「ハウスメーカーと契約を考えてるんだけど、値引き交渉って応じてくれるの?」
「ハウスメーカーとの値引き交渉の具体的な方法やコツを教えてほしい」
そんな疑問にお答えします。
本記事を通して、次のような値引き交渉の具体的な方法が分かりますので、スムーズに交渉できるようになるはずです。
また、注文住宅だけでなく、建売でも使える内容になっています。
- 値引き交渉のコツ・ポイント
- 値引き交渉の流れ
- 値引き交渉の具体的な文言
- 値引き交渉の注意点
では解説していきます。
1.ハウスメーカーの値引きのからくりを知っておこう
ここではハウスメーカー・住宅業界の値引きの「からくり」を解説します。
値下げの仕組みが分かっていれば、値引きの交渉にも役に立つと思います。
1-1.なぜ住宅業界は値引きが当たり前なの?
ハウスメーカー・工務店の「注文住宅」に限らず、「建売」「リフォーム」「不動産」なども含めて、住宅業界では「値引き」が当たり前の業界です。
必然と値引きの「交渉」も頻繁に行われています。
私が経験したハウスーメーカー2社、リフォーム1社でもすべて値引きがありましたし、2~3割くらいの方から交渉もありました。
では、なぜ値引き文化が根付いているのでしょうか?
それは
「値引き」というお得感があれば、背中が少し押された気分になる、そういう意図で値引きがあるわけです。
ですので、逆に言えば、住宅・土地に関わる多くの商材(キッチン、ユニットバス、給湯器などなど)は値引き分も含めて最初から値付けされていることを覚えておきましょう。
私がハウスメーカー営業マン時代に、私自身や同僚も含め、値引き0円で契約したことは1件もありません。
1-2.キャンペーンの真実
ハウスメーカーの多くが、「〇月〇日までのご契約で〇〇が無料でつきます!」というキャンペーンを定期的にやっています。
キャンペーン中であれば、例えば50万円するオプション(カップボード、タンクレストイレなど)が無料になる、というものです。
このタイミングで契約した方が良いのでしょうか?
結論としては、
各ハウスメーカーでは、確保しないといけない粗利益がパーセンテージで決まっています。
逆に言えば、そこまでは値引きができるわけです。
これは、キャンペーンであろうと、通常の値引きであろうと、同じこと。
- 「キャンペーン50万円」+「通常値引き100万円」=150万円
- 「通常値引き150万円」=150万円
上記どちらのパターンでも、ハウスメーカー側は150万円までしかトータルの値引きができません。
つまり、しっかりと値引き交渉をすることで最大の値引き額に近づけることができれば、無理にキャンペーンに合わせて契約する必要はないことになります。
キャンペーンの期間が終わっても、割とすぐに他のキャンペーンが始まったりします。
1-3.「今月中の契約なら、〇〇〇万円値引きできる」の真相
これはいろんなハウスメーカーで使われる交渉・手法です。
「他のハウスメーカーを見て心移りしてしまう前に契約したい」という狙いがあります。
では翌月になったところで値引きがしてもらえなくなるのでしょうか?
結論としては、1-2章のキャンペーンと同じです。
ただし、翌月になると値引き額が減ってしまう可能性は高いです。
それはハウスメーカーの仕組み的な問題ではなく、全く同じ値引き額だと営業マンが言ったことがウソになってしまうという、体裁の問題からです。
もし期限内に判断しかねて、翌月になってしまった場合、しっかりと交渉すれば同額の値引き額になることもあります。
1-4.値引き額の判断は誰がするの?
では、値引き額、というのは誰が決めているのでしょうか?
