスタイルに合わせたフロアコーティング【株式会社グッドライフ】
「グッドライフ」は2018年にフロアコーティングランキングで3冠達成しており、技術力やサービス力に定評があります。
ガラスコーティング以外に7種類のコーティングがあり、様々なご要望にお応えできるバリエーションが揃っていますのでオススメです。
4-3.UVコーティング
- 特徴:UV(紫外線)を照射して短い時間で硬化されるコーティングで、高性能・高価格なフロアコーティング。
- 耐久年数:20~30年(メーカーによる)
- 施工日数:1日(半日)
- 金額相場:「4000~5000円/1㎡」
「LDK18帖のみの施工⇒120,000円~150,000円」
「延床面積30坪の施工⇒400,000円~500,000円」
- 引っ越しまで時間がない方、既存の住宅に施工したい方
- フローリングに高級感を強く出したい方
- 長期間、キレイな状態を維持したい方
高価格ですが、施工時間が半日ほどしか掛からないため、時間がない方に向いています。
それに、耐久年数と保護年数はトップクラスですので、費用対効果は高いフロアコーティングと言えます。
また、塗膜が傷ついたり破れたりしても「補修しやすい」というメリットがあります。
新築のタイミングであれば、フロアコーティングの費用も住宅ローンとして組める可能性が高いので(諸費用も組める銀行で相談が必要)、一度検討してみるのも良いでしょう。
fa-arrow-circle-rightUVコーティングがオススメなフロアコーティング業者(施工エリア:東北、北海道以外)
ライフスタイルに合わせたフロアコーティング【株式会社グッドライフ】
4-4.ウレタンコーティング
- 特徴:4種類の中ではもっとも安価。ウレタン樹脂を主成分としたコーティング。
- 耐久年数:8~10年(メーカーによる)
- 施工日数:2~3日
- 金額相場:「2000~2500円/1㎡」
「LDK18帖のみの施工⇒59,000円~74,000円」
「延床面積30坪の施工⇒198,000円~248,000円」
フロアコーティングの中ではかなり安価ですので手が出しやすいと思いますが、耐久年数や強度の部分では物足りなさを感じるため、私個人としてはオススメできません。
おそらく、ウレタンコーティングを薦める業者さんもいないですし、実際に施工している方も少ないようです。
5.まとめ
冒頭にお伝えした通り、室内では一番汚れやすく、傷付きやすいのがフローリング。
にもかかわらず、メンテナンスや補修が難しく、費用も大きくなってしまう。
だからこそ、新築直後に「フロアコーティング」しておくのがベストだと思います。
とはいえ、費用も大きいので、できれば始めの予算の段階で組み込んでおくのが良いのではないでしょうか。
最後までご愛読頂きまして、誠にありがとうございます。