もちろん、最終的な決定は会社判断(社長)となります。
ただ、一定の値引き率までは現場サイドで決められるケースが多いのが実情です。
正確に言うと、一定の値引き率までは会社に必ず承認してもらえる、ということです。
ハウスメーカーによって変わりますが、例えば次のパターンです。
- メーカーで定まっている規定の値引き率
規定範囲であれば、例えば3%値引きまでなら「営業マン・店長」などが自由に決められる - メーカーの規定を超える値引き率
例えば3%以上の値引きの場合、「エリア長・支社長・社長」などの承認が必要
ただし、上記のどちらの場合でも「担当営業マン、または店長」から会社へ「稟議」が必要になります。
営業マンか店長が、「この値引き率で契約していいですか?」という内容の稟議書を作り、その承認が下りて初めて正式な値引き額が決定する、という流れです。
つまり、各ハウスメーカーの規定内の値引き率までなら、高い確率で「値引き交渉」ができる、ということです。
2.値引き額・値引き率の相場
注文住宅の場合、どれくらいの金額を値引きしてもらえるのでしょうか。
ハウスメーカーや工務店によって異なりますが、各建築会社の値引きに対する考え方によって左右されます。
「値引きは営業ツールだ」と考える建築会社は最初から利益を多めに乗せていますし、逆に「値引きはブランドイメージを下げる」と考えている建築会社は最初から利益は少なくしています。
これはどちらが良い、と言えることではなく、あくまでも「魅せ方」や「戦略」の違いです。
値引き額・値引き率の目安は次の通り。
(2500万円なら75~250万円の値引き額)
だいぶ幅広いですよね。
ハウスメーカーによっては値引き率が10%以上のケースもあります。
3.値引き交渉の6つのコツ
値引き交渉をスムーズに、かつ効果的に進めるには、事前準備が必要になります。
本章では事前準備も含めて、交渉のコツを6つ紹介していきます。
3-1.相見積りで交渉の準備をしよう
値下げ交渉をする際、感覚的に〇〇円下げてほしい、と伝えてもうまくいかない確率が上がってしまいます。
やはり交渉には「エビデンス・根拠」が必要になります。
そのエビンデスを作るためにハウスメーカー2~3社から「相見積り」をしましょう。
その際は、
というのがポイントです。
大幅に坪単価が低いところから見積りをもらってから金額差を伝えても、伝えられた営業マンは品質の違いをアピールするだけになってしまいます。
少し坪単価が低いハウスメーカーと迷っていることを伝えれば効果は抜群です。
時間が無くて、複数のハウスメーカーから間取り(プラン)や見積りをもらえない場合は、次のようなサービスを利用するのもいいと思います。
【タウンライフ家づくりのプラン・見積り一括サービス】という無料のサービスです。
簡単な入力で、複数社から間取りプランや見積りがもらえますので、値引き交渉には有効です。
- 色々な設計士のプランを参照し、間取りのメリット・デメリットを比較できる
- 各建築会社の資金計画書を参照し、工事費や諸経費なども比較できる
- 登録されている注文住宅会社は厳選な審査をクリアしているから安心できる(優良企業600社以上が登録)
- GMOリサーチの注文住宅部門アンケートで「満足度」「使いやすさ」など3部門でNO1
3-2.値引き交渉のタイミングは契約直前
値引きの交渉は「契約直前」で行いましょう。
契約したいハウスーメーカーをしっかりと決め、3-1章で解説した少し坪単価が低いメーカーの見積りもそろった後、契約の直前に交渉開始です。
ハウスメーカー側が交渉に応じるのは、「契約の意思」がしっかりあるお客様に対してだけです。
それに、例えば住宅ローンの事前審査がまだ通っていない、など、確実に住宅が購入できる状態でないと同様に交渉には応じることができません。
そうなると、交渉が契約直前になるのは必然ですよね。
3-3.交渉は2回までチャレンジしよう(ケース・バイ・ケース)
各ハウスメーカーや営業担当、それにその時その時の状況によって異なりますが、交渉は2回までチャレンジするのがオススメです。
多くの営業マンが初回の見積り提示では、値引き交渉をされることを前提に値引き額を決めています(私自身もそうでした)。
それなりにゆとりを持った金額で提示することが多い、ということです。
ですので、1回目の交渉後の金額は少しだけゆとりを残して提示されることがあります。
もう一声、という形で2回アプローチすれば、残りわずかかもしれませんが、値引き額を増やせることがあります。
ぜひ2回チャレンジしてみましょう。
5-2章で解説しますが、無理な交渉はリスクがありますので、状況によってご判断くださいね。
3-4.モニターになったり、友人に紹介してくれそうな人は値引きされやすい
1-4章で解説しましたが、値引き額を決めるのは営業マンや店長ではなく、稟議を通して「決裁者」が決めます。
その稟議に承認をもらうとき、実は「値引きの理由」が必要になります。
例えば
- ライバル社が当社より50万円安い金額を提示している
- 工事完了が半年後の決算に間に合うように打ち合わせに協力してくれる
というような理由です。
それなりの協力、メーカー側のプラスがあって初めて「交渉」になるわけです。
その中でも特に「モニターになってくれる」「親族・友人を紹介してもらえる」というのはメーカーにとっても大きなプラスです。
完成した自宅をハウスメーカーの他のお客様に見せてあげる「モニター」になると約束したり、紹介できる親族がいると伝えれば、値引き交渉がとても有利になります。
モニターや紹介に抵抗がない場合は、ぜひ使ってみてください。
3-5.ハウスメーカーが値引きしやすい時期を狙う
一般的に、ハウスメーカーは業績が悪いときほど値下げしやすい傾向にあります。
会社全体という場合もありますし、支社・エリア・店舗だけ業績が悪いときも値下げしてくれるケースが多いのが実情です。
とはいえ業績が悪いときを見抜くことは難しいため、狙いやすい時期を2つ紹介します。
2-1.決算月がもっとも値引きされやすい
ハウスメーカーの決算は比較的、3月や12月が多いです。
また、9月や6月は中間決算に当たります。
その時期は大々的に決算セールをしているメーカーも多いので、値引きが大きくなりやすい狙い目です。
決算月に最終の値引き交渉ができるように、決算月の1~2ヶ月前から計画を進めると良いでしょう。
また、住宅の引渡し(工事完了)が決算月になりそうなタイミングでの契約も値引きが大きくなりやすい傾向にあります。
例えば、決算月が3月で工期4カ月のメーカーの場合は、打ち合わせ1~2ヶ月を含めると、9~10月が値引きされやすくなります。
引き渡しの時期は各ハウスメーカーの営業マンに確認してみてください。
2-2.閑散期に家づくりを進めるのがベター
住宅業界には「夏枯れ」という言葉があり、夏になると展示場への来場者が少なくなることを表しています。
逆に1月~5月くらいが来場者のピークになります。
ピーク時は契約数が多くなるので、ハウスメーカー側もあまり値引きを好みません。
逆に7~8月、11~12月は閑散期ですので、その時期を狙ってハウスメーカーを探せば値引き額が大きくなるはずです。
3-6.初回の見積りで想像以上に高いと伝える
まだ契約したいハウスメーカーから見積りをもらっていない方は参考にしてみてください。
営業マンは見積りを提示する際、お客様の反応をしっかりとみています。
もちろん「契約できそうか」ということを念頭に観察していますが、もう一つ、次のようなポイントを見ています。
もしお客様の反応が、金額が高い・厳しい、という反応であるなら、営業マンは「多少無理しても値引く必要があるのかも」と考えます。
当然ハウスメーカーや営業マンによって考え方は異なりますが、初めて見積りを見たときは「思ったより金額が高い」という反応をしておきましょう。
営業マンは「競合しているハウスメーカーの方が安かったか」とも考えたりするので、値引き額が大きく可能性は上がるはずです。
4.値引き交渉の具体的な流れと文言
ここまで値引きしてもらうためのコツを解説してきましたが、本章から具体的に「値引き交渉」の流れ・文言について解説していきます。
営業マンとお客様との会話形式で書いていますので、文言はそのまま使えると思います。
3-2章で記載した通り、なるべく契約したいハウスーメーカーよりも坪単価の低いハウスメーカーの見積り・プランがそろってから交渉を始めましょう。
もちろん、契約する意思がある状態で進めましょう。
交渉は電話でも可能ですが、本気度を伝えるためにも、営業マンに直接あって開始しましょう。
では、弊社のプラン・お見積りでご納得いただけるようでしたら、弊社とご契約いただけないでしょうか?
プラン・お見積りありがとうございました。
他社様とも検討させていただき、正直悩んでいます。
そうでしたか。
どのようなポイントで悩まれているんですか?
家族全員、プランとか、建物の性能や設備とか、御社がとても気に入っています。
契約したいと考えていますが、他社様の見積りが御社より200万円安く、迷ってしまっています。
他社の見積りを見せるわけではないので、少しくらい金額を盛って話しても問題ないと思います。
もちろん道徳的に抵抗がある場合はやめた方がいいと思いますが、営業マンも多少話を盛っていることがありますので、営業経験のある私から見るとお互い様です。
営業マンにバレても日常茶飯事のことなので、ほぼ気にしません。
200万円差ですか。。。
確かに金額差はありますが、弊社は建物の性能も高く、設備もいいと思います。
ローンなら月々〇千円で快適な生活が手に入ると考えれば、弊社を選んで頂いた方が後悔しないのではないでしょうか?
確かに後悔したくない気持ちもあります。
そこでご相談なのですが、もう少しお値引きをがんばって頂くことはできないでしょうか?
お値引きですか。。。
逆にどれくらいお値引きできたら弊社とご契約いただけますか?
ここから本格的に交渉となっていきます。
営業マンは値引きを要求された場合、お客様の希望額などを聞きながら落としどころを探そうとします。
2章の値引き額の相場を参照していただきながら、値引きが可能そうな金額より少し多めに希望を提示するのがコツです(50万円値引きできそうなら100万円の値引き希望と伝える)。
すでに提示されているお見積書の金額がすでに値引きされている場合は、それも加味して値引き希望額を提示しましょう。
そうですね、100万円値下げして頂けるなら、契約を決めます。
100万円ですか。。。
分かりましたら、そこまで値下げできるかわかりませんが、がんばってみます。
会社(上長)に確認しますのでお待ちください。
ここで、ハウスメーカーが実際に値下げできない額の希望を伝えていた場合、そこまでの値下げはできません、と言ってくると思います。
その場合は希望額を下げて伝えるか、では「いくらまででしたら値下げ可能ですか?」と聞きましょう。
確認してきました。
申し訳ありません、お値引きの限界が50万円です。
なんとかこれでご契約いただけないでしょうか?
50万円は難しいですか。。。
もう少しだけ頑張って頂けないでしょうか?
御社がとても気に入っていますので、友人などに御社を紹介したり、モニターになるなど、ご協力はします。
あと少し頑張って頂ければこの場で即決します。
3-3章で解説した通り、このタイミングで2回交渉してみましょう。
その際、可能でしたら3-4章で解説したように紹介・モニターなど協力することも伝えてみましょう。
今後もご協力いただけるんですね、わかりました。
では再度会社に交渉してみますので、もう一度お待ちください。
2回交渉して出たきた値引き額であれば、しっかりと限度額に近づいたと思います。
後は契約するだけですね。
5.値引き交渉の注意点やリスク
ハウスメーカーの値引きにはリスクがあります。
本章ではそんな値引きの注意点を2つ解説します。
5-1.値引きできない、値引きが難しいハウスメーカーもある
ハウスメーカー・工務店の中には、最初から値引き分を建物の金額に上乗せしていないところがあります。
そのようなメーカーは、値引きがないことを「お客様に平等」「わかりやすい」と告知することで逆にウリにしています。
その場合、当然ですが値引きができません。
各メーカーの公式サイトに告知されていたり、営業マンがそう説明してくれますので、そういうハウスメーカー・工務店の場合は交渉はあきらめましょう。
5-2.無理な値引き交渉のリスクとは?
値引き交渉を過度にし過ぎるのはリスクがあります。
前述してきたとおり、値引きの決裁者はエリア長(支店長)・支社長・社長です。
営業マンが「値引きしてでも契約したい」と思っていても、決裁者がうんと言わなければ契約できません。
決裁者の多くは値引き交渉を過度にしてくる人はトラブルが多いと考えています(実際のデータもそうです)。
ですので過度に値引き交渉をし過ぎれば、決裁者が「お断りする」という判断をするケースがあります。
それも断られた後に「やっぱり最初の金額でいい」と言ったところで、決裁者は金額ではなく人柄で判断しているわけですから、完全に契約できなくなってしまうことも。
やり過ぎには十分に注意しましょう。
6.まとめ
ハウスメーカーへの値引きについてはお分かり頂けましたか?
契約直前の値引き交渉よりも、その前の下準備が重要だと思います。
そして、自分だけが得になるって考えるより、ハウスメーカーにとってもプラスになることを考えた方が値引きしてもらいやすくなるはずです。
最後までご愛読頂きましてありがとうございます。